KAORU♪の「気ままなダイアリー」

KAORU♪が見つけたステキな風景、出会ったおもしろいできごと、おいしい料理などを“気が向いた時”にご紹介します。

★時のないガーデン

2021年05月13日 | Kaoru ♪の【New York 的スローライフ】
今年のコミュニティガーデンは
苗の差し入れがテーブルいっぱい♪

メンバーズメールによると
The Bronx Land Trust 
(ブロンクスランドトラスト)から
ブロンクスのこういったガーデンに
無料提供されているのだという。

メンバーはハーブや野菜、花の苗を
好きなだけどうぞ、というなんとも
素敵すぎるギフト。






去年の今頃はなにしろ
ロックダウン真っ最中でこんなに見事な
差し入れはあったのかなかったのか
記憶にないし、おととしの
新入りの時には、畑の空きがなくて
小さな鉢1個だけ。
メンバーのあまった苗をおすそ分け
してもらったことはあるけれど。

あんまりに嬉しくて、
どれにしようか迷う。

でも1.5畳ほどの私の畑には
そんなに植えられない。
なにしろ夏にはモクモクに
育ってしまうから。

ひとまずプレートに欲しいものをのせて、
自分のベッドに運び
1〜2苗ずつを植えてみた。






レタスやルッコラのウネの間に。

あー、でもコレもやっぱり1苗だけ。
ん〜、コレも植えてみたい。

テーブルに戻ってひとつひとつのラベルを
見ては行ったり来たり。

なんと気づいたら10種類以上も植えてしまった。

・オクラ okra Jambalaya 
・ハバネロ Habanero 
・ハラペーニョ jalapeño(Jedi )
・バジル Basil (Tulsi)





・紫バジルBasil Opal (Red Rubin)






・タイバジル Thai basil 





・紫ケール Kale (Redbor )






・キュウリ




・トマトTomato (Brandwine )
・ジャーマンタイムThyme German 
・イタリアンパセリ Gaiant of Italy 
・マリーゴールドMarigolds Dark orange 





・カレンデュラ




あれこれ迷って植えてみて、それだけで
どのくらいの時間が過ぎていくのだろうか。

「時は金なり」なんていう言葉とは
真逆の暮らしはまさに、
50年以上過ごしてきた東京では
体験することの出来なかった

“スローライフ”

ある日のこと。

ここのガーデンの達人、
小さなガーデンを何回転もフル稼働させる
お母さんと2人になった。

いつか名前を聞きたい、
いろいろ教えてもらいたい、と
思っていた名人である。

レタスを摘んでいると、お母さんが
近づいてきて突然私の畑に手を伸ばした。

これはいらない草だから抜くわね。
ほら、これもよ。これは
そのままにしておくと根が深くなって
抜くのが大変よ!ほら見て、
あの大きな木から種が
落ちて来ているのよ。

ほっておくと木になっちゃうわよ。

そう言いながら慣れた優しい手つきで
あっという間に雑草を採ってくれる。






1番大きく育った芽だけを残して。

これは自分で抜いてみて、ほらね。
根が長く伸びているでしょう?

全部自分でやらずに最後
は私の経験のために残しておくなんて。

まさに師匠の域である。

これはどうする?

ツボミが出てきているから
お花が咲くんじゃない?
どうなるか見てみたい、と
私がそう言うと、ツボミだけを残して
葉だけを取ってくれていた。

今、おかげであの白いアリウムは
ちゃんと花ざかりである。

これはこんなにいらないわよ。

無数に出てきたディル の
新芽たちを指さした。
この大きな1本があれば充分じゃない、
かなり大きくなるでしょう?
抜いた方がいいわよ。

そうか〜、でももう少し大きくなって
サラダや料理に使ったら抜くわ、
というとそれには手をつけない。



「話せるのは英語だけ?」

お母さんが聞いてきた。

「あとは日本語を。お母さんは?」と
たずねると

「私はスペイン語。スペイン語の方が
得意で病院なんかでは
スペイン語で話す方がラクなのよ、
ボリビアからここに来たの」

「えぇ〜!でも元々は?」

「オリエンタルよ」

アジアのどこ?と聞くと、
ソウルで生まれたのだという。
10才の頃に家族でボリビアに移り、
そこで40年近く暮らし、30年ほど前に
ニューヨークに来たのよ。

長い長い旅だったわ、と穏やかに笑う。

今は85才になったの。
毎日、このガーデンでは
やることがたくさんあって忙しいわね。

じゃあまたね、と言って鉄の扉を閉めた。帰った後も心があったかいひとときだった。






近ごろはお天気が良いとここで
ランチ食べよう、とリオが言うので
良くベンチに座ってごはんを食べる。

そして手入れに来ているメンバーと
おしゃべりをする。

BBQ はいつにしようか?
独立記念日はどうかな?
カルロスファミリーに声かけてみようか?

メンバーの1人、アラは全員分の畑に
丁寧にホースで水をかけている。
ホース使ったことある?教えるわね、
こっち来て!と手招きする。

この1年で人と会う機会が減り
誰かと直接会話することも
めっきり少なくなったコロナ禍で、
ここはその名の通りの「コミュニティガーデン」。

まるで“時のないホテル”のような

私にとっての、
NY的“時のないガーデン”なのである。

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