師事する速水コーチが暴力を振るったとして無期限の登録抹消処分を受けた女子体操の宮川紗江選手が会見を開きました。曰く「1年以上前に暴力があったことは事実であり、暴力は許すことは出来ないが、コーチも反省しており、処分は重すぎる」というものです。
さらに返す刀で、体操協会幹部によるパワハラを告発しました。曰く「塚原光男体操協会副会長と塚原千恵子女子強化本部長に一人で呼ばれ、速水コーチの指導から離れ、朝日生命で塚原千恵子本部長の指導を受けるよう説得され、そうしなければ五輪にも出られないと言われた」とのことです。
もちろん、事の真偽は分かりませんが、宮川選手の証言は詳細かつ具体的であり、宮川選手が指導の継続を希望する速水コーチの1年以上前の暴力を理由に無期限の登録抹消というのも行きすぎな気がします。有力な代表選手が指導を希望しているのであれば、出来る限りその希望に沿うように対応するのが本来の対応だと思いますが、有力選手を自分のチームに入れようという意図があったのなら、納得が出来ます。
日大アメフト部、アマチュアボクシング協会と不祥事が続いていますが、体操協会のパワハラが事実だとすると、これはスポーツ界全般に起こりうる構造的な問題だと言えそうです。日大アメフト部の内田前監督、ボクシング連盟山根前会長は、選手として有名ではありませんでしたが、あれほどまでに絶大な権力を握るに至りましたが、塚原光男は「月面宙返り」で金メダルを獲得した体操界のレジェンドであり、妻の塚原千恵子も元日本代表でともに朝日生命クラブを率いており、体操界での存在感は内田、山根の比ではありません。
いずれにせよ、補助金など公的な資金が投入されているスポーツ界の各団体のガバナンスがあまりにもひどいということが一連の出来事で明らかになったのではないかと思います。しっかりとこうした団体を監視する組織が必要だと思います。企業でも、スポーツ団体でも、チェック機能がなく、組織で権力が集中すると、それ必ず腐敗します。企業は自浄作用を働かせるか、さもなくば潰れるだけですが、公的な資金を投入される団体はたちが悪いです。「選手ファースト」での改革を期待したいですね。