暇なざれごと

ごくごく日常の話とか色々ありのノージャンルの戯言(?)日記です。

TEAM NACS:WARRIOR-唄い続けた侍ロマン-

2012年04月23日 23時48分03秒 | CUE/NACS


ようやく待ちに待った、TEAM NACSの本公演です。

しかも、2日間で3回も。
一応ファンクラブにも入って、さらに携帯サイトも駆使してチケット取ったのですが、これはかなり幸運な部類だそうで。
本当はなかなか取れなくて、当日券に走っている人を考えると申し訳ないような気がします。

さすがに自分自身でも「やりすぎだろう」と思いましたが、地元でやる公演の上にそうそう行けない舞台と言うことで、奮起して行きました。
(過去でも何回でも同じのを見るのは、ライヴや舞台でもやっているが日付はおいている。)

前の公演の時は、大泉さんが脚本・演出やった「下荒井兄弟のスプリング・ハズ・カム」も行けなくはなかったのですが、「はじめて見るなら森崎さんのが見たい」って思いからスルーしていたという事実があります。
(去年、変則ではありますが「LOOSER6」で、念願の森崎さん作品を見ました。)

そして、ようやく大本命でもある森崎さん作品の本公演にありつけた訳で。
嬉しくもあります。
・・・・まぁ、その間にどっぷりとNACSに、はまりこんだダメ女がいますが。

今後一応、WOWWOWやDVD予定があるのでネタバレがダメな人は、この記事はスルーでお願いします。

こいう舞台は基本お一人様な自分ですが、今回は珍しく同行してくれるマイミクさんがいらしたので、一緒に楽しんでまいりました。(ありがとうございます。)

舞台は、まさしく地元・愛知。戦国時代。
NACSの5人が武将になって、戦国を駆け巡る物語です。

タイトルは「WARRIOR(ウォリアー:戦士の意味)」ですが、NACS流の読み方で「うぉりゃあぁぁ」なのです。これは去年(LOOSER6)の時点で、タイトル聞いていたので間違いないです。はい。

物語の流れ的には、主人公・徳川家康の回想劇。
関が原のシーンから始まり、桶狭間の戦い・三方ヶ原の戦い・本能寺の変・小牧長久手の戦いあたりまでが描かれています。(最後にもう一度関が原に戻る。)

史実ではあり得ない話で作られていながらも、史実もあるので本当にあるように感じてしまいます。
一応、情報で既に小牧長久手の戦いはあるような話が載っていたので、当日に長久手の古戦場に行ってきました。今は何も無い住宅地と公園ですけどね。

舞台本編では、役柄はすべて現在で使われている名前を使っています。
(豊臣秀吉は、この頃は羽柴秀吉ですが、豊臣にしてあったりする。)
これは多分歴史に詳しくない人への配慮かと思いました。
後、時期的に複雑なので統一したのかも知れない。

舞台は階段というシンプルなつくり、それを幕使ったりして色々と変化させている。
本当に「演劇」らしい舞台つくりでありながらも、演出がで世界がどんどん広がっていく様は、もう演出のリーダー森崎さんの演出力に感服。

しかも階段で殺陣(たて)するのだから、凄い大変だし、カッコイイ。

戸次さんの織田信長は、殺陣で切った後に何度も笑いながらとどめさすような残虐な演技もあり、それが個人的にはちょっと引く部分がありますが、それが一般的な「信長」だと考えればアリなのです。

そして、前評判聞いた通りの綺麗でカッコイイ信長でした。
そりゃあ、これで落ちる人多いわって納得します。
まぁ、私は「カッコイイなぁ」程度で「リーダー(森崎さん)カッコイイよ」の人なので、ブレなかったよ。
当然、マイミクさんは信長様に落ちたのは言うまでもありません。

お濃が好きなのに本当の気持ちを伝えられてない、不器用な信長。
もちろん、お濃が元々光秀の妻で今でも光秀を愛し続けている事を知っているから、自分の気持ちすら抑えてしまう。
最初に、信長に刃向かった光秀を生かすのだけど、それも濃姫の為だったりする。
その中の気持ちのモヤモヤ感もあり、気持ちが抑えられない。
それが殺戮という衝動に駆られるような感じがしたな。

最後には本能寺で死ぬのだけど、これがまた壮絶であり、今回の華と言う部分だったなぁ。
炎と共に散る部分の演出が、幕がぶわーと舞台を包む演出がまた凄い感じで、コレだけで生でみて良かったと思う。こいう演出は生の舞台で無いと味わえない。贅沢でした。

全体的に重くなる話を軽くしているのは、リーダー森崎さん演じる柴田勝家。
ほとんどボケ倒しの豪快な信長の家老。
・・・・キャラ的には、お馬鹿扱いでした。史実では、一応頭の切れる人なんだけどねぇ。

家康の影武者に仕立てられた又兵衛を、勝家から隠すために家来が又兵衛に覆いかぶさって隠すのだけど、「組み体操」と勘違いして上に乗ったり、信長に「ゴーリラ」と呼ばれて喜んだり、肥溜めに入った自分のぞうりをそのまま履いたりと・・・・まぁ、なんというか本当にお馬鹿のギャグキャラでした。
ちなみに組み体操の部分ですが、あれはしっかりと見ると判るけど、普通に覆いかぶさっているのでなく、家来の人達が覆いかぶさるように見せているだけで、一人一人が覆いかぶさるポーズになっているのですよね。だから、下にいた安田さん演じる又兵衛は潰れていないのです。
あれは体力かなりいるはず。アンサンブルの人、あっぱれです。

森崎さんの可愛さはもう半端無くて、個人的にはファンなので結構きゅんきゅんきていたりします。(笑)
とはいえ、信じ守る者として主君の信長を戒めるシーンがあったりして、それも印象的でした。
でも、1回ぐらいしかないんだけどね。もう少しあっても、勝家の役に深みがでるから良かったと思う。

大泉さん演じる明智光秀は、えらい(三河弁で凄い)カッコイイ愛する続ける人。
故郷を愛し、妻を愛する人。そいう部分では史実に近いのかな?
信長の妻である濃姫は、実は光秀の妻であるという設定で、他の男性のものになってなお妻を愛し続けるというところで、切ない部分もあります。
濃姫もまた光秀を愛し続けているから、複雑なんだよね。

ただし、雨男の部分は、完全にギャグパート。
演者当本人がかなり有名な雨男でして、身内ネタ的な部分もありますね。
(歴史的には、信長が雨男という説がありますが。)
勝家の「美濃の田舎侍がっ」というと、怒って勝家に雷を落としまくっていました。
もう自由自在ですね。

ドラマとかでは、大泉さんはギャグ系というよりもコメディ色のある役が多いのですが、実際NACSなどの舞台では真面目で純粋な役が多いです。
しかも、しっくりはまっているのを見ると、この人の本当の姿はこっちの方なんだなぁって思います。
テレビの方が、ちょっと無理しているのかも。
(そういや、どうでしょうも騙されるだけで割りとまともな部分もあるよなぁ。)

だから今回の舞台で、あそこまでガッツリとしたギャグパートが多いのは、珍しいと感じました。
その後のシーンで雨が降っている時に「すべての雨が私のせいだと思わないで欲しい」という所も笑えました。
これってリアル本人(大泉さん)が言っていますね。確か。

武田軍の最強の騎馬隊が、ケンタウロスというのが、ウケた。

これはもうギャグのパートです。
元々前の森崎さんの作品(HONOR)でも、ケンタウロスが出てきているのですが、これはそれのオマージュですね。
曲も、その作品で使われた曲アレンジのあたり、NACSファンならニヤリとするシーンでありながらも、ちゃんと一般ウケしやすくしてあるなぁって思った。

一部ではケンタウロスのシーンは要らないという意見もありますが、あれがあって華やかさもあるように感じたのは私だけかな?
たぶん、無いとひたすら殺陣になるから殺伐としたかも、それに実際は戦国では馬は普通に使われているから、代わりと見ればそれなりに面白いと思います。

音尾君が演じる豊臣秀吉が、これまた「秀吉」で演技力が抜群なので、さらりっとしていながらもグイッと引き込む力がある。
下から這い上がってきた「秀吉」を、本物のように演じていた。
途中で信長から「殿(しんがり)」という、ほとんど捨て駒の役を言い渡されるのだけど、その時の「生きたい」という本当の気持ちと弱さの演技にはグッと引き込まれた。

そして、最後の「本能寺の変」の本当の首謀者としての変化も、怖いほど凄かった。
秀吉に光秀は、はめられた形で首謀者に仕立て上げられてしまう訳で。
説では、「秀吉黒幕説」あるらしいですから、これなら納得。

安田さんが演じる、情けない徳川家康。
実際は、本当の家康はオープニングの桶狭間の戦いで今川を庇って死んでしまう為に、信長によって影武者に無理やり仕立て上げられた、絵師の又兵衛という人物。
一人二役なわけですが、あまりにも本物との差が違うのには、驚いた。
戦いも知らない平民だから、武田軍の襲来されても当然怖くて逃げてしまう。

でも、そんな家康の影武者・又兵衛を庇いながら、又兵衛に夢を託し死んでいく家来を見て、自分自身本物の「家康」なろうと決意する。
この変化の演技が凄い。

また、家康の奥方・築山御前が特にせつない。
私は1回で判ったのだけど、すでに最初から築山御前は家康が影武者だと気づいていたの。
遠い言い回しだから、うっかりスルーする部分ですが、セリフを聞いて一発で「この人知っている」と判った。
影武者と判りながらも、そっと又兵衛に寄り添う場面なんか、わかっていながらも自分の愛する人と似た男性をタブらせているんだなって思うと、切なくて。
又兵衛は「影武者だとばれる」という恐れから突き放すけど、築山御前の気持ちが複雑だよねぇって、つい感情移入してしまいました。

だから、信長の命令で又兵衛が築山御前を武田と内通していた罪で殺すシーンは、もう泣きました。
(内通していたのも「信長に三河を渡すぐらいなら」という理由。)
築山は、好きだった家康の愛している土地・「三河」を守るため、自ら処刑して欲しいと命を投げ出す。
そして、影武者である又兵衛に「本物の家康」として、「三河」を守って欲しいと願う。
それが「三河」の民を守るためでもあると。

本物でないけど家族にも、「三河を守る」という願いを託され、「本物の家康」となる決意をするのだけど、もう何ともいえないぐらい悲しかった。
前の席で見れた回があるのですが、その時の安田さんの泣きの演技が凄かったし、思わず入り込んだよ・・・。

「本物の家康」となった又兵衛は、「三河を守る」という想い、そして侍になろうとする。
本能寺の変で、信長によって「真の侍」の道を歩むのだけど、ここでも信長が家康にすべてを託すのです。
このシーンだけでも、実は信長も「平和な時代を望んでいた」のかもしれないと感じました。

そして、家康の言葉の「三河を守る」という言葉は、地元民である自分には、かなりストレートに入ってきました。

実際、私も生まれも育ちも三河で、父親も三河(母は違う地方の人)という人間なので、本当に自分がこうやって舞台見て楽しんだり、友人と遊んだり好きな人に恋したり・・・・そんな日常では当たり前のことをできるのは、こいう人達がいたからだと思いました。

そう考えると改めて涙してしまいました。
そして、自分が今「TEAM NACS」のファンになって、この舞台をみれたことが何かのめぐり合わせであり、また幸運なことだって。
不思議なんだけど、本当に見ることはなかったのかもしれないのだから。

カッコイイけど、戦国だから救われない想いもあるけど、どこかで本当に救われていているように思える優しい話でした。
史実は違うけど、こんな史実だったら素敵かなって、少し思いました。
(実は、秀吉がやや救われないのですが。)

あっという間の2時間。(カーテンコール抜き)
舞台なのに映画見たようなど迫力。
NACSが所属する事務所の社長さんの鈴井さんの舞台でも同じ事思ったけど、「私が今まで見てきた舞台は何?」と思ってしまうほどだった。

いや、宝塚とか他の舞台でも、それなりの魅力はあるのですよ。
それとはまた違うモノを見せ付けられてしまったなって。

まぁ、素晴らしい舞台の後の余韻をぶっ飛ばす、面白すぎるカーテンコール挨拶もあり、ハナタレとかお笑いタレント部分も見ている私にとっては、これも「NACSだなぁ」って笑ってしまいました。
私は、割り切って見れたけど。まぁ、大概の人が余韻ぶっ飛ばされるよね。

でも、それも魅力の一つです。

3回見ましたが、1回目は本当に見ただけで頭ショートしました。
その後、言葉が出なくて、一緒に見に行った人にご迷惑かけました。_| ̄|○
2回目で1回目の復習と整理を。
3回目で下手の前の席というのもあり、ようやく細かく見れたなぁ。

見てね一番に思ったのは、本当に正直な話をすると、やはり他の人にもめちゃくちゃ見て欲しい。

NACSの場合、客層が女性が多いのですが、男性の人にも見て欲しい。
この生の舞台を。生の演出を。
たぶん、あまり舞台を見ない人は舞台の世界が変わるような気がする。

今回はそいう意味では、一緒に行った方も気に入ってくれて嬉しかったし、連れて行けれて本当に良かった。
(欲を言うと、その方にはもう一度前の席で役者さんの表情とか見てもらいたかったと思った。)


ただ、気になったのは、脚本が弱いなって思った。

今回のは初の外部からの人の脚本だそうで、途中でメンバーや森崎さんのによる手直しがあったとはいえ、脚本家のが作った部分が残っている訳で。
もし、これが本当に初めてだったら気にならないのだけど、去年「LOOSER6」という形で、きっちりと森崎さんが書いた脚本の舞台を見たから、余計に気になったのです。

ベースのストーリーラインは森崎さんが作っているので、間違いなく森崎さんの色は出ている話ではあるのですが、やはり何か違う。

上手くは言えないけど、ストンって心に響くのが弱い気がした。
森崎さんの書く言葉って、不思議とストレートに胸に響くのだよね。

私的には、森崎さんがすべて書き上げた「WARRIOR」を見てみたかったなって感じました。

話的にも、かなりはまって「WARRIOR」。
また、どこかで見たいなって思いました。

名古屋で再演しないかなぁ・・・・。
DVDはもちろん買うのですが、来年になるだろうしねぇ。