恋はもうもく

はいあがってくるしずけさをうたでみたすー

1229.話しそびれていたこと

2011年12月29日 18時04分45秒 | 色恋沙汰α
一年が過ぎようとしています。
年の瀬に、軽やかにやる気に満ちています。やるきに満ちて、スタジオとか入ってみるけれど、一朝一夕でドラムなど叩けるはずもありません。世間より少し早く仕事を納めて、やる気に満ちた僕は、ようしあれもこれも―って勢い込んでみるのですが・・・、昨日も昨日とてひたすら眠りました。夜が来たらピットインに行って、大友山下坂田芳垣って、その面々の予想を裏切らないばっきばきな音の雪崩に震える二時間余り。夜が来たらまた眠るのですが、ピットインの前にユニオンにちらと寄って買った「IN A SILENT WAY」が最高で、いつかだれかが「仲野くん好きだと思うよ」って言ったのがだれだったか思い出せないのですが、確かに最高にクールだなあとおもいました。
目が覚めたら今日こそ年賀状を書かなくては、とペンを握っているのです。そうしていると少し、夏の話を思い出したので、今年のうちにしておきましょう。


『タイのあるきかた』

初めて、というわけではない。確か小学校三年か四年の頃だったと思うのだけれど、家族でハワイに行ったことがあって、その頃毎年夏休みになると家族で旅行へ出かけていて、それは最初で最後の(まだ最後と決まったわけではないが)海外への家族旅行だった。その時の記憶と言えば、往きの、つまり初めての飛行機で酔って吐いてしてしまったこととアンブロのサッカーシューズを二四〇〇円くらいで買ったこと以外になくって、と言い切ればウソになるけれど、だけど海外に行った感が希薄であることには違いない。

何の準備もしないまま出発の朝を迎えて、シャツとパンツとタオルと、リュックにつめたら、半年振りに部屋の鍵を閉める。
成田に向かう車中、うとうととしているうち、気づけば車窓には青々と田園の風景が広がっている。前日のギグの余韻と疲労を引きずっていて、「初めて一人で行く海外だ!」って盛り上がるでなく、広がる成田の山々を眺めながら気持ちはぼんやりと凪いでいて、それで、新宿から一時間も来ればもうこんな景色が広がるんだなあって、うとうとうとうととするんだけれど、まあ、一人だし。

お土産にって、何も用意してこなかったので、成田空港で豆大福を買った。

バンコクにはタイ人と結婚した高校時代からの友人が住んでいて、彼女らに会いに行こうって決めたのが十日ほど前のこと。「行くよ」って言ったら「高いけど大丈夫?」って言われて、見たら航空券の高額さに驚いた。あー、行けへんかも。飛行機って高いんですねぶつぶつ・・・つぶやいていたら、はす向かいに座る同僚が、PCをぽちぽちっとして「なになに、タイ?あ、ここ安いよ。」って即座にビジネスエアの往復三万というのをプリントアウトしてくれた。やっぱり持つべきものは安い航空券を探し出してくれる同僚である。
もちろんパスポートなどは持っていなくって、都庁でそれを受け取ったのは八月五日、出発直前の平日である。出発前夜は小岩で、帰国の夜には京都でのギグを控えていて、ってまあ、舐めた態度は否めないのだけれど、出発の便が十一時半の予定から二日前になって十五時二〇分に変更になり、冷や汗をかいたというのはここだけの話。出発の便なのでまあよいのだけれど、帰国の便が四時間遅れたら京都でのギグは・・・だめかもなあ、とか。

出国手続きなんて、十七年前はもちろん父に任せっぱなしであったし覚えているはずもなくって、電光掲示板を見て自分がどこに行けばよいのかをなんとなく確認していく。自分の乗る便名の横に「出国手続中」なんて出て、どこに行けばよいのかよく分からないなあと思っていたら表示が英語に変わって「GO TO GATE」、よっぽど分かりやすいな。
機内は満席で、三〇〇人くらいが乗っていたかと思うんだけれど、その鉄の塊が空を飛ぶわけで、いや、それが空を飛ぶこと自体はまあよい。それよりも飛行機のタイヤって近くで見てもやっぱりさして大きくはなくって、そのタイヤで両翼の脇と前の方と三点を支えるだけでよくバランスをとっているなあって、そのことに驚きを隠せない。(実際、三点に各々複数のタイヤがついてはいるんだけれど)動き出した飛行機の中で、あのタイヤで走っているんだよなあって、なんとなく席の数を数え(それでだいたい三〇〇人くらいって分かった)、窓の外をずーっと見ていた。

機内で『泥の河』(宮本輝)を再読し、初めて読んだ高校生の頃と同じく感動してしまったのだけれど、タイに向かう道中で読む本ではなかったかなあと後になって思う。戦後の喧騒の中、泥の河に浮かぶ郭舟で暮らす売春婦の母子と、川沿いに店を構えるうどん屋の息子とが関わり合い、だけど混じりあえない。売る者と買う者、貧富、蔑む者と蔑まれる者、今の日本では奥まったところにそっとそっとおし隠されているような明確に物語的な物語の構造があって、だけどそれをただの枠として、力強く生々しい生そのものがそこに描かれている。青い炎を上げて走り回る蟹。船を追うお化け鯉。じっとりと仄暗く洗練された美しい文章が連なり、あー、それとタイとが関係あるわけではないんだけれど、瑞々しく緑に溢れ、活き活きとした喧噪の国と自分とが少なくとも一週間そこらで混じりあえはしないだろうことをそこに読むとなく読んでいたのだ。
ウソみたいに傾いた飛行機はぐぐうと高度を増していく。「おかしな匂いのウェットティシュ、町々の灯り、隣席ギャルの母娘(くまのぬいぐるみ)」手帳にはそんなメモを残し、十九時五〇分、ほぼ定刻で飛行機はスワンナプーム空港に降り立った。

空港まで迎えに来てくれたタンパニチャヤーノ夫妻と二年ぶりの再会を果たす。トン君お勧めの(中華風?)タイ料理屋で夕飯を食べる。次から次へとごちそうが出てきて、エビ、トムヤンクン、なんだ、とにかくパクチーがいける口ならとびきりおいしいあれこれが次から次へと出てきて、トン君が東京に来たとき、東京に来たらここだよってサイゼリヤに連れて行ったことを少し申し訳なく思う。満腹の腹をさすり、二人が住む彼のおばさんの家へ向かう。
道中、家についてから、いろいろなことを話す。昔のこと、今のこと、これからのこと、そして明日のことを話す。二人は以前は日本に住んでいて、だけど「なんで日本人はこんなに働くんだ?」って半ばげっそりとして日本を去った(実際には、トン君はたくさん勉強して大学出て、日本語だって話せるようになって、だけどまともな仕事がないとか、ほかにもいろいろと理由があったろうが)。それで二人の顔を見たらとても元気そうなので、それはまずとてもうれしかった。今はどうしているのかと問うと、結局月曜から金曜までしっかり働いているということ。トン君は日本企業の総務をやっていて、「朝から会議があって、あとは、・・・ネットしたり昼寝したりしてる」とか。ハルカさんもその関連商社の営業で、ほとんど内勤だけれど、どっちにしても残業はほとんどなくって、どこまで本当か分からないけれど、少なくとも日本よりはよっぽどゆるやか且つ厚待遇だって言うし、明日だって休みを取ってくれて少し案内してくれると言う。(とてもありがたい)
とりあえず明日はアユタヤに行ってみようって、話していたらトン君が「電車男」のテレビドラマのDVDを観はじめた。タイのテレビは軍や政府のチャンネルばかりでつまらないのだという。タイに来て電車男を見るとは思わなかったし、バンコクで聴く福知山弁というのもなかなか乙なものではある。

一日が二時間長くなった二十五時、シャワーを浴びて寝ることにする。

<続く>

1212.年末年始のこと

2011年12月13日 01時49分58秒 | 色恋沙汰α
仕事上がり、数人の同僚と少し飲めぬ酒を飲んで、少し酔う。カルパッチョ、おいしかった。
話したいとか話せてよかったと思える人がいることはとてもうれしいことだと思う。
こうじさんに会いたいなあと思って電話してみるが、年内は山梨だか長野だかに居るという。気兼ねなく会いたいと思える人がいることは本当に喜ばしいことだと思う。
それぞれの場所に話したいと思えたり、話せる人がいて、それぞれの場所から別のそれぞれの場所に逃げられるということは健康的だなあと思う。どうにもならないことは、ある、ような気がするが、それを明言するにはいかんせん若すぎるという気持ちも、ある。ギグです。

●12/17(土) MOMA Presents「ヨルモマタイデ #1」 at幡ヶ谷SUR SOUND STUDIO.
恋はもうもく/MOMA/nature living/within the last wish/THE SUNSETBOULEVARD
open 17:00 start 17:30charge 1,000yen(1drink付き)

●12/23(金/祝) Document not found & room presents 「This is also good but it is also good」 @西荻窪FLAT
恋はもうもく/Document not found/room/Shipyards/Detrytus/Asthenia/rookow/I have a hurt/
open 15:30 start 16:00 adv/door \1,200(+1drink)

●12/24(土) THE WEDDINGS pre UNHAPPY HOLIDAY vol,7 @八王子リンキー8スタ
恋はもうもく/THE WEDDINGS/DIEGO/TEENAGE SLANG SESSION/SHIPYARDS/HELLO HAWK/ぼくたち(WEEZIE AND MOELIES) and more
open 17:30 / start 18:00 \1000

●1/9(月) WARPpresents「理由等イラナイ」 @吉祥寺warp
恋はもうもく/THE MASHIKO/ホッタモモ/センチメンタルボーイズ and more...
チケット:ADV/DOOR \1500/\1800
OPEN 18:00 START 18:30

●1/11(水) @新宿ninespices
恋はもうもく/te_ri/ and more...


気づけば結構、入っているな。いろいろあるけどとりあえず今週末、激熱だなと思っている。within the last wishと恋はもうもくとか、お祭りぽいのでなくこの組み合わせはそうそうないでしょう。あとshipyardsとの共演の多さは自覚しているつもりです。


音も画もとても悪いですが。