ユニバーシアード、なぜ？メダルをかむ？

（バドミントン女子「金」の鄭韶婕・選手と「銀」の白驍馬・選手。右から）

中国大陸の広東省深センで行われた、大学生のオリンピックこと「ユニバーシアード大会」。中華民国台湾は、金メダル７個、銀メダル9個、銅メダル16個という成績だった。参加した国・地域152の中でメダル獲得数では8位と、台湾にとっては過去最高の成績で喜ばしい結果だった。

仕事柄、台湾の選手が活躍している写真や報道にはよく目を通したが、写真を見ていて思ったこと、というか少し困ってしまったのが、メダルを獲った選手の写真がどれも同じような写真だったことである。それは上のように、メダルを歯でかんでいる写真。以前はあまり意識しなかったのだが、いったん気になりだすとどうも面白くない。活躍した選手は思いっきり称えてあげたいのだが、メダルをかむポーズにはやはり違和感があるのだ。

（テニス男子ダブルス優勝の謝政鵬・選手と李欣翰・選手。右から）

そこで、どうしてメダルをかむのかインターネットで調べてみると、日本の場合は、時代劇の中などで、小判がニセ物でないかどうか確かめるためにかむことから始まっているという意見が。なるほど、と思っていると、苦しい訓練を続けてきた結果、ようやく手にしたメダルを「味わっている」のだという言い方も。また、西洋の人たちがカップやトロフィーにキスすることから、メダルへもキス、さらには「かむ」ようになったという意見もある。これらの言い方は日本だけでなく台湾でも言われているようで、どれもなかなか説得力があるものだ。

（重量挙げ女子63キロ級優勝の何筱珺・選手。ちょっとひかえめ…）

台湾独特の解釈はないのかと調べていくと、ありました！それは、「カメラマンに無理やりポーズをとらされている」というもの。台湾で取材をしていると、カメラマンたちの「権限」が大きいと感じることもしばしば。記者会見やイベントを開いている側としては、大きな写真入りで報じてもらいたいわけで、カメラマンとは持ちつ持たれずの関係。イベント会場でのインタビューなどは文字媒体、テレビと、メディア別に応対する他、前後には「撮影タイム」が必ず設けられる。司会者は、「撮影大哥～！（カメラマンのお兄さんたち～！）」などと声をかけて、しっかり撮ってくれるよう頼んだりする。カメラマンの方でも、「笑って、右向いて、左向いて、上向いて、手を上げて下げて」など、要求を出しまくる人もいる。だから、「メダルをかんで笑って見せて！」などというのは十分想像できるわけだ。

（テコンドー女子73キロ級優勝の荘佳佳・選手）

10円玉をなめて金属っぽい、いやな味がした子供のころを思い出すと、選手がみんなよろこんでメダルをかんでいるような気はしないのだが、達成感に包まれていれば、口に含んだメダルの味はただの金メッキの味ではないのかもしれない。ただ、個人的には胸にメダルを下げてニッコリ、あるいは顔の横辺りにつまむように持ってニッコリといった方が好みではある。次の「人気のポーズ」が出てくるまで、しばらくはかまれるメダルに同情しておこう！（U）

※ ちなみにオリンピック憲章では、金メダルは92.5％の銀で作られ、少なくとも6グラムの金メッキがされていなければならないと規定されているそう。当然、全部が金のわけではない。金価格が史上最高値となる中、ちょっとガッカリ？

（テニス混合ダブルス優勝の謹瑋・選手と李欣翰・選手。右から）

（卓球男子ダブルス「銀」メダルの陳建安・選手と王翊澤・選手。右から）

（重量挙げ男子56キロ級「銅」メダルの唐啓中・選手。「どう」だっていいじゃないか！）

（男子体操吊り輪「銅」の陳智郁・選手。やっぱりこんな感じがいいと思うけど…。金メダルだったらやっぱりかんだのだろうか？）

（ついでといってはなんだけど、今月7日に発表になった、全国技能大会飲食サービス部門で最年少、16歳で優勝した黎恵婷さん。これはちょっとカワイイ！）