明日が健康診断だからというわけではありませんが、先日、高田明和著『長生きする食 早死にする食』(新潮文庫)という本を読みました(今健康診断がミスタッチで「健康死んだ」となりました。縁起でもない)。
ここ数年、健康診断でコレステロール値が正常値より高かったのですが、日本のコレステロール値の基準値はおかしいという本のことを以前書きました(「コレステロール論争」)。この本は綿密な取材に基づくものでしたが、著者はジャーナリストでした。
それに対し、今回の著者はバリバリの医学者です。そして、本人がまえがきで「自由医師の正論」と言っているように、組織に属していたり、開業していたりするとありがちな、しがらみで思ったことが言えないということから、自由な立場なのだそうです。
「もっと肉を食べるべき」
…戦後、日本人の寿命が飛躍的に伸びたのは栄養状態が良くなったためであることは明らかであり、肥満大国のアメリカで肉食を控えるのは当然だが、欧米に比べ肉の消費量が少ない日本人は、「モア・ミート」である。
…「うつ」と神経伝達物質セロトニンの減少の因果関係が明らかになっていますが、セロトニンを作る必須アミノ酸であるトリプトファンを多く含む物質が肉であるため、肉を摂らない粗食をしていると、うつになりやすいということです。
…また、加齢とともに脳が老化することは避けられませんが、肉食でしっかり脳に栄養を届ければ、認知症防止にも役立つそうです。
…さらに肉に含まれるアラキドン酸は、血栓を作るもととなると同時に、幸福感を作るもとにもなるそうです。過ぎたれば〇〇ですが、要はバランスよく摂ることが大事だということですね。
「コレステロールのウソ」
…私が以前書いたことと同じことが述べられています。コレステロールの220mg以下という基準は低すぎ、逆にコレステロールが低すぎる方が、うつやがんなどのリスクが増えるとのことです。
…コレステロールは体の中で作られるものが大半で、食べたもので増減することはほとんどないので、コレステロールを多く含むものを食べたからと言って、コレステロール値があがることはないそうです。
…体のすみずみにコレステロールを届ける役割のLDLが悪玉とされ、体から回収する役割のHDLが善玉と言われますが、コレステロール自体は、細胞膜などを作るのに欠かせないものであり、大事なのはバランスだということです。
他にも、「塩は血圧をあげる」、「砂糖は肥満や糖尿病につながる」、「紫外線を浴びるとがんになる」、「焦げたものを食べるとがんになる」など、常識のように考えられていることが、まったく根拠のないことだと述べられています。
疫学というのは、統計的な相関関係の話で、科学的な因果関係があるわけではありません。塩と高血圧の関係は、気候的な問題から塩分摂取量が多かった東北地方に、脳出血など高血圧と関連が高い疾患が多かったことから、相関関係があると思われただけで、塩分と血圧の相関関係は証明されていません。現在では、塩分よりも、かつての東北地方は肉食が少なく、脳の血管が弱かったからではないかとの説の方が有力なようです。
紫外線にしても、オーストラリアなどではものすごいナーバスですが、日本で皮膚がんで亡くなる人などほとんど聞きません。オーストラリアには元々白人はいなかったわけで、赤道近くの紫外線の強い地域に、もともと緯度が高い地域の人種である、あんな白い人間が住めば体にいいわけがありません。それに対し、それぞれの地域の紫外線の強さに合わせて進化していると思われる、黒人、黄色人種が、もともとの地域にいる限り、そんなにリスクはないわけです(と、これは、素人の私自身がずっと前から思っていたように、普通に考えても分かることです)。
ということで、私も、先日の日曜日、野球観戦で3時間たっぷり紫外線を浴び、恥ずかしながら、額の皮がむけてきてしまいました。皮膚がんよりも、他人の目が怖いです。そして、ゆっくり晩酌をして、明日の健康診断を迎えたいと思います。
この本の中でも言っていますが、健康ネタに一喜一憂、右往左往することの方が、よほど健康によくなく、好きなものを食べられるうちは、好きなものを食べた方が良いと、安心できる本です。むしろ、痩せている方が良くないということが書いてあるので、もっと太らねば(?)と思ったりもしますが、太ることは走ることには良くないので、悩みどころです。
今日のジョグ
5.1km 27分38秒