養護学校の芋焼酎づくりの要望活動の後、2件ほど打ち合わせをして帰路へ。
18時から行われる第2回伊那新校再編実施計画懇話会の傍聴へ。
今日は、まず「これからの高校に期待される学力」と題し、
学校教育学 教育方法学 カリキュラム論 教育心理学
が専門の上智大学の総合人間科学部 奈須教授より講演。
メモより
・「学力とは?」ということについては、日本だけでなく、世界的に進行中
・学力、、、というと、何をイメージするか?
→→伝統的な学力は「どのくらい正確に残っているか?」「教えたことが覚えているか」であり、何をどれだけ知っているか(コンテンツ・ベイスの学力)
・使うため、人生を生き抜くために武器や道具や材料になっていないといけない。資質能力(コンピテンシー・ベイスの学力)
・子供の頃のものをどれだけ使ったか。
・何かに出くわした時に、うまくやれるかどうか?ということ。→有能さ
・これを高めることが学力
・知識を持っているだけではだめ、使えるようにする、使える知識にする
・先般の大学共通テストは、知っているだけではなく、判断しないとできない問題。活用し、応用し、解決する
・例えば、「平行四辺形の面積を求めろ」という問題。
・日本の子どもは、A問題(知識を問う)の正解率は高いが、とB問題(活用の力を問う)は落ちる
・論理的に考える、それを批評できる、書ける、、、大人は日常的に必要とされているだろう。
・PISA読解力問題:落書き
(https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/07/1284443_02.pdf)
の11ページ参照
・1970年代、マクレランドの発見(コンテンツ・ベイス・テストの成績は、将来の成功を予測しない)
・40歳、50歳の時に社会的に成功しているか?
・身体的、精神的な大人の時の成功は、子どもの時のテストの点と関係はなかった。
→→勉強ができることは大事なことだが、人生バラ色か?そんな簡単なことではない
・意欲、感情調整能力、対人能力、解決能力、、、などのほうが大事だろう
・企業がどんな人を雇うか?単なる成績ではないだろう。
・すぐれた問題解決に学力の再定義。
・日本は部活なども含め、やってきたが、これまで学力と呼んでこなかった
・使える知識になっていないといけない。子供も納得して、使えるように
・どのように社会・世界と関り、よりよい人生を送るか?
・日本は分かっていたが、、、社会的な変化が付いて来なかった
・なぜ今、コンピテンシーなの?
→子どもたちの65%は将来、今は存在していない職業に就く
→今後10~20年程度で47%の仕事が自動化される可能性が高い
→2045年には、人工知能が人類を超える「シンギュラリティ」に到達する可能性がある
・・・未来予測
・知識の価値が低下してくるかもしれない
→→昔は、手元に資料がなければ分からなかったのでまずは頭の中に入れておくことが必要だったが、今はスマホで調べればすぐわかる
・Siriに聞けば、ある程度答えは返ってくる。
・が、、、今は「伊那で美味しいローメンの店?」も「伊那で美味しくないローメンの店」も両方とも同じ店がでくる。
・機械的にビックデータで答えが導かれるので
・人間のやることは、機械を使って価値あることを導くこと
・対数の計算は必要か?
→→原理は必要。だからプログラミングをやる。
・機械にやって貰えることは機械にやって貰う(ただ覚えることなどは機械へ)
・町をどうするか?ということにもつながるだろう。
・「大学入試があるから」という言い訳はなくなる
・既に私立大学はAO、自己推薦、秋に決まる。実定員の半分がそうなる
・秋の入試は、覚えていることではなくコンピテンシーを見ている。
・お茶の水大学
→→朝、大学の図書館に集まって貰い、そこにある本を使ってプレゼンするという入試。重箱の隅をつつく質問ではなく「生命とはなんだろう?」とか
・また、大学はその後の生徒の追跡調査をしている
・秋の入試の子を比べると、一般入試の子に比べて偏差値では低いかもしれないが、最終的には同じか逆転している
・多様な項目で入試するのは当たり前
・また、ペーパーの入試からコンピューター入試になる
・それによって、アダプティブテスト(一問目の回答で二問目以降の問いが変わってくる、視力検査のような感じ)適用型テスト
・この問題が出来たら5点、、、とかではなく、この問題ができた、、、言う評価
・ICTを活用した授業ではなく、生徒が学び考える道具にして欲しい
・事業中分からなかったらいつでも調べてよい、、、ということでは困る?
・一通り教えて、さらに深堀りするために使う
・PCが大事ではなくアカウントをつかうことが大事
・地域でそのアカウントが使えるように
・ただ持っているだけの知識(不活性な知識)と条件や行為の対として貯蔵された知識(活性化された知識)
・どんな場面でどんな知識が使えるか?
・パターンプラクティスをやりすぎ?
・今は、英語を使って学ぶ、、、という方向
・今回の共通テスト、アクセントの問題は出なかった。
・地理Bにブラタモリでやっていたことが出た。
・高校の社会科、、、近代以降のことしかやらない教科もある
・今、現代あることから未来のために
・フランスは、20世紀以降しかやらない
・過去に学び未来を展望すること。
・公共という科目
・生徒が主体
・探究的な学びは教科を越境する
・究極、人間がいなくなれば環境問題は改善
→→でもそれはできない
・解決、、、問題がなくなることではない
→→とりあえず不都合のない程度に収める
→→今より悪くはならない状態を維持する
→→影響の及び方に明らかな不平等がない
・世の中に普通や当たり前はない、、、
・自分とは異なる他者こそが自分を成長させてくれる
・教育委員会が新校に想定されているリソースは?
・従来からある「当たり前」を考えない創造を
・縮小した学校行事で良かった、、、ということはないか?
・部活動を地域社会へ、、、欧米ではない
・学力の質の豊かさを実現する
・すると、「そんなことを知らないの?」という状況が生まれるかもしれないが、私たち中高年が許せるか?
・・・・・・・
これからの子どもたちの学びについて、何を考えなければいけないか?
時代は待ったなしで変わっている
子どもたちの未来のために、今、どんな学校を構築するのか?
僕らの責任は大きい、、、と改めて感じました。
・・・・・・
休憩後に質疑など
Q.学び、学力、今、変化が始まっている。ゆとりの時間から反動が来ている?とも感じるが、変化はかわらないか?
A.日本だけではない。OECDもそうだが、世界で動いている。戻ることは無いだろう。経済や産業が大きく変わってきているから。
Q.コンピデンシーベイス、高等学校の先生と生徒だけの授業から、教科を超えて変わってきているとは感じるが、社会とのかかわりは?
A.地域の企業、事業所の力を借りて、学んでいることを実の場でどう活かされるのか?どうつながっているのか?を生徒が知ることを。また、地域に出ることで「こんなに頑張っている人が居る!」と知ることで地域をもっと好きになる。これまでの教科授業の上におこなう、量的に増える、、、ということではなく。
Q.新しいコミュニケーション能力が重要視されている。が、、、実際にその人の使える能力は?問題に直面した時に発揮する能力は?小学校の段階でできることもあるだろうし、大学入試に向けての授業もやらないと、心配になる。
A.コミュニケーション能力が実際の問題を解決することにはならないだろう。本当のコミュニケーション能力は、他者と話をして解決に持って行く、、、など。話し合いは、単なる世間話ではない。教科の中で話し合い。数学では論理的な話し合い。社会では、、、
Q.新しい学習指導要領で、具体的なものが出ている。小中高と共通した表記となっている。それぞれの現場で継続性のあることになるだろう。大学は、授業(多い)、ゼミ(少人数)、卒論(一人)、、、で異なる指導方法をしている。活用することに重きをおいた授業、地域へ出ていく授業、、、どうカリキュラムをマネジメントするか?だと思う。
A.最後は授業をどう変えていくか?ということ。県教委としてどんな施策を持って、どう支援していくか? 探究ということ、長野県は総合的な学習は先駆者。願いを持った探究をもっともっと持つべき。カリキュラム的にはもう少し、理数探求、総合探究、、、など、カリキュラムや先生方の配置など、、、上乗せすべき。・・・となると、従来型のスクラップが必要となる。
A.専門校は、課題研究でぐんぐん力を付ける。高校でやったことを大学で卒研として扱う子もいる。どういう風にカリキュラムを構築するかは大切。習得をする部分は、大講義、、、というが、大学でもアクティブや反転授業をやっている。この時に、AO入試の子などはすぐに対応している。その他の子も最初こそまごまごしているが対応できる。今の子は小学校で体験しているので、長野県の子、先生も対応できるだろう、地域の人も理解できるだろう。伊那新校がフラッグシップになるように。
Q.高校を考える、、、ということは、義務教育を考え直すことにつながる。高校に突然多くのことを期待するのはどうか? 小中の総合で、失敗などの経験を徹底的に積み上げる必要がある。
A.地域の義務教育も歩調を合わせる、適切な接続性を。幼保小連携、、、というが、子どもたちがストレスなく進めるようになるのは子どもたちのためになる。先生方に忖度する子を育ててきているかもしれない。子供たちがそれで伸びるはずがない。小中学校の起爆剤にして貰えれば。
Q.高校入試の質、、、新校の目指すことに一致しているか?
A.AO入試で入学した生徒がしっかりやっている、、、というデータがある。大学入試、アクセント、、、さほど大切でない、、、と判断し、なくなった。高校入試、義務教育と高校の接続、また高校の学びにつながる。新しい高校の授業が高校入試につながるように。
・思い切った、夢のある、、、ということをどう具体化するか?場所も空間も必要だろう、、、ということで、専門会議(小グループ)で検討する、、、とした。
・校地は所在市町村の街づくりに大きくかかわる
・懇話会の前の時間に行う、で懇話会で報告する
その他として、出席者から
「質疑応答の時間をもっととって欲しい」
との要望が出されました。
コロナで会議時間を短く、、、ということは理解もできますが、参加者が意見を言い難いようでは本末転倒だと思います。
それぞれの団体の代表として出席されているわけですから、説明責任もありますし。
「会議を重ねた」
という既成事実も必要ですが、
参加者が満足いく中身となるようお願いしたいと思います。