横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

電池のまめ知識

2016-06-12 23:09:22 | ノウハウ集
おもちゃによく使われている電池は、ボタン電池と筒型の乾電池です。昔はゼンマイとかゴムが動力源でしたが、動く・音が鳴るおもちゃは、全て電池が必要です。今回は、電池のまめ知識について紹介します。

通常の使いきり型の乾電池は、大きな単一型でも細身の単四型でも、出力電圧は1.5Vです。大きさの違いは、放電容量にあります。大きい単一型の方が単四型の方より、放電容量が大きく、同じ電流を使うなら長い時間使うことができます。水を満たしたコップを電池に例えてみるとわかりやすいです。傾けて、水を地面にたらすとき、電圧は地面からコップの高さ、放電容量はコップの水の量に相当します。3V必要な電子回路の場合、電流の消費量が大きなおもちゃは、単一型を二本直列にしますし、電流の消費量が小さなおもちゃなら、単四型を二本直列にすれば十分となります。

電池には、充電可能なものもあります。以前の充電可能な電池は、ニッケルカドミウム電池が主流でしたが、最近では性能の上がったニッケル水素電池が多くなりました。この充電池は、使いきりの乾電池と異なる性質があるので、注意する必要があります。

一般の乾電池の出力電圧は、1.5Vですが、100%充電した充電池の出力電圧は、1.2Vです。充電池の出力電圧は乾電池より低いですが、放電容量が大きいのが特徴です。このため、充電池は短時間大電流を必要とするラジコンやスマホに適しているわけです。消費電流の少ない一般のおもちゃに、充電池を使うと、電圧不足で100%充電しても、動作が不安定になる可能性があります。逆に、大電流を必要とするラジコンに乾電池を入れると、あっという間になくなってしまいます。

最後に、電池使用期限(正しくは使用推奨期限)があります。食べ物の賞味期限は、広く知られていますが、乾電池に使用期限があることは、あまり知られていません。乾電池の使用期限は、期限が過ぎたら全く使えなくなるわけではありませんが、期限内であれば電池が持っている力を十分に使うことができるという意味です。食べ物の賞味期限も期日が来たら、すぐに食べられなくなるのではないことと一緒です。お客さんには、電池に使用期限があること、新旧の電池をまぜて使わないこと、長期間の未使用時には電池をはずすことなど乾電池の使い方をお伝えしています。


アンパンマンのキーボード

2016-06-12 22:40:34 | 過去の記録
アンパンマンは、子供達の人気者。当然、アンパンマンの○○というおもちゃがたくさんあります。おもちゃ病院によく持ち込まれるアンパンマンのおもちゃに、キーボード(電子ピアノ)があります。過去、いくつも直していますが、2つほど修理事例を紹介します。

<高級版のキーボード>
このキーボードは、音や音楽に合わせてアンパンマンが演奏してくれる楽しいおもちゃです。演奏にあわせて、マイクをつかって歌を歌う(カラオケですね)こともできます。


このおもちゃの故障は、マイクが使えないことでした。コンデンサマイクは故障しておらず、色々見ていると、ミニプラグの先端が外れていました。ジャックとの接触不良やプラグと二芯線の接触不良は多いのですが、プラグそのものが故障したのは珍しいです。新しいミニプラグにマイクをつけて、修理完了!。


<一般的なキーボード>
このキーボードは、よく修理依頼があります。私たちも経験豊富になってきたのですが、それでも違う故障に出会う事もあります。このときは、一般的な故障である、3つのキーが音が出ない状況でした。でも、原因は一般的ではありませんでした。


特定のキーがならない場合、そのキーの下にあるゴムボタンに接触している電子パタンの酸化が多いです。キーを押すとゴムボタンが電子パタンに押し付けられます。ゴムボタンは導電性があるので、電子パタンをショートさせ、メロディICに信号を送る仕組みです。この電子パタンの表面が酸化すると音が鳴らなくなります。この酸化は電子パタンを消しゴム等で清掃したり、非常に目の細かい(つるつるの)サンドペーパでひとなぜすると直ることが多いです。この事例では、電子パタンの酸化ではありませんでした。このおもちゃでは、多芯コードと基盤の接触部分が切れていました。鍵盤キーを押す子供達の力が、メロディICのある基盤とキーボードの電子パタンを結ぶ配線の疲労を引き起こしたのだと思われます。2箇所ほどジャンパーを張って、完了です。