最後までしらを切り続けると、ずっと勘違いし続けたまま集まるファンは消えないわけか。その粘りだけはすごいなと思う。まねようとは思わないけど。
<フジ スーパーニュースより>
下の写真の一番左に写っているのは2chとニコニコ動画を作った「ひろゆき」こと西村博之か。この人もニヤニヤしながらずっと堀江にくっついているが、一体彼とどこが気が合うのかわからない。「お互いに相手を理解し合えている感」だけ醸し出している、寒い二人っていうパターンかな。
堀江は、裁判中も『徹底抗戦』だの、有罪が確定しても『収監』だの、アホみたいにたくさん本を出しまくっていた。しかも『収監』の方には「僕が変えたかった近未来」などという副題までついている。
裁判で、自分が説明をつけられないところに関しては「野口なら知っている」などとすでに死んだ者のせいにし、果ては「僕は人寄せパンダで、ライブドアという会社の実権を握っていたわけではない」などと、「私には責任能力も、責任を取る意志もなかった」ことをカミングアウトしておきながら、
『徹底抗戦』
という名の本を、臆面もなく堂々と出せるこの厚顔無恥ぶりには、これまた菅直人以上に開いた口がふさがらない。会社の実権を握っていなかった人間が「徹底抗戦」って、何をやるつもりなの?必死に「僕はバカですよ~」とでも繰り返すのか?そんな本が売れるのか???まあ売れたらしいね。一応。
まあ、彼がやっている有料ブログも、一年あたりの売り上げが1億円を越えているとのこと。釣られるアホが多いのか、アホを釣る技には長けているのか知らないが、わざわざ「1日モヒカン」までしようとするバイタリティだけは、とてもじゃないが私にはマネできないしするつもりもない。
一方で、驚嘆に値するのが、彼なき後のライブドアである。2006年の堀江貴文公判の記録を今でも残している。堀江公判と絞られてはいるが、あるテーマに関して、5年以上も記事をサーバに残し、いつでもアクセスできるようにしている、彼なき後のライブドア社員たちの心意気には感嘆せざるをえない。まあこれも、堀江との訴訟ではライブドア側の証拠として使うつもりなのかも知れないが。
そんなわけで、当ブログで2007年3月16日に引用した、2006年11月29日の堀江貴文の一審でのやりとりを、再び引用させていただきたい。この記録を今でもサーバに残してくれているライブドアには大いに感謝したい。
一審 小坂裁判長からの質問
(前略)
── (資料を示す)これは?
M&Aチャレンジャー1号投資事業組合と私の貸株契約書。
── (資料を示す)これは?
熊谷からのメール。
── どちらも貸し株については、重要な部分であるよね。
はい。
── 記憶は再生できないの?
はい。
── これは客観的事実ですよね。そうすると、裁判長として君の記憶がどこまで信用していいのか判断できない。この記憶を再生できないと、君の当時の記憶はかなりあいまいなんじゃないの。
日常業務の記憶の再生は難しい。当時でも印象深いことは覚えていますよ。
── 宮内・中村は、熊谷が説明したと証言している。
野口さんからされたら覚えているが、熊谷に関しては、絶対なかったとはいえない。
── 明々白々の署名メールも記憶の再生ができないんだから、本当はあったのだけれど、再生できないということもあるの?
野口さんに会えば再生できる。B社の件もあったし…
── もういいです。「マネーライフ」の関係で、虚偽の風説で起訴されているが、まずLDFがVLMA2号を使ってマネーライフを買収。その後、マネーライフをVCJが買収した、と。実際の企業価値は1億円だったのにも関わらず、合併コンサルタントフィー1億5000万円、架空売り上げ協力費1億500万円を上乗せし、だいたい4億円とした。
はい。
── また、株式交換比率を1:1とした。
はい。
── 今、仮にこれを知っていたら、止めていたか。
今、詳細なことを知っていたら、もっとディスカウントせいと言う。
── そういうことではなくて。
反対するんじゃないですか。
── なんで?
訴追される可能性があるから。
── やっぱ、そこにはうそがあるからでしょ?
そうですねえ。
── 04年9月期に連結経常利益50億円を達成するため、ロイヤル・キューズへの架空売り上げ計上することを仮に知っていたら、あなたはどうする?
架空だったら取り消しさせる。取り消せたかは分かりませんけど。
── 稟議書が回ってきてチェックする時に、あなたは起案者や執行役員に確認したことはなかったか。
ありますよ。金が入ってくる方はあまりチェックしていませんでしたけど。
── ということは、入ってくる方は内容を確かめもせず判を押していたと。
そうですね。訳がわからない会社に多額の売り上げが立っていれば確認しますが。
── (稟議書の起案者や執行役員は)あなたにいつ呼ばれてもいいように、準備しているんでしょ。
準備しているほど僕が恐いかというと、笑って許すと思っているやつもいましたね。
── VCJの架空売り上げで1億500万円計上しているが、仮に君が知っていたらどうする?
実際に作業をしている分以外は、取り消すよう働きかけますけど。
── 04年9月13日の戦略会議の後、小宮(VCJ社長=当時=)、宮内、岡本が架空売り上げの相談をメールでしている。会議後、3人がそろって架空売り上げの相談をするとは、会議で何か指示したのか。
そんなの絶対にない。手っ取り早く楽な方法に走ったんじゃないですか。
── 架空と言わなくても、「黒字にしろ」とか。
「黒字にしろ」とは毎回言っている。
── 戦略会議でも言っているのか。
はい。
── 社長が「黒字にしろ」というのは、普通のことなんでしょ。それで架空に部下が走ることは考えられない。架空売り上げをしろと誤解されるようなことを、言ったんじゃないですか。
絶対にない。自信がある。
── 04年7月7日に、伊地知に対して送った「(VCJが)若干赤字なので、売り上げ付けてあげたら」というメールは、単価を引き上げるよう求めているとは、どう見ても読めないが。
長ったらしいメールを打ちたくないんですよ。伊地知さんは(社内の席で)隣にいるから、口頭でも説明して、忘れないようにメールもしたんじゃないのか。
── 口頭でも説明した記憶はあるのか。
それはないですけど。
── もしそうなら「単価を上げればいい」と書けばいいじゃない。
そこが出てこない。分かりませんかね。
── 分からない。(傍聴席から笑いが漏れる)(後略)
「違法なことを指示したことはない」ということに絶対の自信がありながら、重役たちから上がってくる話については「全部覚えているわけではない」と言える。この二つは、論理として絶対に両立しえないということを、堀江貴文は理解できているのだろうか???
違法なことを指示したことはないということに絶対に自信があるということは、自分の指示を、全て法に照らしている自信があるからこそ言える発言である。自分の指示を全て法に照らしている自信があるにもかかわらず、重役たちから上がってくる話について、しかも違法かどうかすれすれで問題になりそうなところに限って「覚えていない」と言える。ということは、違法かどうかスレスレで、問題になりそうないくつかの重役からの話やメール内容のいくつかを覚えていないということになる。違法かどうか問題になりそうないくつかの重役からの話やメールの内容を覚えていない人が、
「私は全ての指示において、必ず適法な指示をしている!」
と胸を張って言うことはできない。なぜなら覚えていない内容があるからだ。覚えていない内容に関して、その内容に対する指示が「絶対に違法ではない」と担保できる根拠はないのだ。まさか、内容は覚えていないが、指示は覚えているなどという特殊な脳を持っているということでもなければ。
だからこそ、小坂裁判長は、上記の質問を、かなり重要なものと位置づけて行ったはずである。その結果として、堀江の自己矛盾が出てきたということだ。
読者の中で、「オイオイ!そんな論法を取ったら、会社の社長は重役との全てのやりとりを覚えていなければならないのか!バカじゃね?」などと、これまた「極端な反対側の立場」を示して反論できた気になるのは、きわめて2ch的な、短絡的で典型的な詭弁である。何のことはない。覚えていないことは覚えていないとハッキリ言えば良い。そしてその覚えていない内容の中に、違法なことが含まれていた場合、これまた法律学ではイロハのイである
・事実誤認は有罪となるとは限らないが、法律誤認で有罪を退けることはできない。
の原理に則って、その範囲内で「過失」としての有罪判決を受ければよかっただけの話である。その方が、ライブドアという会社の最高意志決定権者としての社長らしい、いかにも普通な責任の取り方であるし、今後彼が贖罪をした後のの経営者人生においても、一番傷が小さい「有罪」となっただろうにと、当ブログでも書いてきたのだから。
しかしながら、堀江貴文の「徹底抗戦」とは、それすらも認めずに、
・ボクはCEO(経営最高責任者)という肩書きを持っていたけど、実際には責任を持った判断は全部宮内がやってたんだよ~ん!
という逃げ方をすることであった。彼の著書にそう書いてあるかどうかには興味がないが。
もうリンク切れになったが、日刊スポーツからの記事の引用である。
ホリエモン「CEOかっこいいから」(日刊スポーツ 06.11.17)
>ライブドア(LD)事件で証券取引法違反罪に問われた前社長堀江貴文被告(34)の第23回公判が17日、東京地裁 (小坂敏幸裁判長)で開かれ、検察側の被告人質問が始まった。堀江被告は最高経営責任者(CEO) の肩書の意味を聞かれ「はやっていて見た目がいいから。かっこいいからCEOになった」 と述べ「CEOとしてLDを統括した」とする検察側主張を否定した。
CEOとしてライブドアを統括していたなら、検察側の主張を認めざるをえなくなる。こう彼は判断したから、上記のような、
「ボクはバカなんだもーん!=私には責任はない」
という主張をわざわざ行うわけである。
自分の責任を追及されそうになったら、「ボクはバカなんだもーん!」と言って逃げることが、堀江貴文が象徴する「新世代の哲学の一つ」であるならば、私は喜んで「旧世代」の側に入れてもらうべく懇願するだろう(笑)。
彼の今回の収監で、堀江貴文の栄枯盛衰の物語の第2ステージ(第1ステージは、フジサンケイグループと徹底的に買収合戦をやったところまでだろう)が一応終わると言えよう。彼が塀の中から出てきたときに、第3ステージは始まるのだろうか。それは、彼が塀の中にいるときも、有料メルマガの読者が減るかどうか、彼の著書の売り上げがそこそこ維持できるかどうか次第なのだろう。まだ、ライブドアvs堀江貴文という民事訴訟も残っている。そこで帳尻が合うかどうか。とりあえずそこにだけは関心を持っておこう。