今だから話そう~障害者のきょうだいとして生きて~

自閉症で重度知的障害者の妹として経験した事、感じた事、そして今だから話せる亡き両親への思いを書いてゆきます。

「しゃべれどもしゃべれども」の試写会で

2007-05-22 19:02:27 | 映画・演劇・ドラマ

「しゃべれどもしゃべれども」公式HPhttp://www.shaberedomo.com/


先日(5月11日)、「しゃべれどもしゃべれども」の試写会に行ってきました~。

心あたたまる、ちょっとほろ苦い映画で、なにかほのぼのしたものを感じさせる作品です。

師匠からまだ認めてもらえない古風な落語家の男気であるとか、ちょっとこましゃくれた大阪弁の男の子、口下手な野球解説者、そして無愛想で笑顔が苦手な女性・・・・。

そんな個性的な人物たちが、下町の人情溢れる浅草で繰り広げられる世界。

何か忘れてかけていた日本人としての素晴らしさを感じさせてくれます。

人との関わりの下手な者たちが、どこかいびつではあるけれど、思いやりを持ちながら、不器用に関わっていく姿は非常に興味深いと思います。

特におすすめは大阪弁の男の子役の森永悠希くん!!

試写会の後で国分太一さんと森永悠希くんが映画と同じ着物姿で登場してくれました~~♪

国分太一さんは画面ではちょっとソフトな雰囲気ですが、なかなか男っぽい方に見えました。

当日は有料の試写会でした。
「本日は試写会ということで無料で・・・」という国分さんの発言に大阪人はすぐに反応しました。
手を左右に振りながら「ちゃうちゃう、有料やで~」
といわんばかりに多くの観客は反応してました。
その観客の反応に国分さんははじめて有料だということに気づいたようです。

そして、森永悠希くんの番が・・・・。
彼は映画撮影の時よりも5センチ背が伸びたそうで袴は少し短かったです。(笑)
でも、とっても可愛くて弁もたつ利発な少年で、台詞はすべて覚えていて、国分さんが忘れた台詞を横で小声で教えてくれたというからすごい!!
しかも桂枝雀の「まんじゅうこわい」のビデオをおばあちゃんからみせてもらっていてオーディションでは「まんじゅうこわい」を最初から最後までやってしまったというからなかなかスゴイ少年です。

もうすぐ上映されますが、もう一度観に行きたいと思います。
国分さんの情熱的な演技もすばらしいですが、私はやっぱり森永悠希くんの演技が楽しみですね!








 


映画「東京タワー」で亡母のことを想い出す

2007-04-22 23:28:12 | 映画・演劇・ドラマ
最近、映画をよく観るようになりました。
以前、あまりに多忙な生活をしていた反動もありますが、時間があれば映画や演劇を鑑賞するようになりました。

今回は「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」です。

この映画の原作はリリー・フランキーさんの「東京タワー」で、彼の体験に基づいた物語だといいます。
オダギリジョーさんの演技も良いのですが、私は樹木希林さんの真に迫る演技に感動しました。
彼女自身は大病をしたり、片目が義眼になってしまったという体験をもち、また実生活では内田也哉子の母であり、この映画と同様、家庭を省みない自由奔放な夫と別居生活をしており、彼女にとってもノンフィクションのような映画でした。
そして、娘の内田也哉子との親子共演も話題にのぼりましたが、どことなく似た親子が若い頃のオカンと現在のオカンを演じているため、リアルな感じがしました。
あえていうなら、若い頃のオカンから少し前のオカンに変わったとき、いっきにオカンがふけてしまってやや不自然な感じがしましたが・・・。
とはいえ、樹木希林さんの演技にはものすごいものがあります。

私の母親がガンで入院していたときの母がそこにいるように見えました。
これも母親をガンで亡くした私だから感じたのかもしれません。
映画の中でオカンは死に近づくにつれてわけのわからないことを話し始めます。
実は私の母もそうでした。
人は死に近づくと現実にはありえないようなことを喋りだすことも珍しくないといいます。
母がおかしくなった頃には、母の視線はいったいどこを見つめているのかわからなくなっていました。
樹木希林さんの演技は死の淵に立たされた人間の悲しみをはかなさを感じさせます。そんな彼女の演技が亡母のことをいっそう思い出させます。
オダギリジョーさん演じるボクは、オカンが死に近づいてゆくその姿に悲しみますが、私はまさに映画の中のボクと同じような気持ちでした。
母がおかしくなってからは私も悟り始めていました。
正直言ってその頃にはもうダメだと感じていましたし、いつ亡くなっても仕方がないと覚悟を決めていました。
とにかく母にとってよりよい最期を迎えさせてやりたかっただけでした。
この映画でも、ボクがオカンに優しい言葉をかけますが、そのときの複雑でなんともいえないボクの気持ちがわかるような気がします。
そういえば当時の私は、母に言ったことといえば、
「もう大丈夫だから安心してね。」
「お兄ちゃんのことは私がみるから、何も気にしなくていいよ。」
そんなことばかり繰り返していたと思います。
そして母の顔を見るたびに「もう心配しなくてもいいよ」と呪文のように繰り返していた私はきっと、自分で自分を励ましていたのだと思います。

さらに病状が進行して、母が寝たきりになって何も話せなくなった頃には、
「よく頑張ったね。」
「もういいよ。」
そんなことばかり話していました。
そう・・・もうこれ以上母の苦しむ姿を見たくなかったのです。
映画ではオカンがガンの痛みで暴れていましたが、母はそうではありませんでした。
ある親しい看護師さんはこんなことをおっしゃいました。
「ものすごく痛いはずなのに、お母さんはひと言もそんなことをおっしゃいません。スタッフ皆が驚いているんです。お母さんは本当に我慢強い方ですね。」

・・・だから、母はガンになってしまったんです。

しかも末期ガンまで放っておいたから、手術もできなかったのです。

私の母はまるで映画のオカンのようにいつも元気で周囲を明るくする母でした。
多くの人に愛され、弱い者のために奔走し、自分のことよりも人のことを優先するような母親でした。
弱い者に涙する優しい人で、弱者を迫害す者には堂々と戦ってゆくようなたくましい女性でした。
私はどんなに頑張ってもそんな母には追いつけません。
母は口やかましい人ではありませんでしたが、兄を育て社会に奉仕するという生き様を私に見せてくれました。
私は自分自身が映画の中のボクになったような気分でした。


この映画では東京タワーがこの一家の象徴的な存在に感じられましたが、私たち家族にとって兄が家族の“東京タワー”です。

これからも映画のボクは東京タワーを見るたびにオカンを思い出すのでしょうね。

 
 

障害者とその家族をテーマにした舞台(2)

2006-11-22 02:28:24 | 映画・演劇・ドラマ

以前にもこのブログで紹介させていただきましたが、障害者やその家族をテーマにした舞台がもうすぐ終わってしまうそうなのでご紹介いたします。

「はなす手☆つなぐ手」

詳細は前回の記事をご参照ください。
  ↓
http://blog.goo.ne.jp/sayaka01424/e/8ee65150444e7233c3c207044f436198


11月25日(土)  港南中学校 体育館  <無料>

            大阪市港区三先1-5-28 TEL(06)6573-0051

            開場:午後2時30分/開演:午後3時00分


12月 9日(土)  浪速区民センターホール  <無料>

            開場:午後2時30分/開演:午後3時00分


どちらも事前に現地にお問い合わせくださったほうが無難だと思います。

浪速区民センターホールは、もしかしたら事前に申し込みが必要かもしれませんので、念のためご確認ください。

よい作品だと思います。
今回を逃すと、もしかしたら二度と観られないかもしれませんので、もしもまだ観劇したことがない方は是非ご覧下さい。
一見の価値はあると思います。

人は年をとれば誰もがどこかに障害を抱えてゆくものです。
この作品では特に触れられていませんが、障害は他人事ではないと思います。
少しでも多くの方が自分のこととして受け止めてほしいと思います。



障害者とその家族をテーマにした舞台

2006-10-13 02:03:31 | 映画・演劇・ドラマ

今日、舞台の観劇の当選通知ハガキが届きました。

それは「はなす手☆つなぐ手」という“プラダウィリー症候群”という障害をもった女性とその家族のお話です。


<プラダウィリー症候群>
■原因■
 15番染色体q11-q12の父親由来が欠損するか、または母親由来が刷り込み(ゲノムインプリンティング)ダイソミーによっておきる遺伝病。患者では染色体 15q11-q12 が欠損してることが知られており、この領域に遺伝子座をもつ necdin (NDN) 遺伝子が原因遺伝子ではないかと考えられている。NDN 遺伝子は遺伝子刷り込みにより父親由来のもののみが発現する。NDN タンパク質は p53 タンパク質に結合し、そのアポトーシス誘導能を抑制する機能がある。また細胞周期を制御する E2F1 遺伝子とも結合することが報告されている。その他、様々な機能を持つことが示唆されており、これらの機能が欠損することにより、この症候群を引き起こしていると考えられている。
■症状■
性器の成長不全(特に男児)、知的障害があり、対人関係面の問題や、満腹感を感じにくいことによる肥満が4徴とされ、さらに小さな手足などの症状が見られる。

http://wpedia.search.goo.ne.jp/search/%A5%D7%A5%E9%A5%C0%A1%BC%A1%A6%A5%A6%A5%A3%A5%EA%A1%BC%BE%C9%B8%F5%B7%B2/detail.html?LINK=1&kind=epedia#.B8.B6.B0.F8

この作品では、妙ちゃんがいくら食べても満腹にならず、ついには糖尿病になってしまいます。

「障害者やその家族を支えていくのか?」といったことがテーマですが、内容は障害者家族が追い詰められてゆく姿が描かれています。
実話に基づいたこの作品はとても重いです。

この作品で、妙ちゃんが暴れたり、お母さんが妙ちゃんを愛す姿は、なんか私の母や兄の姿に似ていて、私にはとても他人事とは思えませんでした。

最近、「僕の歩く道」というドラマがスタートして、やや障害を美化する傾向がありますが、この作品にはいくつもリアルで激しい場面があります。
生きるか死ぬかの障害者家族の現実は、私にはその気持ちがよくわかります。

 

 

 

この作品は演劇ストーリーを舞台化したものです。
HPにこのようなことが書いてありましたので、参考まで
http://www.city.osaka.jp/shimin/jinken/02/gakushu2/index.html

<< 演劇ストーリーを読んで人権について考えよう >>

 「さまざまな人権問題を考え、解決の道筋を探り、人権尊重の文化の広がりをめざして差別の不当性
や人権の尊厳を訴える」をテーマに募集した演劇ストーリーの中から入選作品集を作成しています。

市役所4階、市民局人権室で作品集を無料配布しています。
また、郵送をご希望の方は送料210円分の切手を同封のうえ、住所・氏名を明記し、
〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20
大阪市市民局 人権室
TEL 06-6208-7631

までお送りください

 

 

 

私の兄とは異なった障害ですが、障害者の家族の現実を、こんなふうに舞台化していただくことで、少しでも社会に認知されるのではないかと期待しています。

この作品「はなす手☆つなぐ手」から、もうひとつのブログのタイトルを「はなす手、つなぐ手、心の手」とさせたいただきました。
障害者の家族の思いが社会に認知されることを願っています。

障害者の親きょうだいについて書いています。
http://blogs.yahoo.co.jp/sayakayamase

 


「僕の歩く道」  私の兄は自閉症だけど・・・

2006-10-10 00:32:35 | 映画・演劇・ドラマ

「僕の歩く道」番組HPhttp://www.ktv.co.jp/bokumichi/

10月10日(火)よる10時に「僕の歩く道」というドラマがスタートします。

主人公は31歳の自閉症の青年。
彼は、先天的な障害のため、10歳程度の知能しかもっていない。
そして、ある特定のことにおいては秀でた能力を有するが、抽象的な会話は難しいという特徴をもっている。

私の兄は自閉症で重度知的障害ということで、このドラマの動向がすごく気になります。
「このドラマは自閉症をどのように表現するのか?」
「自閉症という障害を社会でどのような形で認知されるのか?」
この2点がまず気になります。

それから、障害者が家族や社会とどのように関わっていくのかという、人間関係の部分が気になります。
私の兄の場合、両親亡き後は、親戚からは「亡き者扱い」されていますので、親族との関わりについてもどのように表現されるのか、はたまた親族について触れないのか、という点にも関心が及びます。

このドラマの主人公が、かつて映画でダスティンホフマンが演じた自閉症のタイプをなぞってしまうのではないかということも気になります。

自閉症にはさまざまなタイプがありますし、その表現の仕方でどのようにもとらえられてしまいます。
私が、怖いのは単に「自閉症を美化するのではないか?」ということです。
障害者の家族には他人には、それどころか親子間ですら、本音を語れないという様々な葛藤があります。
そんな葛藤をこのドラマに期待するのは無理かも知れませんが、まずは、障害者理解においては前進できるドラマになれるのではないかと期待しています。


番組HPに以下のような文章がありました。


彼はまっすぐに純粋に生きています。
彼はまっすぐにまっすぐに生きています。
だから、たくさんの人にまっすぐに純粋に愛されるのです。
ただそれだけです。

ただそれだけのことが、今の世の中ではとてもとても困難です。
そんな現代を生きる私たちは、知らず知らずのうちに身についた
たくさんの不純なものを取り去るすべを思い出せなくなっているのです。

でも彼の存在がそのすべてを取り去ってくれます。
そしてその奥にあるはずの、昔私たちが一番大切にしていた純粋を
思い出させてくれるのです。
その彼、この物語の主人公は、先天的な障害により、
10歳児程度の知能までしか発達しなかった31歳の自閉症の男性です。

彼の言葉、彼の行動、彼の生きる姿が
たくさんの周りの人たちを変えていきます。
たくさんの周りの人たちが忘れていた何かを思い出させてくれます。
そして、たくさんの周りの人たちに愛されていきます。

でも彼はそんなことすら知らずに、知ろうともせずに
今日もまっすぐ、まっすぐ歩いていきます。自分の生きる道を。


その彼の生きる姿を、
淡々と心に染みるように、
響くように奏でるそんなドラマです。




はたしてどのようなドラマになるのか?

・・・・楽しみにしています。

 



親きょうだいのことを書いています。
http://blogs.yahoo.co.jp/sayakayamase