高校野球の兵庫県秋季大会で、判定を不服として監督が抗議を続け、選手が整列しないままゲームセットとなる事態が発生したとのことです。明石商対加古川北戦の9回裏、1点差を追う明石商が一死満塁から右越打を放ち、二者が還りサヨナラの場面ですが、加古川北が二塁走者が本塁を踏まなかったとアピールしいったんはそれが認められ二塁走者がアウトとなったものの、今度は明石商から本塁を踏んだとの抗議により再度判定が覆り、二塁走者の得点が認められサヨナラとなったとのことです。納得しない加古川北の監督は抗議を続け、選手が整列しないまま、ゲームセットが宣告されたとのことです。
センバツ出場がかかる秋季大会とはいえ、何とも後味の悪い結末です。この試合の結果は変わらないでしょうし、詳しい事情は分かりませんが、自分たちの立場に置き換えてみて、二重の意味で考えさせられました。
まず、一点目は、審判の判定は絶対だということです。認められたアピールはしても、下された判定にそれ以上抗議をしても仕方がありません。まだ野球のマナーを身につけていないベンチの下級生部員たちが、審判の判定に「えぇ~~」と声をあげることがありますが、そのたびにたしなめるものの、我々大人も時に思わず「えっ、今のが…」と声をあげてしまうことがあります。この点については、改めて肝に銘じたいと思いました。
もう一点は、自分たちが審判になった時の心構え、姿勢についてです。記事を読む限り、この審判もいったん認めたアピールを、相手チームからの抗議で再度覆すという不可解な判定をしていることが誤りのもとです。野球規則の中で、審判についての一般的指示として、次のようにあります。
・審判員は自己の決定に誤りを犯しているのではないかと疑うようなことがあってはならないし、たとえ誤りを犯しても埋め合わせをしようとしてはならない。すべて見たままに基づいて判定を下す。
・判定に疑念があるときは、躊躇せずに同僚と協議する。威厳は大切だが、「正確であること」がより重要である。
・審判にとっても最も大切な掟は、「あらゆるプレイについて最もよい位置をとれ」ということである。
ここで言っていることは、「最もいい位置で正確に見ることが大切だが、正確に見た自信がなければ同僚にしっかり相談しなさい。そうして下した判定には(人間なのでミスはあるかもしれないが)自分で疑いを持ってはいけないし、ましてや、他のプレーで埋め合わせなどしてはいけない」ということです。
恐らく、この審判は二塁走者のホームインを見ていなかったのでしょう。見ていれば、アピールをいったんは認めて、抗議されて覆すことにはならなかったはずです。上記の規則に従えば、自分が見ていないというミスを犯したのであれば、躊躇せずに同僚の塁審と協議すべきでした。塁審もはっきり見ていなければ、消極的判定ですが、「踏んでいない」ことを見たわけではないので、踏んだとして判定を下すしかなかったのではないかと思います。審判としては忸怩たるものがあるかもしれませんが、二転三転する不可解な判定よりは、偽りのない判定ではないかと思います。
少年野球とはいえ(いえ、少年野球だからこそかもしれませんが)、自分が審判をやる時は、しっかりした判定をしたいと改めて感じました。
今日のジョグ
5km 25分41秒