goo blog サービス終了のお知らせ 

塩哲の空即是色

日々の徒然日記

ミュージアム巡り クローズアップ番外編 緑地釉裏金彩飾壺

2013-12-26 05:25:10 | ミュージアム巡り_2013
 続いては妖艶な緑の光沢を放つ加藤土師萌さん(1900~68)の作
品「緑地釉裏金彩飾壺」(Ornamental jar、underglaze gold leaves
on green enamel、陶器、1963年)。
 土師萌さんは、14歳で地元の瀬戸で陶芸の道に進み、1940年に
横浜・日吉に移り窯を築いて陶芸活動を続けられる。
 緑地に金が加わると鮮やかで不思議な緑色が浮かび上がってくる。
この作品の前でも足が止まり、しばし動けなかった。
(MOMAT:千代田区北の丸公園1-1)

ミュージアム巡り クローズアップ番外編 青磁大鉢

2013-12-25 05:41:13 | ミュージアム巡り_2013
 透きとおったような亀甲貫入の作品「青磁大鉢」(Large bowl、
celadon、陶器、1973年)は、清水卯一さん(1926~2004)が生
みだした意匠。
 京都での陶芸活動の場を、1970年に琵琶湖の湖畔・志賀町に
移り蓬莱窯を築いて、地元の蓬莱山の土で青白磁のような蓬莱
磁・ 鉄燿作品を生みだしていく。1985年には鉄釉陶器で人間国
宝に認定。
 この作品を眺めていると、器の底に心が吸い取られ彼方へ持っ
て行かれるような幻想的な気分になった。
(MOMAT:千代田区北の丸公園1-1)


ミュージアム巡り クローズアップ番外編 花鳥図壺

2013-12-24 05:58:34 | ミュージアム巡り_2013
 陶芸家でありながら民芸運動に加わった河井寛次郎さん(1890~
1966)の作品「花鳥図壺」(Vase、flower and cock design、磁器、
1926年)。
 河井さんは反骨の士で、1955年の文化勲章や人間国宝に推挙が
あったものの辞退されている。柳宗悦や濱田庄司、バーナード・リ
ーチ、棟方志功などとの交流もあり、日常の暮らしにあった作品が
多い。“暮らしが仕事、仕事が暮らし」が自らの口癖だったという。
 この作品は36歳の時のもので、その後、釉薬を刷毛で表面に打
ちつけた作品が生み出されていく。
(MOMAT:千代田区北の丸公園1-1)


ミュージアム巡り クローズアップ番外編 黒釉褐斑鳥文鉢

2013-12-23 04:14:07 | ミュージアム巡り_2013
 次は、石黒宗麿さん(1893~1968)の作品「黒釉褐斑鳥文鉢」
(Bowl、bird pattern、black and brown glazes、陶器、1958年)。
 石黒さんは若い頃、中国・宗時代の曜変天目の技に引きつけら
れて陶芸家を志す。京都・東山で窯を開き、その後は左京区八瀬
に移り住み長年の苦労の末、「木の葉天目」技法を編み出される。
1955年に「鉄釉陶器」で人間国宝に認定。
 石黒さんの座右の銘は「栩々然」(くぐぜん、荘子の斉物論)で、
歓びや伸びやかなかたちのこと。
 この作品は、真骨頂の黒鉄釉で描かれているのは鳥の飛ぶ姿。
ドッシリとした作品だ。

 そして次は、ガラス工芸作家、岩田藤七さん(1893~1980)
の「ガラス飛文平茶碗」(Shallow glass tea bowl、bead pattern、
ガラス・宙吹き、1966年)。
 岩田さんは、学生時代(東京芸大)では洋画や彫金、彫刻を学び、
その後アールヌーボーに啓発されてガラス工芸の道に進む。独力
で色ガラスの製法を修得し、個人で工場(岩田工芸ガラス)を開い
て“日本のガラス工芸”のジャンルを開拓したパイオニアである。
 この作品は70歳を過ぎた頃のもので、H6.3×D18.3cmの大き
めのサイズの茶碗だ。ガラスに飛文の文様を施す、それだけで画
期的な意匠だ。
(MOMAT:千代田区北の丸公園1-1)

ミュージアム巡り クローズアップ番外編 色絵かるかや文鉢

2013-12-22 05:55:10 | ミュージアム巡り_2013
 4ヵ月ほど前になるが、東京国立近代美術館工芸館で9月14日
から始まった「クローズアップ工芸」展(前期:~10月20日、後
期:~12月8日まで)を初日に観賞した。今回は特別展とのことで、
5名の作家作品(鈴木長吉、富本憲吉、松田権六、森口華弘、小名
木陽一)が展示されており、展示品の撮影は不可であった。

 しかし、人間国宝&匠のコーナーに展示されている作品は撮影
可能なので、十数点の作品を取り上げてみた。
 まずは、十三代今泉今右衛門さん(1926~2001)の作品「色絵
かるかや文鉢」(Bowl、grass design、overglaze enamels、磁器、
1969年)。
 十三代今泉さんは、色鍋島の伝統技術を保存する会の長であり、
また個性的な創作活動も展開しなくてはならない。代を継ぐこと
ほど難しく、二律背反のジレンマに悩まれたという。
 49歳で先代から十三代を襲名すると、そこからさらに努力が始
まり、初期伊万里の染付を閃きに、吹墨(ふきずみ)の技法を編み出
されており、この色絵磁器で人間国宝(1989年)に認定されている。
 作品は秋のイネ科の多年草「刈萱」が描かれており、器の内側の
の円を利用され、茎の長さや穂の実も細かく描写されている。
(MOMAT:千代田区北の丸公園1-1)