恋はもうもく

はいあがってくるしずけさをうたでみたすー

0107.年が明ける

2019年01月07日 18時34分29秒 | 色恋沙汰α
 昼過ぎにようやく外に出た。歯医者でがりがりと虫歯を削る。「麻酔はかけますか?」と聞かれたが、初めは断った。だけど痛みに耐えられず、途中から。治療が終わると「三十分ほどは食事を控えてください。」といわれた。
 自転車に乗って、江古田に足を延ばす。目当てのパン屋と餅屋はどちらもしまっていた。また桜台に戻って、肉屋と八百屋をのぞく。肉は冷凍庫に鶏むね肉があったはずで、野菜はほとんど何もない。大根、にんじん、しめじなどを買う。その足で、駅の反対側にある喫茶店に行く。今日はここに行こうと決めていた。そこに特別な何かがあるわけではない。一人で過ごす休みというのはあまりないことなので、教をどのように過ごすべきか数日前から計画を考えた。いくつかの映画館や劇場やライブハウスの予定を見たり、休み明けの仕事の下準備を確認したりしているうち、こんなところまで何かを獲得するために過ごすのは少し疲れるなと思った。(簡単に言うとだらだら怠けて過ごしたいと思った)だから、ここに行こうと決めるというと少し大げさなようだが、そこで一杯のコーヒーを飲み、だらだらと時間を流すというのが今日の目的なのだ。だから歯医者の麻酔も初めは断ったし、途中で追加の麻酔をするかと聞かれたが断った。聞かれたのはがりがりと歯を削る度に顔をしかめていたからで、つまり麻酔はしても痛みはあって、だけど食事を控える時間が延びることをさけるため、その痛みに耐えたのだ。
 客は誰もいなかった。ホットケーキとブレンドを頼んで、持ってきた文庫本を開く。ホットケーキを焼いている間に常連らしいおばあさんが扉を開ける。「あけましておめでとうございます。」「あらー。」とか言いながら。ホットケーキはおいしかった。食べているうちに、また常連客らしいおじいさんが来た。お正月、子どもたちを迎え入れるのは準備で疲れてしまうので息子の家に集まるようにしてもらったこと。そうしたら血圧は上がらなかったし、拍子抜けするほどあっけなく慣習は変えられたこと。樹木希林がすてきであること。ときどき東中野の映画館に行くこと。映画館の名前が思い出せないが駅を出て左に線路沿いに歩いたらすぐあって、ああこうやって物をすぐわすれちゃうの、ということ(ポレポレや!)。でも最近は深刻な映画はなかなか見られなくって寅さんとかがやっぱりいいわあということ。そんな風なことを話しているのを聞くともなく聞き、本を読む。
 しばらくすると「ママ」の孫らしき子どもが駆け込んできた。「ほら、お客さんにあいさつしなさい。」と言われて、すこしもじもじとする。それからお煎餅をもらって、また駆け出した。遠くへ駆けていく足音がして子供らの声がまた遠くで聞こえた。コーヒーは思ったより濃くて、少し苦かったので砂糖を入れた。また客が来て、入れ替わりで店を出た。日が暮れていく。
 
 ライブも芝居もなかなか観ていない。2018年に買った新譜は両手で数えられるはずだ。十年前の自分からしたら、退屈な日々かもしれない。今の自分からすれば、年を追うごと、日を追うごとに生活は激しさを増していく。就職して結婚して子どもができてマンションを買って、それで東京で暮らす。ありふれた生活かもしれないけど、本当にそれは激烈だ。たぶん、どんな生活でも同じ分だけ激烈なんじゃなかろうかって、今は何となし、そんなふうに思う。

この冬、おお、と思ったの。Homecomingsの新しいの、よかった。toadliquolの編集盤、ほしい。

Homecomings "Blue Hour"(Official Music Video)


[Opening Selections Of] Inter-stellar Space


あとoddeyesのライブはめちゃくちゃよかった。静かに感動した。