横浜港北おもちゃ病院の活動記録

ドクターの一人であるYoshi61が代表して記録しています

36年前のBRIO木のおもちゃ(篠原地区センター)

2024-02-25 21:48:39 | 活動の記録

2月24日は篠原地区センターで活動しました。この日、プラレールや電子レンジのおもちゃなどを修理しましたが、古いおもちゃが2つやってきました。

一つ目は、BRIOの木のおもちゃ、ピエロの乗った車でした。BRIOはスウエーデンのメーカで、子供に愛される素朴なおもちゃを作り続けています。持ち込んだお客さんによると、娘さんのために36年前に買ったそうですが、その娘さんの子供(孫)のために直してほしいとのことでした。

故障内容は腕が回らないとのこと。この車、ヒモを引っ張ると車輪が回り、その動力を利用してピエロの腕を回し、ベルを叩く仕組みになっていたようですがで、裏を見てみると、車軸と両腕の中心にあるプーリーを繋ぐベルトがなくなっています。

車軸と両腕の中心にあるプーリーを繋ぐベルトが必要ですが、そんなピッタリしたベルトはありません。そこで、汎用のゴムベルトを切って、半田コテで溶かして、最適な長さに繋いでみましたが強度が足りません。結束バンドも試してみましたが、木のプーリーのため滑ってしまいました。困っていると、あるドクターが「Oリングならあるよ」と。いくつか提供してくれたOリングの一つが、なんとピッタリ。

36年経過しているため、車輪のゴムも硬化しています。このため、ヒモを引いても車輪自体が滑ってしまうこともありますが、なんとかピエロ君はベルを叩いてくれました(動画はこちら)。嬉しくなって、サビサビのベルもピカピカに磨いてお返ししました。

さて、2つ目の古いおもちゃは、ソフトビニール(ポリ塩化ビニル)のウルトラマン人形でした。このウルトラマン、当時のTV番組名が「帰ってきたウルトラマン」でした。おもちゃそのものは、何年前のものかわかりませんが、TV放送は1970年代でしたから、なんと50年前! ドクターにとっては懐かしいおもちゃです。持ち込んできたお母さんによると、当時お兄さんが遊んでいたおもちゃを今息子さんが気に入っているので直したいとのこと。ソフビ人形のよくある故障ですが、腕が取れてしまっています。

ソフビは接着もうまくつかないので、どうやって直したら良いか、皆で相談しました。腕が落ちず、回転するようにしなければなりません。案としては、1)左右の腕を胴体の中でゴムでつなげる、2)胴体側に部品を入れて腕をネジで止めるの2案を考え、後者で行くことにしました。なかなか良い部品がなく、手持ちの部品で作ることにしました。こんな感じです。

実際には、ネジは腕の外側から、胴体内部に入れた部品を締め、腕が落ちないようにしました。修理後、腕にネジが見えますが、ご愛嬌。

ちゃんと腕は上がり、「シュワッチ!」のポーズも取れました。

家族の思い出を持っているおもちゃって、いいものですねぇ。

 

 

 

 


耳の動く犬のおもちゃ!(篠原地区センター)

2024-01-27 22:30:15 | 活動の記録

本日、1月27日は篠原地区センターで活動しました。

今日もたくさんのおもちゃを治しましたが、ワンちゃんが二匹もやってきました。そのうちの一匹は、1月12日に菊名地区センターで直したものと全く同じおもちゃの犬でした。故障箇所は、左前足の軸部品の破損で、これも全く同じ。本日はぬいぐるみ専門医が別な地区センターで活動中でしたので、補修部品がなく、入院とさせていただきました。もう少し、待っててね。

もう一匹のワンちゃんは、同じようにリードがリモコンになっており、お散歩ができる犬のおもちゃなのですが、耳が動くタイプでした。その耳が動かないので治して欲しいとのことでした。歩く、鳴く犬のおもちゃは子供に大人気。持ち込んだお父さんによると、お子さんがこの犬を大好きで、旅行に行く時も連れて行っていたとのこと。

このワンちゃん、結構頭が大きいので、中に耳を動かすモータがありそうです。リモコンを操作すると、モータ音が聞こえますが、確かに耳が動きません。歩くのは問題ないようです(実は問題ありでした)。早速、ぬいぐるみをゆっくり剥がしてみると(実はこれが結構手間がかかります)、面白い構造でした。両手をあげているように見えますが、耳を動かす部品です。本体の歩くモータユニットと、耳を動かすモータユニットは独立でした。

耳を動かすモータユニットを開けてみると、ギヤが噛み合っていない部分があります。原因はギヤの軸が曲がっていました。軸が曲がるなんて、びっくり!。軸を治して組み込めば、ギヤは噛み合いました。

さあて、これで修理完了と思ったら、後ろ足がぶらぶらしていることに気がつきました。歩いてはいましたが、後ろ足を止めていたネジが外れていました。これは、一回り大きなネジを使って補修しました。

結局、耳だけでなく、後ろ足も故障していたのでした。治してみると、音楽を鳴らしながら歩き、時折吠えるタイミンングで耳を動かしてくれました(動画はこちら)。

 

 


想定外の修理&想定通りの修理(菊名地区センター)

2024-01-14 21:14:05 | 活動の記録

1月12日(土)は菊名地区センターで活動しました。ここでは隔月でおもちゃ病院を開催してます。

この日も15件近くを修理したのですが、そのうちの2件をご紹介。まずは、恒例の歩く・鳴くわんちゃん(前回はネコちゃんでした)が左前足が骨折してやってきました。

このわんちゃんは想定外の修理となりました。

いつものように毛皮(着ぐるみ)を剥がして胴体を出してみると、左前足が取れており、一緒に割れた部品が出てきました。

この小さな割れた部品を治して組み上げれば修理できると想定しました。小さく割れているので、割れた部品同士を仮接着し、強度を出すために金属ピンを埋め込むなどなんとか修復して組み上げましたがうまく歩きません。この日参加していたおもちゃドクター皆に相談し、あーでもない、こーでもないと話しているうちに、胴体から割れたもう一つの部品が出てきました。なんと、左前足を取り付けていた部品はもっとバラバラになっていたのでした。ここで、うーんと唸っていると、ぬいぐるみ修理を得意とするドクターが、「3Dプリンタで作った部品があるよ」と。早速取り付けてみると、ピッタリ。

想定とは違う修理となりましたが、元気に歩くようになりました(動画はこちら)。最近の歩くわんちゃんは、頭にマイクがあり、鳴き声は吹子でなく、電子音をスピーカーで出しています。頭を撫ぜると、いい声で鳴いて歩きます。なんとかなって、よかった。

 

2つ目は、ラジコンです。これは想定通りの修理となりました。

このラジコン、前後に動くのですが、ハンドルが効きません。リモコンのタイヤを操作すると、前輪のモーター音は聞こえます。多分、モーターのピニオンギヤが割れているのでしょう。早速、前輪のモーターユニットを取り出すことにしました。

まずは、車体カバーを外します。この車体カバーはクリップを抜くと外せます。

次に、サスペンションを外し、本体のカバーを外していきます。

やっと、前輪の操舵を行うモータユニットが見えてきました。中を開けて、モーターのピニオンギヤを見てみると、案の定、割れていました。

今度は逆に組み上げて、想定通りの修理となりました。

 

想定外でも想定通りでも、おもちゃ修理は楽しいなぁと思った日でした。

 

 


笑い転げまわるエルモ(綱島地区センターで入院したおもちゃ)

2023-12-13 12:25:07 | 活動の記録

12月9日に綱島地区センターで活動した際、忙しく修理できなかったおもちゃを入院(預かり修理)としました。

入院したエルモ君、退院しました!

このエルモ君、足の甲やアゴの下のスイッチを押すと笑い転げ回り、最後にはスッと立ち上がるおもちゃです。依頼された状態は、全く動かず、音も出ませんでした。両足の裏にある電池ボックスを見てみると、見事に電池の液漏れで電極が腐食していました。12月9日の綱島地区センターでは、電池ボックス内の電極をリュータで研磨してみました。すると、動くのですが、最後に立ち上がらないし、声も出ませんでした。ここからは修理に時間がかかると思い、入院となりました。

預かったエルモ君、背中から毛皮(?)を脱がしてみます。そして、本体を開けてみると、足を動かすモータユニットにたどり着きました。

モータユニット内を開けてみると、モータ軸についているピニオンギヤが割れていました。

このピニオンギヤ、汎用のギヤではなく、少し長いです。綱島で入院手続きをする際、このエルモ君を修理した経験のあるドクターから、ピニオンギヤが割れていて交換になるはずとアドバイスをもらい、専用のギヤを分けてもらっていました。それを交換したら、ピッタリ。

声が出ないのは、スピーカー不良でした。直径45mmの大きなスピーカでしたが、27mmの汎用スピーカーで代用しました。

そして動かしてみると、元気に笑い転げてくれました(動画はこちら)。

 

エルモ君、無事退院できてよかったね。

 

 


直して欲しいとの手紙(綱島地区センター)

2023-12-09 22:57:21 | 活動の記録

本日、12月9日は綱島地区センターで活動しました。

おもちゃドクターは7名が揃いましたが予約件数はなんと17件!しかも、こういう日に限って修理が難しいおもちゃがやってくるものです。残念ながら治らなかったおもちゃには、

レジスターのおもちゃ(IC不良で断念)

ラジコン(受信部不良で断念、もう一台は治りました)

鳩時計(鳩は出るけど、時計のムーブメント故障で断念)

などがありました。当然、時間切れで入院も3件。お昼休みもゆっくりできないほど、忙しい日でした。

 

そんな中で、心温まる修理をご紹介。お母さんと女の子が、プリンちゃんという犬のぬいぐる(イワヤというおもちゃメーカの赤ちゃんシリーズの猫のぬいぐるみ)を持ってきました。

左後ろ足が骨折してしまったので、直して欲しいとのこと。袋に入っていた、プリンちゃんを出してみると、女の子からのお手紙が入っていました。

大好きなプリンちゃんを直して欲しいとの手紙と、怪我をしてしまったプリンちゃんの様子を詳細に書いてくれました。これは、もう頑張って治さないと!

中を見てみると、手紙の通り、左後ろ足は骨折していました。また、尻尾も骨折していました。

この赤ちゃんシリーズのように歩くぬいぐるみの足は、ポリプロピレン製なので接着ができず、ドクターによって直し方がいろいろあります。本日は、ぬいぐるみ専門医が欠席でしたが、直伝の方法で骨折を直しました。折れてしまった足に金属の添木をつけ、糸を巻いて固定し、糸を接着剤で固めるという方法です。

尻尾も補修し、元気に鳴いて歩くようになりました(動画はこちら)。取りにきたお母さんと女の子に喜んでもらえたのは言うまでもありません。

おもちゃドクター、やっててよかった。