できるだけごまかさないで考えてみる-try to think as accurately as possible

さまざまなことを「流さずに」考えてみよう。"slow-thinking"から"steady-thinking"へ

堀江社長は何にがんばっていたのか(後編)

2007-03-16 07:07:38 | ライブドア関連

前編より続く。

次に、裁判長からの質問を。

堀江公判 28日の被告人質問(4)(ライブドアニュース 上と同日)

小坂裁判長からの質問

(前略)

── (資料を示す)これは?

 M&Aチャレンジャー1号投資事業組合と私の貸株契約書。

── (資料を示す)これは?

 熊谷からのメール。

── どちらも貸し株については、重要な部分であるよね。

 はい。

── 記憶は再生できないの?

 はい。

── これは客観的事実ですよね。そうすると、裁判長として君の記憶がどこまで信用していいのか判断できない。 この記憶を再生できないと、君の当時の記憶はかなりあいまいなんじゃないの。

 日常業務の記憶の再生は難しい。当時でも印象深いことは覚えていますよ。

── 宮内・中村は、熊谷が説明したと証言している。

 野口さんからされたら覚えているが、熊谷に関しては、 絶対なかったとはいえない。

── 明々白々の署名メールも記憶の再生ができないんだから、本当はあったのだけれど、再生できないということもあるの?

 野口さんに会えば再生できる。B社の件もあったし…

(後略)

 

 これも貸株に関する契約という、自社グループを大きくするためにはきわめて重要な部分でありながら、裁判長が言うところの「客観的事実」を示されても、再生できない記憶がある。そこをしつこくつつかれると、死んだ人間(野口氏)に会えば記憶が再生できるという論法を取る。

 しつこいが、自社グループを大きくするための基本戦略(それが合法的かどうかは置いておいて)について理解していない社長のことを、世間的には、「がんばっている社長」と言うのだろうか?

 もし言うとすれば、そういう社長は、一体「何」にがんばっていると言うのだろう。株の知識も中途半端でありながら、

>僕は市場のためによくなることを率先してやってきたつもりだった。  (上記、朝日の記事より)

と、滔々と語ることができるのは、一体、何を根拠としてなのだろうか。

 

 ちなみに、このやりとりの中で、裁判長が

>そうすると、裁判長として君の記憶がどこまで信用していいのか判断できない。 

と、堀江の記憶の信憑性についてある判断を下した発言をしているのも、きわめて興味深い。

 

 代表的な部分を数点挙げたが、堀江被告の「無罪勝ち取り戦略」とは基本的にこれである。肝心なところは「自分はバカだから理解していませんでした」「全てを覚えていることはできないので、覚えていません」という論法を取ってきた。その一方で、対マスコミ的には「私はがんばったから生意気だと思われて捕まった」と平気で語ることができる。

 

 こういう姿勢を、これからの裁判でも彼がとり続けるのならば、この一審だけでなく、最終的に彼が無罪になったとしても、それが「堀江社長がこのプロセスに関与していなかった」という理由で無罪となる限り、それは

「彼が無能だから」

という前提に基づく無罪であり、今後彼が無罪放免となった上で集まる「仲間」とやらは、堀江が「無能」であることを知った上で集まってくる連中か、堀江が無能であることを理解できないくらい無能な連中しかいないわけで、結局、こういう姿勢は今後の彼にとって不利益にしかならないとしか、私などには思えない。

 

 裁判が始まったときから思っていたのだが、彼自身の今後を考えるのならば、自分がいかに有能なのかを、周りにアピールするような作戦を取るべきだったであろう。まさに今回の姿勢の「逆」である。その結果として、彼が社長としての責任をある程度かぶらざるを得なくなり、仮に彼的には不本意な「有罪」となったとしても、一昨年あれほどウジャウジャ「わいて」いた、「堀江教信者」の「同情」や「サポート」も、「彼の有能さ」を引力として、より集結させやすかったであろうに。たとえどちらの戦略でも無能な人間しか集まらないとしても、こちらの方が集まってくる人数は「堀江は有能だ」という印象を与えた上で集まってくる分だけ、より多いだろうと期待できるだろうに。

 どうせ「無能路線」で突っ走るなら、対マスコミでも「僕はみなさんが思っているほど有能ではありません。そんな複雑な株の貸し借りなんて、僕にわかるわけないじゃないですか」などと、はっきり言った方が、よほど筋が通った発言だろう、こういう、「僕はバカなガキ大将だからね~」的な発言を公判で繰り返すくらいなら。

ホリエモン「CEOかっこいいから」(日刊スポーツ 06.11.17)

>ライブドア(LD)事件で証券取引法違反罪に問われた前社長堀江貴文被告(34)の第23回公判が17日、東京地裁 (小坂敏幸裁判長)で開かれ、検察側の被告人質問が始まった。堀江被告は最高経営責任者(CEO) の肩書の意味を聞かれ「はやっていて見た目がいいから。かっこいいからCEOになった」 と述べ「CEOとしてLDを統括した」とする検察側主張を否定した。

 こういう動機が本当だとするなら、これが「市場のためによくなることを率先してやってきた」(上記の朝日の記事より)ことの一つということなのだろうか…しばし言葉を失う。まあこの記事をめぐっても、2chでは堀江擁護論が息巻いていたようである。つくづく不思議な現象だ。

 

283 :名無しさん@七周年:2006/11/19(日) 15:59:57 ID:1Zr/8ovr0

ここまでの公判内容から推測されるのは

主犯:宮内被告

共犯:故野口氏、中村被告、岡本被告

冤罪:堀江被告

 

さて、とりあえず今日の判決で、こうなるだろうか。

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 余談だが、未だに「ホリエモン」っていう言い方をしているメディアや政治家って、どうにかならんのかね?多くの政治家は、今でも「ホリエモン」という言い方をしているな。「堀江元社長」や「堀江貴文」とでも言えば、同姓の「他の堀江さんたち」とは十分に区別できるのだが。文字数では「ホリエモン」より「堀江貴文」の方が少ないのだから、文字メディアで「ホリエモン」という言葉づかいをしているのって、イメージ面で堀江を擁護しているだけのように見える。

 

 

 


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