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さいたま赤十字病院呼吸器内科 『こちら彩の国 呼吸器科』

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胸水を伴う肺血栓塞栓症

2017年05月04日 | カンファレンス室

最近胸水貯留を来す疾患について調べていたのですが、そのひとつに肺血栓塞栓症(PTE)があります。

最近雑誌「Respiration」に胸水貯留を伴うPTEの特徴について検討した論文が出ました。

PTE症例全体で26%が胸水貯留を来すようですが、PTE以外の原因を除くと約14%がPTE自体による胸水貯留を来すようです。胸水量自体は少量の症例が多く、胸水ドレナージをする症例はほとんどなく、胸水貯留PTE症例の臨床的特徴は何か?が興味あるところです。

今回の検討によると、胸水貯留PTEのほうが非貯留PTEと比較して、①重症PTEが多い(中枢への病変が多い、右心負荷症例が多い)、②CRPなど炎症反応亢進例が多い、③肺梗塞合併例が多いと結論されています。重症PTEが多いが、在院死亡率など生命予後には差がなかったようです。肺梗塞自体は末梢血管の閉塞による病変であり、それにより胸水貯留が合併するのは納得いくのですが、中枢動脈閉塞病変が多いという結果になることが理解できないところです。この論文内には「中枢動脈閉塞が起これば、必然的に末梢血管閉塞も起こし、肺梗塞が増えるのでは?」と考察していますが‥メカニズム的には①血栓からVEGFなどのサイトカインが放出され、肺毛細血管の透過性が亢進する、②肺毛細血管の虚血が想定されていますが、臨床的にはイメージがわかないですね。今後もう少し多数例での検討が必要と思いました。

臨床的には「胸水貯留を来す疾患としてPTEを鑑別しなければいけない」ということが一番重要でしょうか?PTEの胸水、量も少なく、自然と改善してしまいます。自分自身、胸水貯留で外来受診、胸膜炎を考え抗菌薬治療を行ったところ胸水が消失してしまったPTE症例を経験しています。その後繰り返しの胸水貯留にてやっとPTEであることに気づきました。抗菌薬投与で胸水が改善したのでなく、自然軽快だったのですね。胸水貯留PTE、もしかすると重症PTEの予測因子になるかもしれません。日常診療上注意していただけたら幸いです。

追伸。

ゴールデンウイークを利用して根津神社にお参りに行って来ました。根津神社、現在つつじ祭りの最中ですが、今年は開花が早かったのでしょうか?あまりお花は残っていなかったようです。来年はもうすこし早く行った方がいいかもしれませんね。

境内に千本鳥居があります。千本鳥居を北から南へくぐると邪気が祓われるようで、自分はその通り北から南へくぐりました。皆さん上記のことあまり知らないようで、南から北へくぐる人がほとんどで、鳥居の中でぶつかってしまい、大変でした。是非とも混んでいないときに北から南へ千本鳥居をくぐってくださいね。

 

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