原題: THE ARTIST
監督: ミシェル・アザナヴィシウス
出演: ジャン・デュジャルダン 、ベレニス・ベジョ 、ジョン・グッドマン
試写会場: よみうりホール
公式サイトはこちら。
第84回アカデミー賞を席巻した本作。 当然観に行きます! 久々に自力で当選しました。
この日は間に合うかわからなかったので、確実に行ける友達に並んでもらっちゃいました。 (^_^;)
で、この試写の前日に、フィルセンの「現代フランス映画の肖像2」でジャン・デュジャルダン旧作の『何事も誓うなかれ』をあらかじめ鑑賞して予習しておきました。
感想はこちら。
『何事も誓うなかれ』の方が、ジャンは若い感じ。 『アーティスト』はオールバックの髪型だし、仕草もベテラン俳優っぽくしてましたね。
本作でジャンは一気にその名を世界に知らしめたことは間違いないので、貴重な過去作品の鑑賞ができてよかったです。
彼は表情豊かなのが持ち味ですね。
1927年のハリウッドから映画は始まる。
同年アメリカで世界初のトーキー『ジャズ・シンガー』が公開され、広く受け入れられた。 これがそれまでのサイレント映画からトーキーへの移り変わりと言われています。
本作はここを押さえておくととてもわかりやすくなります。
劇中でも、サイレント映画のジョージが時代の流れと共に取り残され、撮影所で知り合ったペピーはそれとは相反してトーキー映画のスターとなっていきます。
一時代を築いてきたスターにとって、自分の得意分野の凋落や、それに伴って落ちぶれていく自分を認めていくのは大変なこと。
ペピーはそんなジョージをひたすらに尊敬し心配し、彼の力になれないかと願うのですが、過去の栄光や自分のプライドが捨てられないジョージはそんな彼女の想いも突っぱねてしまいます。
ひたむきな想いが通じた時、そして2人で新しい未来に一歩踏み出したとき、違う世界が開けてきて今まで見えなかったものが見えてくる。
そこと、サイレント映画からトーキーへの劇的な変化とをうまく重ね合わせ、映画史へのリスペクトもきちんとなされています。
サイレント映画、そして年度末で仕事帰りというめちゃくちゃ睡魔に襲われそうな条件がそろってたんだけど、これは全く寝ませんでした。
むしろセリフがない分映画に集中できることがメリットです。 次はどうなるか? と目を凝らしていないとわからなくなってしまうので。
言葉があふれている時代に、敢えて言葉のない映画を作ることの意味。
それは情報過多の中で失ってしまった、大切なことを精一杯伝えようとする想いを今一度見直してみませんか? というメッセージのように思いました。
今は映画もいろいろな技術ばかりが先行してて、如何に快適に、如何に奇を衒うか、如何に目を引くか、ということが主流になりすぎているような気もして。 それも確かにいいんですけど、映画の原点に立ち返って考えると、とてもシンプルなものなのではないでしょうか。
本作は無声映画なのはもちろん、クレジットの作り方もとてもシンプルで、昔の何もなかった時代に苦労して1から映画を作り上げた人たちに対しての敬意を感じます。
演技で魅せてくれたのは主役の2名のみならず、アギーちゃんもそうでした。 ほんと可愛い!
文句なしパルムドッグです。 アギーちゃんほんといいですよ~(→しつこい。笑) 名犬です (*^_^*) 犬がここまでできるなんて・・・って、そこでも感動できます。
★★★★ 4/5点
書いたらまたお邪魔します。
これ、トーキーの走りの感覚というか、あのころの映画ってものすごくシンプルだよね?
そういう風にわざと作ってるんだと思う訳。
それがかえって新鮮だったから受賞したように思うんだけどね。
私も良かったは良かったしアカデミー賞とるのもいかにも赤会員好きそうな感じだしわかるけど、好みでいったらヒューゴの方が好きだな。
フランス映画っぽくなくて俳優もけっこうアメリカ人だしてましたね~
内容もフランスよりハリウッド映画寄ってる感じしました~
もちろん現代の映画と比べても意味は無いし、それぞれ良さががあるけれど、 映画ってこういうものだったからこそ世界中で愛されたんじゃないかと思うんだよね。それを今に甦らせてくれたのが嬉しくて。昔の人がちょっと羨ましくなりましたよ。
逆にこういう映画愛に溢れた作品をフランス人に作られちゃうってのが、「それでいいのか?ハリウッド?」って感じ。本来これはハリウッドが作らなきゃだめでしょ~。
>内容もフランスよりハリウッド映画寄ってる感じ
単純な感じだからそこがウケたんでしょう。 アイデアの勝利かな。
原点を大事にしているからお話もシンプルでしたね。
そうそう、ハリウッドの話だからフランス映画とは思えない感じ。 でもまとめ方のスマートさなんかはフランス映画なのかなー。 余分なことがあまりなかったですね。
本来映画ってこんなにシンプルなものなんじゃないか、それにああだこうだと余計なものをくっつけないと満足できないのが今の観客なのかも。
映画としての芯がしっかりしていれば、無声だろうがモノクロだろうが、人の心をつかむことができると思いました。
そんな時代だからこそ、この映画が持つメッセージ性は素晴らしいの一言。
情報は多けりゃいいってもんじゃない!ということを久しぶりに映画から学んだ気がしましたよ。
自ら、その表現法を制約すること。
映像と編集で見せるわけですから、
その分、丁寧なつくりになりますよね。
もちろん、デジタルに頼っているところもあり、
すべてが昔のままとはいきませんでしたが、
それでも意欲的な試みだと思います。