昨年末のベスト選以来の音楽ブログです。やはりこういった話もないと当ブログらしくないね。
Jose Antonio Mendez ; Escribe Solo Para Enamorados (EL SUR RECORDS 004)
すでにワールド音楽愛好家の間では絶賛の評価で持ちきりのこのCD。ようやく僕の手元にも届きました。1枚目のホセ・アントニオのCDが出たのが2007年だったというのですでに5年近くたっているのですが、そのCDはいまでにちょくちょく聞きたくなるほどの愛聴盤。本当に時折堪らなく聴きたくなるといったものが、このホセ・アントニオ・メンデスの歌にはある。
この新しいCDから流れる歌も、変わらず僕の心の奥まで染みいってくる。
本当に素晴らしい。素晴らしいといってしまうと、とても大げさに聞こえてしまうが、そんな大騒ぎはまたこの音楽には似つかわしくもない。
このCDのもとになっている前半の12曲は1957年ころにメキシコRCAに録音されたものだそうだ。知らない人のために書いておくと、このホセ・アントニオ・メンデスはキューバ出身の言ってみればシンガーソングライターで、フィーリンと呼ばれる音楽の”動き”の中心人物として主に50年代に活躍した人。多くのキューバの歌手や楽団がそうであったように50年代にメキシコに渡り多くの録音をその地で残した、ということだそうだ。
・・・そういった話はぜひこのCDやその前のCDを購入していただければ添付の解説書に丁寧に書き添えられているので参考にしてください。
このCDの解説の冒頭にも書かれて入れていて、一人でおおいに納得してしまったことがある。
曰く、前作の1枚目を出した時には多くの好評価が寄せられたのだが、そのほとんどが男性(しかも中年の男性が中心)で、女性からの声は指折り数えるほどしかなかった・・・というくだり。
そうか、きっと世の多くのオヤジも俺と同じように、人知れず心の扉を開け放ちたいときにこのCDを聞いていたのだな。別に慰めてもらいたいほど傷ついているワケでもないし、励ましてほしいくらい落ち込んでいるワケでもない。ただ心をニュートラルに戻したいだけ。ホセ・アントニオは別に誰彼に向き合っているワケでもなく、ただ淡々と、でもクールというほどではない。ちゃんと気持ちを込めて歌っているのだ。でもとても自然なのだ。だから自然とこちらの心もほぐれてくるのか。
もちろん、そんなだらしのないオヤジ向けだけの音楽ではないのでご安心を。
たまには何のメッセージもない、誰を応援するでもない、誰かを励ますかでもない、なんでもない歌をゆったりと聴いてみるのもよろしいかと思います。オススメしますよ。