さいたま赤十字病院呼吸器内科 『こちら彩の国 呼吸器科』

さいたま市近隣での呼吸器診療に興味のある、
若手医師、医学生の見学(平日)を歓迎します。ご連絡ください。

3月のチェストカンファレンスのお知らせ

2018年03月10日 | お知らせ

3月ももうすぐ半分が終わろうとしている今日この頃、まだ寒い日々が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?インフルエンザがピークアウトした感がありますが、今度は花粉症で悩まされている方々が多いのではないでしょうか?(私も夜中に無意識に鼻をかんでいるようです)体調が不安定になりやすい時期ですので、皆さん注意してくださいね。

ところで毎月恒例のチェストカンファレンスですが、3月は第2週水曜日の14日に開催いたします。いつもと同様午後7時よりさいたま赤十字病院7階第3会議室で行います。バラエティーに富む症例を用意していますので、興味のある方々は奮ってご参加ください。皆様とお会いでき、一緒に勉強出来ることを楽しみにしています。

(いつもと同様軽食の用意はありますので、お腹の方の心配はしないでくださいね。)

 

追伸。

今日久しぶりに一人暮らしをしている長男が戻って来たので、次男が高校卒業のお祝いを兼ねて家族4人で東京に食事に行って来ました。食事もとてもおいしかったですが、家族そろっての会話も久しぶりで楽しいひとときを過ごすことが出来ました。プライベートも少しは大事にしないといけないのですね。ちょっと反省しています。

  

また、先日私の尊敬する羽生善治永世7冠の本を読みました。その本の中の「一番の才能は同じペースで努力をし続けられる能力だ」という名言に感動しました。あの羽生7冠ですらずっと努力をし続けることを才能のひとつと思っているんですね。自分たちのみでなく、子供世代の若者にも是非とも頭に焼き付けて欲しいと思います。これからもコンスタントに頑張っていきます!

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CASSET-P 覚えていますか?

2018年03月04日 | カンファレンス室

先月東京において呼吸器画像勉強会に行って来ました。その勉強会は二部構成になっていて、前半が症例検討、後半が特別講演でした。前半の症例検討会は3例の症例提示がありとても姜興味深く聞いていましたが、そのうちの2例が上肺野優位の陰影でした。

症例①:現喫煙者の胸部異常陰影で、胸部レントゲン上上肺野優位に粒状影が徐々に悪化している画像所見であり、胸部CTでは上葉主体の粒状影、結節影に加えて小空洞が散在していました。現喫煙者+胸部画像所見(上肺野優位の陰影)を合わせるとランゲルハンス細胞組織球症(LCH)に矛盾しないと思いますし、実際の回答もLCHでした。(某呼吸器研究会で一緒に勉強している僕の尊敬するO先生はさらりと回答を出していました)

症例②:若い男性の急性経過の発熱、急性呼吸器症状を伴い、胸部レントゲンにて両側上肺野末梢優位の浸潤影です。胸部レントゲン上両側上肺野の陰影であり感染症らしくなく、好酸球性肺炎(CEP)または器質化肺炎(OP)を思わせるレントゲン所見かと思いました。では、胸部CTを見るととても悩ましい所見でした。確かに両側上葉優位の陰影分布でしたが、病変分布にはあまり特徴なく(胸膜直下優位分布ではない)、また浸潤影周囲のすりガラス陰影、粒状影の散在、胸水、小葉間隔壁肥厚などの広義間質病変に乏しいなど読影の難しい症例でした。本例はAIDSの症例でHART治療を開始したのちに発症した免疫再構築症候群(IRIS)を来したニューモシスティス肺炎(PCP)でした。AIDSということでペンタミジン吸入を続けていたようです。胸部画像所見からはとても難しい症例かと思いますが、臨床経過(AIDS+ペンタミジン吸入度+両側上肺野優位の陰影)を考慮するとPCPは鑑別に挙げられるかとは思いました。

ここでもう一度「上肺野優位病変を来す疾患‐CASETT-P」について整理してきましょう。

C:嚢胞性線維症+慢性過敏性肺炎

A:強直性脊椎炎+網谷病(上葉優位型肺線維症、近年ではPPFE)

S:サルコイドーシス

S:珪肺

E:ハンゲルハンス細胞組織球症(以前の好酸球性肉芽腫eosinophilic granuloma)

T:結核症(+非結核性抗酸菌症、真菌など)

P:ペンタミジン吸入中に発症したニューモシスティス肺炎(PCP)

今回の2例ともこの「CASSET-P」の症例に入っています。画像診断、胸部HRCT含め詳細に道読影することも大事ですが、胸部レントゲン写真など全体像から疾患を挙げていく作業も必要ではないかと思いました。

先日将棋界初の国民栄誉賞を受賞した羽生善治永世七冠の「大局観」、胸部画像読影にも必要ではないでしょうか?

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