野球は大谷翔平で盛り上がり、対するサッカー日本代表は不振を極め、野球界に風が吹いてきたと思ったら、昨日のサッカーW杯ロシア大会グループリーグ初戦で、前回惨敗を喫したコロンビア相手に勝利してしまいました。奇跡です!これまで全然盛り上がっていなかったのが、俄然盛り上がってきました。一方、大谷翔平は右ひじの靭帯損傷で戦線離脱し、こちらは一気に盛り下がってしまいました。皮肉なものです。
しかし、方向感が定まらず、不振を極めていたとはいえ、開幕2ヶ月前にハリルホジッチ監督を解任した時には、大方の人同様、大丈夫か?と思いました。就任した西野監督もよく引き受けたと思ったものです。そして、ハリル体制では招集されなかった本田、香川、岡崎といったビッグ3を招集し、乾も呼びました。しかし、残された数少ない実戦機会で、W杯に出場しないガーナに完敗し、スイスにも練習にならないと思われるような完敗を喫しました。
もはやここまでかと思われましたが、仮想コロンビアとなる最後の実戦であるパラグアイ戦で、メンバーを大幅に入れ替える賭け(西野監督的には計算なんでしょうが)に出ました。再び柱に据えたかに見えた本田圭祐をはずし、香川真司をトップ下に据え、左に乾を配置しました。そして、ボランチには攻撃的な柴崎岳と守備的な山口蛍を据えました。そして、これが見事に功を奏し、乾の見事な2ゴールに、香川も1ゴールを決め、柴崎も巧みにゲームを組み立て、4対2で快勝しました。
これで西野監督の方針が明確に定まり、昨日のコロンビア戦は、1トップに大迫、トップ下に香川、左に乾、右に原口、ボランチに柴崎と長谷部、左サイドバックは長友、右に酒井宏樹、センターバックが吉田と昌子の初組合せ、キーパー川島という布陣でした。
素人目には、長谷部と川島の出来がイマイチと感じましたが、それ以外は、見事に連動してチームとして機能し、個々の出来も良かったと思いました。
開始3分で香川から裏を突くパスに大迫が背中でDFをかわしてシュートを打つも、キーパーが好セーブ、しかし、さらに詰めた香川が枠内にシュート。たまらずコロンビアのサンチェスがハンドの反則。日本はPKを得ただけではなく、サンチェスの一発退場という数的優位も得ました。このPKもプレッシャーがかかるところでしたが、香川がキーパーを良く見て中央付近に蹴り込み、まさかの序盤早々の先制となりました。
日本のゲームプランは、前の方から積極的に守備に行き、コロンビアの攻撃を防いで失点せずに、何とか引き分けに持ち込み、勝ち点を得るというものだったと思います。それが、望外の得点に加え、相手が10人になり、かえって戦い方に迷いが出たように見えました。数的優位を生かせず、かえって相手に攻め込まれる場面を何とかしのぎ、前半を1対0で終えようかという時に、長友のクリアミスで高くあがったボールを、長谷部とファルカオが競り合い、ファルカオを倒れると、日本の反則をとられ、FKを与えました。そして、そのFKは日本の壁が飛んだ下を通すグランダーのキックとなり、川島が抑えられずに痛恨の失点となりました。ファルカオのプレーは、シミュレーションと見えましたし、FKもまさか下で来るとは思わなかったのかもしれませんが、痛い失点でした。
これまでのパターンで言うと、数的優位に立ちながら逆転されるという嫌な予感が頭をよぎります。しかし、日本はハーフタイムでしっかりと修正をしてきました。数的優位を活かして、無理に攻め込まずしっかりボールを保持し、相手ボールは前線からプレスをかけ、日本優位で試合を進めると、後半終盤に香川に代わって入った本田のコーナーキックを大迫が頭で合わせて、逆転を果たしました。日本各地で「大迫半端ないって」とつぶやかれたようです。
コロンビアはエースのハメス・ロドリゲスを投入しましたが、ふくらはぎを痛めているハメスは本調子には程遠く、ゴール前で危険なシュートを一本放ちましたが、それ以外はまったく守備では機能せず、他のメンバーも1人足りない状況で疲労がたまり、運動量が落ち、5分という長いロスタイムも守りきり、日本の奇跡の勝利となりました。
評論家、サポーターの誰もが、日本は引き分けなら御の字、出来れば大差での負けをしないで欲しいと思っていたでしょうが、冷静に状況を分析していた人もいます。前回大会監督のザッケローニです。彼は、コロンビアは4年前より確実に力が落ちており、彼らの名前を恐れずに戦えば、勝利できると言っていました。そして、まさに日本代表はその通りに戦い、勝利しました。
しかし、逆に言えば、コロンビアが弱かったから勝てたのであって、今後のセネガル、ポーランド戦の方が難しいのだと思います。このリーグは、コロンビアが筆頭と目されていましたが、そうではないということでしょう。
日本はこの勝利に酔いしれていますが、ラグビーW杯で、日本が南アフリカから歴史的勝利をあげながら、3勝1敗で決勝トーナメント進出を逃したように、日本の決勝トーナメント進出が保証された訳ではありません。これからが正念場です。
しかし、この後の2試合は、翌日の仕事を控えた深夜の放送なので、見られるかどうか。野球人気に影響が出ないくらいにがんばってほしいものです。