十六夜の SORA から 夢が降ってくる

いつも全快で 愛と笑い 届けます
 ☆You'll never walk alone☆
~ RYO,IWAI ~

コバルトブルーの女神 第二章 Summer breeze2

2015-03-15 00:49:29 | SORAからの贈り物☆日記☆

暗いステージに赤いスポットが少しだけ照らされて、
そのフレームの中に璃紅のドラムが光る
刻まれるシャッフルのリズム
俺たちの時間が始まる

拓也のベースが追いかける様に鳴り始め、合わせる様にファンの子達の
どよめきが、今夜のライブへの期待感を上昇させて行く

金色に輝いて見えるスポットが舞台の袖を映し出し、俺を迎えに来る
ジャーン!!
Aコードから始まるハードなイントロ
ボーカルが入って来るまでの俺のソロが鳴り響く

前は、ちっとも感情移入出来なかったこのタイミングに、
客席の真ん中辺りで手を振る海が見えた瞬間に、いつもよりオーバーアクション付きの俺が居た

いつもよりも、歓声のシャワーが心地よかった
ホワイトスポットがステージの真ん中に、ボーカルの亮を映し出し
歓声のボルテージは最高潮に達する

海が始めてライブを観に来た日、ステージに上がった最初の曲からの
全ての記憶は曖昧なのだが、これまで音楽をやってきたと言う満足感と、
舞台からは見え辛い筈の客席に、ずっと見続けることの出来た海の笑顔が、
俺の心を満タンに埋め尽くしていた

はっきりと覚えているのは、5曲目の“祈り”という曲を亮が歌い、
ギターソロの時に、海とずっと見つめ合っていた事
多分、アドリブで何時もより綺麗なメロディラインを奏でていたと思う

この日の新宿ロフトは、4組のタイバン(他のバンド)が演奏をして、
その中でも俺が一番仲の良い“ジェイカーズ”と打ち上げに向かう事になり
ステージ裏の関係者出口から外に出ると、小滝橋通りのガードに座って海が待っていた

『光、格好良かったよ』
周りで見ているファンの子達が “何あの子 馴れ馴れしい” と言う冷たい目線で海を見る
これでも俺たちのバンドはファンが多かったし、硬派なイメージで通って居たから
海のとった行動が目立ってしまったのだ
俺にとって彼女が来るとか始めての経験だし、いつも傍目にみれば冷たく誰とも口を利かず
さっさと帰る俺だっただけに、
『えっと~』
と、硬直してしまった感じのリアクションしか取れなかった

『よぅ 光の彼女って君?超可愛いね』
璃紅が言えば
『海ちゃんだったよね 光から聞いてたけど、まじ可愛いね 何で光なのかな?』
拓也が突っ込む
『本当ですか?嬉しいな 光がいつもお世話になってます~』
ここでやっと冷静になった俺
『こらっ 母さんみたいな事言うなよ』

璃紅と拓也のお陰で、なんとなく重たい場がクリアー出来た
『まぁさ とにかく打ち上げ行こうよ 行く奴着いて来いよ』
と亮の掛け声で、ざわざわとした団体が今夜のお店に向かって歩き出した

海は、しっかり俺に腕を組んで歩き、笑顔笑顔笑顔
俺ももう何も気にすることも無く、仲間達に『彼女なんだ』と紹介していった

凄く幸せな気持ちになれた
海の存在がここまで俺を変えてくれたんだ
不安の欠片も無いってこんな気持ちなんだろうと思った
でもそれは、ジェイカーズのボーカル桜(女の子バンド)に海を紹介した瞬間に変わってしまった

『あんたエリカじゃない』
この後、笑顔を失った海と流れていく時間が長かった事に、冷たい違和感を感じた

少しずつ何かが変わって行く




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