十六夜の SORA から 夢が降ってくる

いつも全快で 愛と笑い 届けます
 ☆You'll never walk alone☆
~ RYO,IWAI ~

コバルトブルーの女神 第二章 Summer breeze10

2015-07-01 01:37:20 | SORAからの贈り物☆日記☆

それから何時間経ったのだろう
もう オレンジだった光は眩しくて見上げる事の出来ないSORAになっていた
あんなに居たサーファー達も消えて 気がついたら親子連れや
若いカップル達が 思い思いのパラソルの下で陽を浴びている
小さい頃とずいぶん変ったな
今は海水浴場になっているんだ

俺のずぶ濡れだった身体は 何時の間にか乾いて
逆に汗びっしょりの自分に気がついた
海は現れなかった
喉がからからに渇いている事に気がついた俺は 一番近くの
海の家に入り 氷の沢山入ったボックスの中からコーラを選び
お金を払って 一気に飲み干した

波と戯れる子供達
楽しそうに水を掛け合う恋人達
夏の日差しに戸惑うお母さん達
素敵な景色を見せる海岸に 子供の頃の映像を重ねて不思議と笑顔が出た

『あんたこの辺の子かい?』
コーラを売ってくれたお店のおばちゃんが声を掛けて来た

『小さい頃 この辺に住んで居た事があってね』

久しぶりに 人と普通に話をした気がした
『この辺 だいぶ変ったろ 時代って奴かねぇ
変らないのはあのブランコと 丘の上の白いお屋敷くらいかね』

ブランコに目が行く
そこには 小さな男の子と小さな女の子が並んで漕ぐ姿が見える

『昔もあぁやって 毎日の様に小さな男の子と女の子が並んで
ブランコ漕いでたねぇ まるで映画のワンシーンみたいでさ』

思い出の映像を 今の映像と重ねて見る様な遠い目をしたおばちゃんは
店の奥から呼ばれて 我に返った様に店内に消えた
ブランコの二人を暫く見て
・・・今日はもう帰ろう 翔太にバイク返さなきゃ・・・
海を探す為の行動を 必死にした自分の事を
きっと神様は見ていてくれる そんな気がしたんだ

砂浜を歩いて 海岸より高い道路に停めたバイクを見上げる
そのバイクの向こうに小高い丘が見える
小さい頃も 今日も海ばかりを見ていて気が着かなかった
丘の上に白い洋館が見える

変らない景色とおばちゃんは言った
昔話にも男の子と女の子が居た

突然鳴り出した心臓の鼓動に 目眩まで覚えた
なんだろう この胸騒ぎは

ヘルメットを左手の肘に掛けてバイクにまたがり
被らないままバイクをスタートさせる

・・・あそこに海が居る・・・

それは直感だったのかもしれない
ただ鳴り響く心臓の鼓動を信じて 素直に身体が反応したのかも知れない

・・・海 今行くからね・・・

それだけが心の中を満たしていたんだ