もう7月も終わりそうですが、6月に劇場で観た映画の中からおすすめをご紹介します。
今回は2本です。
◎李相日監督『国宝』(日本、2025)
吉沢亮と横浜流星の共演ということで昨年から楽しみにしていた作品。
素晴らしい大作でした!
本人が歌舞伎のシーンまで演じる本物志向です。
『さらば、我が愛/覇王別姫』の歌舞伎版のようでもありますが、覇王別姫は中国激動の時代背景を絡めて激しさが目立つ作品です。
国宝は、現代的な印象を受けました。
作品では1960年代から約50年を描いていますが、あまり時代背景は描写されず、主人公の喜久雄の人生や心情を中心に描かれています。
その時代にヤクザの息子として生まれた人物の人生にしてはマイルドな表現だと感じましたが、製作にあたりコンプラとの闘いだったと思います。
鑑賞後に原作を読みましたが、現代において映像化するには問題のありそうなシーンも多かったです。
よくあれだけうまく脚本にまとめることができたなと感心しました。
喜久雄と俊介は基本的に良い奴で、ふたりの仲が良いことも現代的なポイントで、それが根底にあるから話がドロドロになりすぎないのだと思います。
きれいにまとめすぎて、女性キャラクターが似た感じになっていたので、もう少しそこは変化をつけても良かったとは思います。
それと、せっかくの素晴らしい歌舞伎のシーンに無駄な劇伴を被せてほしくなかったです。
気になる部分はありつつも、良作であることには間違いないので、多くの方に観ていただきたいです。
マイルドではないワイルドな原作もぜひ併せてお楽しみください。
◎フランソワ・オゾン監督、脚本『秋が来るとき』(フランス、2024)
秋らしい色使いが綺麗な作品です。
ストーリーがリアルでよく練られていて、とても観やすかったです。
人間描写、心理描写が巧みでサスペンス的な怖さがありました。
それだけに、主人公のミシェルにもやっとすることが多いです。
ミシェルの親友の息子が計算高くて憎たらしく、他人から援助を受けるために打算的に行動する様子に、実在の人物を何名か思い浮かべてしまいました。