今だから話そう~障害者のきょうだいとして生きて~

自閉症で重度知的障害者の妹として経験した事、感じた事、そして今だから話せる亡き両親への思いを書いてゆきます。

「ありがとう」から始まる出会い

2007-11-30 00:45:56 | 徒然日記

これは私の習慣というのか癖なのですが、ショッピングセンターや駅のトイレを利用したときに、お掃除の方と出会ったりしたら、私は必ず「いつも大変ですね」「ありがとうございます」と声かけをします。

トイレは汚い場所ですし、誰が使っているかわからない場所をお掃除するということは、お給料をいただいたとしても喜んでされる方は少ないでしょう。

最近は自分の家のトイレでさえお掃除を嫌がる人もいるというのに、ましてや知らない人が利用したトイレをお掃除するということはあまり気持のよいことではないでしょう。

お掃除の方とおしゃべりすることも多くて、いろいろな話を聞きます。
マナーの悪い女性も少なくないようで、外見は華美に着飾っているのに、使い方が汚かったり、中にはトイレ掃除の方を見下すような発言する人もいるそうで・・・・。
何か複雑な気持ちになります。

特にショッピングセンターなどでは、祝祭日はトイレの利用者も多く、一日の業務の大半がトイレ掃除になることもあるそうです。
本当に大変だと思います。

そんなわけで、日頃からお掃除される方には感謝したいものです。

トイレに限らずいつもきれいにお掃除されている場所は人の心を温かくしてくれるような気がします。

明日も明後日もお掃除される方には「ありがとう」と言いたいと思います。

「ありがとう」

その一言で、ほんの小さな出会いでさえちょっぴり幸せに感じられるかもしれません。


介護ストレスと周囲の理解

2007-11-12 01:15:39 | 徒然日記

「これは経験した人にしかわからないのよね・・・。」

お姑さんの介護にご主人とともに関わっているA子さんの言葉・・・。

ご主人のきょうだいはいるのですが、お姑さんがいる施設にほとんど顔を出さず、たまに現われては、判断能力の低下したお姑さんの言葉を鵜呑みにしては、嫁であるA子さんにあれこれと指示を出しつつ文句を言ってさっさと帰ってしまうそうです。

A子さん夫婦は、お姑さんがパニック状態になれば施設に寝泊まりすることも少なくありません。

施設ではほかの利用者に迷惑をかけないかと冷や冷やしています。

自宅にかかってくる電話のベルが鳴るだけで、施設からの電話ではないかとドキッとします。

介護経験のない友人からは明るく「それくらい頑張りなさいよ」といわれて悲しくなります。

小姑や他の親族からは悪意に受け止められ、「あなたが悪いからお母さんがあんなに悪くなったのよ」と言われます。

お姑さんの介護だけでもA子さんの心も体もボロボロだという、心やさしくいつも笑顔で人に接するA子さんをさらに痛めつけます。


これって・・・私はものすごくわかります。。。。


家族の誰かが介護を必要とした時には、いかに複雑な心境であるかを。。。


親だから長生きしてほしいけど、自分の心と体が限界になってくるともうたまらなくなるんですよね。

私の場合は、病院や施設のお世話になってずいぶん負担が軽減されましたけど、それはそれで苦しいことも多いんです。

ましてや同等の状態の方を自宅で介護されている場合などはより一層大変だと思います。

それだけでなく、介護というものに直接関わったことのない身内があれこれと口出ししてきますね。

私の場合、実父が要介護状態になっただけでも親戚がうるさかったですから、その時にはつくづく親戚ほどうっとうしいものないと感じました。

実の両親に限らず、配偶者の親きょうだいなどの介護経験をされた方はわかると思いますが、何もしていない身内ほどうるさく関わってきたりすることってあるようなんですね。

また、そのような人は介護に直接関わっている人に対して、こんなことを言ったりします。

「あの人は亡くなった後の遺産をほしがっているからおばあちゃんに親切にしてるんだよ。」

中にはそんな人がいるかもしれません。
でも、介護ってそんな生易しいものではないと思うんです。

お金をもらってもいやだと思うことがたくさん出てきます。

特に認知症で判断能力を失って、暴れたり暴言を吐いたりされたら、どれほど介護に関わっているものの心が傷つけられるのかを・・・。

それは、言葉では表現できないものがあります。

まさに人として愛情と思い遣りがなければ継続することは難しいでしょう。

財産目当てでそんなことはできないと思うのです。

それでも、介護に関わっている人の心身の疲労など、容赦なく口出しする身内はいるものです。



結局、介護に直接かかわっている人が倒れてはじめて、いかに介護が大変かを知ることになるのです。

A子さんもお姑さんの介護で心身共に疲れ果てて倒れてしまわれました。

私も倒れた経験を持つので、他人事ではありません。

A子さんのお姑さんへの介護はまだまだ続くことでしょう。

「あまり無理されませんように!」「もっと自分をいたわってほしい!」と今日も願うのです。

やっぱり私には無理・・・・(涙)

2007-11-09 04:02:18 | 障害者の妹だから

先日、兄を外食に連れて行きました。

兄にとっては最高の一日だったかもしれません。

しかし、それは同時に私には悪夢の一日でもありました。

その日、兄は落ち着きがありませんでした。

今日は外食できるのだと楽しみしていたからだと思います。

ただ兄は常に朝から興奮状態で雲行きもあやしかったのです。

でも約束を果たさなければ、その後の災難につながると思い、外食に連れてゆきました。

案の定、兄は私や夫の制止を振り切って行動してゆきます。

好き放題に行動します。

お店でも同様でした。

幸い衛生面ではお店にもご迷惑をかけてはいないのですが、ほかのお客さんは兄の言動に驚いていました。

職員さんと一緒ならば、こんなことは避けられるのに、家族だけだと兄は自分の思い通りにしてしまいます。

私がどんなに説得しても、外食に行きたいという自分の思いを何よりも重視し、私の手を強引に引っ張っていこうとします。

送迎の関係で車がすぐに来ませんでした。
そして外食がすぐに実行されないと知った兄は私の背中を思い切り突き飛ばしました。
すごい力で突かれた私は、道にあるガードレールにつかまって難を逃れましたが、一つ間違えば坂道で転倒して危うく大怪我を負うところでした。
きっとほかの利用者にもこんなことをしているのだろう・・・。
そう考えるだけで背筋がぞっとしました。

子供時代、兄が興奮してそれを制止した私の背中を思い切りたたきました。
たたかれた私は息が苦しくてしばらく横たわっていました。
そんな辛い経験がありますが、ついそれを思い出してしまいました。

私にとって兄は天使のようにとてもかわいい存在でありますが、興奮すると悪魔のように歯止めがきかない存在でもあるのです。

本当に複雑です・・・。

もし両親のどちらかが生きてくれていたら、兄もここまで自我を通すこともなかったと思うのですが・・・・。

兄は私が妹だということで、私の言うことには従わない傾向があります。
特に外食の場合、その傾向が強まります。

先日の外食は兄が興奮して制止不能の典型的なパターンでした。

私は二度とあのお店には行かないと決めたのでした。
それしか兄をおさめる方法がないのですから・・・。


やっぱり私にはできることはしれているのだと実感した出来事でした。

すっかり自信を失ってしまいました・・・・。