暇なざれごと

ごくごく日常の話とか色々ありのノージャンルの戯言(?)日記です。

漫画家・末次由紀盗作問題。 その2

2005年10月23日 23時20分15秒 | Weblog
注意・前回の記事はこちらを見てください。

漫画家・末次由紀盗作問題の話、再びです。

前回のが、自分の意見さほど書いていない上に投げっぱなしも
どうかと思ったのもあるし、あるブログでの所見を見て思ったことが
あったので。

っていうのは、竹熊健太郎さんっていうプロの編集者さんのブログで、この問題が挙げられていたのですが、なんか読んでいるうちに問題の議論が少しずれているように感じたのですよ。
言っていることは判るし、問題点もすごく判る。「でも、ちょっとこれは
ずれているなぁ」って感じたのです。

この人の意見としては、「模写とか模倣は漫画とかそいうのでは良く
行なわれていること。むしろ、出版社などの業界の姿勢が悪い」って
いう物でした。
(これもあくまで、「私はこう読みとった」と思ってください。)
確かに写真からの模写はよくありますし、私も写真から物が書き
起したりしています。

でもね。

例えば、運動のシーンとかそいうポーズを書くのに、既存の漫画家
さんの絵をトレースするのは違うのではないかなって思うのです。
これは、少女漫画の雑誌とかに載っている「漫画のかき方」っていう
のによく載っているのですが、「資料は常に集めておこう」って書いて
はある。
そいう資料の一環として、車のカタログとか集めるとか雑誌から見る
っていうのもあります。
それらを見て「このファッション誌のモデルさんのポーズとかかっこ
いいから」と「見て書いてみよう」と「トレースしよう」とは違うと思うの
です。
この方は、同等だと思っているみたいですけどね。

模写とかここではパロディも含まれていたのですが、美術の世界では
よくあることなのは、私でも知っている。
それによって新しく生まれた物もあるし、そいうものは本来の作品に
対してのなんらかの「気持ち」が入っているしね。

ただ、トレースしたものにはそういった気持ちとかは、まったくないと
言ってもいいと思うのですよ。
前回の記事で「私もトレース経験あり」と発言しましたが、そいうのを
やっている時って本当に何も考えていない時の方が多い。
まだ、見ながら書く「模写」の方が色々と考えて書くし、それは
なんらかの形で、自分の書き方に良い方向で影響できたりすると
思ってる。

あと、「そいったポーズ等の資料を作るべきだ」と訴えていますが、
確かにそれは一理あるのですが、実際問題の話では難しい部分
も多々あると思います。
出版社が差し出した資料が、80%も作家が希望するものを出せるか
って言うと疑問ですし、ポーズ集に関しては、そこそこのものなら
一般でも流通しているものでも困らないと思うのですが。
(最近は、「歴史衣装」のとか結構その手のもフォローがなっている。)
もちろん、本来はあると嬉しいものがないのも事実ですが。
(清水寺の写真とか。見る分ではあるけど模写できるようなフリー
素材ではなかったはず。)

今回の問題で末次由紀の場合、トレースしたために自分の本来の絵
とかけ離れている部分がでてしまったこともあります。
検証サイトとかにでも載っているのですが、トレースしたとされるコマ
の前コマはオリジナル(トレースしていないっていう意味で)ギャグ
ぽいシーンが入っているわけですが、この絵がそのトレース絵と
比べるとちゃっちく見えてしまうのです。

これが模写だと少しは違ったはずです。

検証サイトを見て、そこのブログで肯定的なコメントを寄せた人が、見たのちに「これ以上ひどいとは思わなかった」っていう発言があったぐらいでしたから。

実際の法律では「模写」も「トレース」もひっかかるかもしれませんし、
漫画における完全なオリジナルって呼べるものがないのも事実。

だからといって、許されることと許されないこともあると思う。
今回の処罰は厳しいものだとなじっている人は多いけど、その作家
がしたこととその後の本人がしたことを考えると社会人なら当然な
ことかなって思ってしまう訳ですが。
いや、私も色々と見たから知ったのですが、作家はトーレスしたこと
を認めたまでは良しとしても「編集部はそれを以前から知ってい
て・・・」みたいなことをHPに書いていたみたいですし、HPを閉鎖した
際に「編集部と足並みをそろえる為に・・・・」みたいなことを書かれて
いたらしい。

・・・・・これを会社が見て、クビを切らないわけが無いだろうと思う。

会社自体に不利益になりえることを書かれていて、会社がそのまま
見逃すわけは行かないと思う。ましてや会社側が明らかに悪いこと
でも、この状態なら理由をつけて切るのは会社としてはやりかねる
ことかと思う。

まさしく、一般のリストラなのですがね。

たぶんこいう事しなければ、完全にここまでやることは無かったの
かもしれない。
仕事でしたミスが、あまりにも大きすぎたっていうことだと思う。

今回の問題で、業界全体に対しての提唱になったとは思うのです。
今後どうなっていく等の行く末を見て行きたいと思いました。


参考及び一部引用あり。
たけくまメモ内「マンガ家の描写盗用問題についての私見」
たけくまメモ内「許される模倣・許されない模倣」