ブリットの休日

大好きな映画や小説の感想や日々の他愛ない話と、
聴神経腫瘍と診断された私の治療記録。

朝の通勤電車の中で・・・

2024年08月03日 | 日記・エッセイ・コラム

 先週の朝の通勤電車の中で起きた出来事。

いつものように駅のホーム、最後部の車両の乗り場に並び、時間通りに入ってきた電車の流れる車窓から見える人だかりを確認する。

たまに空席があり座れることもあったんだけど、最近なぜか乗客が多く、この日も既に立っている乗客がちらほらと見える。

電車が停車し目の前のドアが開くと、私はドア付近の空間はこの先いっぱいになるので、いつものように通路側に素早く向かう。

たまに後ろに並んでいたはずの小さいおばさんが、すばやく私を追い越し回り込んで通路の方に入り、そこで通路がいっぱいで入れなくなることがあるが、この日はなんなく通路側に進み、しっかり自分の場所を確保する(^^)

 それでも駅を発車するときには、その通路も前後に人がいっぱい入り込んできているので、一歩も動けない状態だ。

乗車時間は20分ほどなんだけど、あとは終点まで運良く自分の近くの席に座っている人が電車を降りて、「ラッキー」と心の中でつぶやいて座れることを期待するだけ(笑)

まあ~そんなことはほとんどないんで、この居心地の悪い満員電車の中で過ごす20分がまあ長い長い。

 ただこの日は、そんな20分が気にならないほど夢中になる出来事が起こった。

乗車して通路に入り目の前のつり革を握り、なにげに周りを見てみると、つり革を下げてる鉄棒の2mほど先で何やらもぞもぞと小さい生き物が動いているのを発見する。

クモだ!

黒っぽい胴体が1.5cmぐらいで長い足をワチャワチャしている。

おいおい、こっち側に鉄棒を伝って寄ってこないだろうな、なんて思っていると、おもむろにツーッと糸を出してクモがぶら下がりだした。

そしてなんと私の左手前の席に座っていた20代ぐらいの男の頭まで下がっていったではないか。

ただクモは男の頭についたかつかないかの位置まで下がると、何かを感じたのか急いで上に糸をたぐって戻っていく。

下にいた男は何か頭に感触があったのだろう、頭を手でさっと振り払うと上を見上げる。

ここでこのクモに気がついたら、電車を降りるまで気になってしょうがないだろうな、なんて思って見ていたが、どうやらハエかなにか飛んでいるものを気にしていたのか、鉄棒に張り付いているクモには気がついていない様子。

 ここから私は、このクモから目が離せなくなってしまう。

それはこのクモが、このぶら下がって降りてはまた上がっていくという行為を何度も来る返すのだ。

時々横に移動し、なんとつり革の先から下がっていくというバリエーションも見せる。

私はクモが糸を出して降りて行く度に「やばいやばい!」と気をもみ、元に戻っていくたびに安心するのではなく「なんだよ、もうちょっとだろう」と男の目の前にぶら下がり、それを見て驚く男を想像し残念がる(爆)

クモは鉄棒にしがみついて足をワチャワチャした後、ツーッと降りていっては1mほど下がったところで慌てて戻っていく。

これを何度も繰り返すのだ(笑)

乗客のほとんどはスマホを見たり本を読んだりしているので、周りに通路の自分側のつり革を握っている人もなく、このクモに気がついているのはどうやら私だけのようだ。

そのうち驚いたことに私の頭の中で、映画「スパイダーマン」のテーマ曲が流れてきた♪

トム・ホランド版ではなく、トビー・マグワイアの最初のスパイダーマンだ。

自分の性格の悪さにも引いてしまったが、なんだかちょっとワクワクを感じてしまう。

 そして気がつけば20分が経過し、結局何事もなく電車は終着駅に到着。

鉄棒の上で相変わらず長い足をワチャワチャさせているクモを、私は名残惜しくもないだろうにチラチラと振り返りながら、他の乗客と一緒に電車を降りる。

 下にいた男は結局最後までクモの存在には気づかなかったが、世の中自分の知らないところでたぶんいろんなことが起こっているんだろうな、なんてことを考えさせられる、それほどでもない朝だった(^^;)



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