古書肆雨柳堂

小説の感想。芥川龍之介、泉鏡花、中島敦、江戸川乱歩、京極夏彦、石田衣良、ブラッドベリ、アシモフ、ディック

ルネ・デカルト『方法序説』

2005-08-25 20:56:38 | 哲学

概要
 「われ思う、ゆえにわれあり」であまりに有名な作品です。正確なタイトルは
「理性を正しく導き、学問において真理を探究するための方法の話。加えて、その方法の試みである屈折光学、気象学、幾何学」です。
 論文集の冒頭の序説だけ有名になってしまったわけです。

 この当時(1637年)では、哲学と科学は今日のように分離していません。タイトルにもあるように、科学も真理を到達するための手段であり、それは道徳的な意味における真理と同じだったわけです。
 なので、序説では学問の方法として、モラル(善悪)についても語られています。

本を書く意味
 「われ思う、ゆえにわれあり」はおいといて・・・
本好きの人のために関係がある内容に触れよう。第6部では本を書く意味について書かれています。
 デカルトが触れているのは学問研究として、テクストを残すことの意味であるが、一般的な意味においての考える端緒になると思います。
 まとめていえば、
・書くという行為で内容を検討できる
・他人に批評してもらうことができる
・後から自分で振り返り検討することができる
以上である。

 本好きな人の中には「小説家になりたい」と思う人は多いと思う。そこまで強く思わなくとも、一回くらい思ったことはあると思います。私もそうです。しかし「何で本書きたいんだ?」と聞かれると答えて窮してしまいます。

 書くということは他人に見せることを想定しているわけです。そこには自分の主張が込められてなくてはならないと思います。
 文学における啓蒙でも、ただ「楽しませたい」でもいいと思いますが、ただ「なんとなく」では答えとして不十分であると思います。


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