パソコンレッスンの現場

PCインストラクター、短大講師のエッセイ

『生きるための水が湧くような思考』感想

2008年08月16日 | 気になる本
『生きるための水が湧くような思考』 梅田望夫

この本はネット上に公開されている本です。
通常、ネット上に置く本の体裁はPDF等の形をとります。

それは固定された文字や形式の枠組みに書かれています。
それに対してこの本は発表された時のまま目次リンク集です。

まわりのCMなどの雑音の他にブログの感想もすぐに見えます。
その体裁が実際の本にはない発表の現場感を表現しています。

この体裁は私が通読するには読みにくいものでした。
メモ帳へコピーして貼り付け、さらに同様にワードへ。

文章は同じ文字の大きさのワードで一気に読みました。
印刷せず、ワードの「下書き表示」機能を利用しました。

臨場感はなくなりましたが、格段に読みやすくなりました。
最近の自分の慣習に反して以下にすぐに感想を書きます。

私は梅田氏の本はすべて読み、ブログも時々読んでいました。
発表の方法、立ち位置を変化させた種明かしがよかったです。

ベストセラーとして成功したことが世界を広げたようです。
以前のアメリカ成功譚は新しい枠組み故理解されなかった。

さらにシリコンバレーベンチャーの空気と成功の通過点は、
梅田氏の志の高さを満足させるものではなかった。

では、その志は何か。
トップエリートの私塾教育プログラム構築ではないようです。

志は自分の生活そのものの有様にあり、それを探すために、
休息宣言をしたようです。

伊藤若冲が旦那家業を捨て隠居生活するに似ています。
村上春樹がアメリカの空気より、ギリシャを好んだように。

次のステップはアメリカ的成功の次を見ているようです。
成功の後のセミリタイアの空虚感に気づいています。

4章の今北純一との対談がこの本全体のトーンと違い光ります。
以前の本で書いたエスタブリッシュの話が懐疑的になっています。

次なる生の充実感の有様をヨーロッパの普遍性をヒントに、
そこから何かをつかもうとする兆しが見えてきます。

雪かきの作業の充実感と空虚感を味わい、場所を変える。
そんな次なる模索の旅のはじまりの宣言に見えます。

優秀な高校生に生き急ぐ必要はないと言いつつ、
全速で着地点を探す次の梅田航海日誌を期待します。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
データか紙か (yone)
2008-08-18 21:45:37
ご無沙汰しております。
利便性や臨場感で言えば、Webで読めるというのは適していると感じます。その反面、読みやすさや理解度を追求するなら雑音の無い本やその類の媒体に勝るものは無いと思います。
電子化することで紙を減らせるという発想があり、電子化が進められた時期があり現在もその流れはあると思われますが、果たして紙が減ったかといえば逆に増えているかもしれない実情。書籍の売り上げは以前より落ちてはいるそうですが、書店が潰れないのも本としての媒体を必要とする人がいることの証拠。
何だか今回のブログはそんなことを感じながら読んでおりました。
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データと紙 (yamazaki)
2008-08-20 21:50:37
紙媒体をデータファイルにすると、紙が増える気がします。逆説的ですね。

画面がどこまでも紙に近くなればいいですね。

有機ELの次に考えてほしい。
もちろん根本的解決にならないのですが。。

公私共にお世話になります<(_ _)>


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