ネル。

ジョディ・フォスターと言えば、告発の行方や羊たちの沈黙のハードなイメージが一般的かもしれません。
が、彼女のレパートリーの広さは、コメディに、サスペンス、ＳＦに、ヒューマンドラマ、ラブストーリー、青春モノ、文学作品と、天井知らずです。
本当に素晴らしい女優さんです。
今回ご紹介のこの映画は、その中でもめずらしいタイプの役どころを彼女が演じています。
ストーリーは・・・

【ネタバレ】
人里離れた山奥に、母親が私生児として産み、人目から隠すように育てられた、双子の女の子達。
彼女達の一人は、幼いうちに死亡し、母親は娘、ネル（ジョディ・フォスター）が３０歳（推定）になった頃、死んでしまう。
母親亡き後、ひょんなきっかけで、彼女は精神科医に発見され、国に保護されることになるが・・・。

この映画の見所は、山の景色の美しさ！
日が燦燦と降り注ぐ昼間の景色はもちろん、明け方の薄紫の空、夜、水蒸気にけぶる湖面、その中に溶け込むようなネルの動き、見ているだけで癒されます。
そして、ジョディの演技のすごさ！！
羊たちの沈黙などで見る、あのとがった彼女ではなく、透明でにごりがなく、子供のようにあどけなくて、けれど、とてつもなく強い、そんな女性を存在感たっぷりに演じています。
そして、そのネルの強さは、他の人々にも影響を及ぼし、周囲の人に生きる力を与えるのです。
映画の中で、「人々は目を見ていない・・・」と、ネルが語るシーンがあります。
これは私たち、全ての人間に向けられた言葉なのですね。
私たちは、目を見て人々と語り合い、理解を深めることの出来る唯一の生物なのです。
他者と理解を深め、かかわりあう事で生かされている、それが私たちです。
ネルは、周囲の人に必要とされることで、一人で生きる強さを持ちつづけられるのです。
たとえ、果てしない喪失感（双子の姉妹を失ったこと）を抱えていたとしても・・・
ネルの印象的な台詞「ネルは大丈夫。」この言葉に、全てが集約されています。

ネル
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