恋はもうもく

はいあがってくるしずけさをうたでみたすー

0528.夏の前には梅雨が来る

2020年05月29日 23時34分45秒 | 色恋沙汰α
 毒性の強いウイルスは、感染を拡大させる前に宿主を殺してしまい、だから自分の強さゆえに死滅してしまう。聞くとなんとも皮肉な話だなと思ったけれど、自分でタイプして言葉にすると、それは他者を征服する毒性の強さと生命の強さとは同じではないという、ただそれだけのことだと妙に納得してしまった。
 感染源(感染者)に接触しなければ感染は防ぐことができる。それはまあ自明であるということで、電車には乗らず、小一時間自転車を漕いで出勤を試みる。帰るころになって丁度雨が降り出した。けれど、雨の中を駆け抜けたって、漕げば身体は熱を持つしどうということはなかろうと漕ぎ出だした。雨はすぐに激しさを増す。篠突く雨に撃たれ、ぼたぼたとしずくを垂らして漕ぎつつ、家の傍に来たところで雨は弱まった。その時になって太腿に疲労を感じ、同時に手に力が入らないことを感じた。雨が身体の熱を奪い、熱を奪われた身体は収縮して体幹を硬直させたから太腿ばかりが疲れるし、寒さは感じなかったが、末端に熱は運ばれていなかった。ブレーキもままならず、自転車を降りるとすぐに身体の芯も冷えてきた。
 マンションの階段を昇りながら虹が見えた。昨日、娘(3歳)に読み聞かせをする絵本の中で虹が出てきて、「虹を知っているか」と問うと「知らない」のだと言う。大きな虹がくっきりと空にあるので、娘に見せてやろうかと思った。だけど、玄関を開ける頃には身体は冷えきって、娘は丁度風呂上りであったので、断念する。
 風呂に入りがちがちに固まった身体を温めながら、考えるともなく考える。新型コロナウイルスの感染拡大によって私たちの生活は一変したけれど、雨は当然ながらそんなこととは一切、全く、関係なしに降る。そして猛烈に私の熱を奪う。毎週末、娘と定点観測をする紫陽花は、ようやくつぼみから白い顔をのぞかせていた。自分は世界の中心ではないのかもしれない。自分とは完全に別の、自分が感じるのとは全然違う、時間の流れがある。もうじき夏が来るだろう。当然のことではあるが、妙に感心してしまった。

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