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ブルズ森林王子の張泰山がプロ1000打点!

2010年07月23日 05時10分22秒 | スポーツ

(左から、台湾プロ野球初の1000打点を達成した張泰山・選手。右は張・選手が味全ドラゴンズでプレイしていたときからのファンの蔡さん。球団が特別に招待した。張・選手の両親はすでに亡くなっている)

台湾プロ野球、興農ブルズの中心打者、張泰山・選手が22日、高雄県澄清湖球場で行われたラニュー・ベアーズとの一戦でプロ通算1000打点を達成した。台湾の野球史で前人未到、もしかすると不滅となる大記録だ。日本の通算打点は王貞治さんの2170打点、MLB米大リーグ記録はハンク・アーロンさんの2297打点でこれらには遠く及ばないが、王さんは22年、アーロンさんは23年かかっている。台湾プロ野球のレベルやプロ入り15年目半ばで達成したことを考慮すれば、張・選手の記録も高く評価できるだろう。70年の歴史を持つ日本のプロ野球でも1000打点を達成した選手は37人に過ぎないのだから。

張泰山・選手は1976年10月31日生まれで今年34歳になる。174センチとプロ野球選手としては決して大きくはないが、がっしりした体格の右打者だ。守備は主に三塁だが今年は指名打者が多い。台東生まれのプロ野球選手の多くがそうであるように、原住民族のアミ族出身だ。

小学校から野球の道を歩み、1991年にはユースの国家代表メンバー(16歳以下)に選ばれた。1995年には社会人チーム、時報鷹隊に所属したが同チームが解散し、1996年に19歳でプロ野球の味全ドラゴンズに入団した。張・選手が兵役免除(肥満を理由に身体検査で落とされるよう故意に体重を増やしたという)だったため実現した最年少記録だ。
プロでは1年目から打率.333、本塁打16本と活躍、この年の新人賞に選ばれた。1998年の開幕戦では21歳と103日で四番に座り、台湾のプロ野球史上、開幕戦で四番打者を務めた中華民国籍の選手としてもっとも若い選手となった。1999年には打点王(70打点)を獲得。その後、味全ドラゴンズが解散したため2000年からは興農ブルズに所属、環境が変わったためか2000~2002年まではそこそこの成績にとどまった。
2003年から2006年は黄金期とでも言うべき活躍ぶりとなり、2003年には28本塁打で中華民国籍の選手の最多本塁打記録を塗り替え通算本塁打100本も達成、本塁打王とMVPを獲得した。続く2004年には二年連続の本塁打王(21本)、打点王(94打点)の二冠。2006年には三度目の本塁打王(24本)を獲得すると共に、通算1000本安打を達成、通算打点でトップ、生涯本塁打でもトップ(165本)に躍り出た。2008年には通算200本塁打も達成、2009年には12年連続の二桁本塁打(17本)、サイクルヒットも記録。そして今シーズン、張・選手は1300試合出場(2人目)を果たすと共に、22日の試合で通算1000打点を達成したのである。ちなみに張・選手は1361試合出場で1000打点達成。日本の読売ジャイアンツの小笠原選手は1063打点だが1639試合かかっている。

(前列右が、2006年に女性三人組ユニットのS.H.Eとイベントで一緒になった張泰山・選手。前頭部が禿げ上がっているのが特徴で、帽子をかぶっていることも多い。試合中にベンチで帽子を裏返して、前後逆にかぶっておどけていることも)

張・選手は三塁手として合計七度、ベストナインに選ばれるなど守備面での評価も高く、まぎれもなく、台湾プロ野球を代表する選手の一人。オリンピックなど国際大会への国家代表チームにも何度となく選ばれた。「泰山」と言うのは、中国語の「ターザン」と同じであるため、「森林王子」というあだ名がつくなど、野球を象徴する明るいイメージの選手だったが、2008年の北京オリンピック出場中、ドーピング検査で陽性となり一年間の国際試合出場停止処分を受けてからは影を背負ってしまったようで寂しかった。
北京オリンピックで中華民国は中国大陸に敗れるなど期待を裏切った。出られなかった張・選手はよほど悔しかったのだろう。2009年、結婚十年目にしてようやく授かった男児には「可洛」という名を付けた。「可洛」とはドーピングで引っかかってしまった成分「クロミフェン」の中国語。試合のために飲んだのではない。妊娠を助ける薬に入っていたのだ。自分の不注意を戒めているのか。それとも大きな代償を払って恵まれた子供であることを確認するためか。いずれにせよ、最近はかつてのようにはしゃいだりせず、ただ黙々とプレイする姿が多くなった。

22日の試合後、張・選手は「妻と息子が来ていた18日の試合で達成できればよかったなぁ」とちょっぴり残念そうにしながらも、あと18本に迫った通算安打の記録は「来月達成するよ」と自信を見せた。張・選手の通算安打は現在1564本、興農ブルズで今は守備コーチを務める黄忠義氏の1582本を追っており、これが達成されれば張・選手は通算本塁打、通算安打、通算打点のすべてで台湾プロ野球トップ、名実共に「ミスター台湾プロ野球」となる。22日の試合でも背中の痛みでマッサージを受けながらのバッティングだった張・選手だがまだまだ老け込む年ではない。台湾プロ野球の金字塔とも言える記録を伸ばしていってほしいし、前期優勝した興農ブルズの5年ぶりの年間優勝も実現してほしいのだ。(U)

張泰山・選手の記録

  通算打点   1000打点(1位)
  本塁打        233本(1位)
  安打        1564本(2位)
  単打        1051本(2位)
  二塁打        258本(2位)
  敬遠          60回(1位)
  盗塁          153回(6位)
  出場試合数   1361試合(2位)
  生涯打率      .309

  1000本安打、100本塁打、100盗塁の選手は張・選手を含めて3人のみ。
  結婚式は球場で行った。これも台湾初だった。


 



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