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『MERU/メルー』

2017-01-19 | 洋画(ま行)


原題: Meru
監督: ジミー・チン 、エリザベス・C・バサヒリィ
出演: コンラッド・アンカー 、ジミー・チン 、レナン・オズターク 、ジョン・クラカワー 、ジェニー・ロウ・アンカー 、ジェレミー・ジョーンズ
鑑賞劇場: 109シネマズ二子玉川

公式サイトはこちら。

難攻不落の「世界一の壁」と呼ばれるヒマラヤ・メルー峰シャークスフィン登頂の模様を捉えたドキュメンタリー。北インド高度6500mにそびえるヒマラヤ・メルー峰のシャークスフィンは、連続する障害壁などから多くのクライマーにとって悪夢の山とされ、だからこそ挑戦せずにはいられない難攻不落の壁として知られている。2008年10月、コンラッド・アンカー、ジミー・チン、レナン・オズタークの3人のアルピニストがこのメルー峰に挑み、7日のツアー予定は、結果的に倍以上の日数を要する大チャレンジとなった。(映画.comより)



何故か今まで観た山岳映画は、どれも残念なものが多かった。アタックの経過も関係するのだが、山岳映画の出来は多くは登山者たちの性格に左右されるからだ。チームの誰かが大体癖のある性格や、激しい気質を持ち、それが故にチーム全体がうまく行かず感情に左右されてミスが起き、アタック失敗を見せられることが多かったからだ。

翻って本作。コンラッド、ジミー、レナンの3人のチームを組むにあたっての様々なストーリー、そして過去のアタック、今の3人の関係性がバランスよく描かれている。「安全を期しながらもギリギリまでリスクを取る」ことは運や天候にも左右され、それを完璧になし得ることは至難の技である。

決して順風満帆とはいかず、満身創痍のチームを助けたのは、彼らが3人で成し遂げるという強い意志があったからではないか。不慮の事故の連続、再起不能とまで言われた体調、それでもこの3人でアタックすると決めたのは、互いへの信頼が後押ししたとしか言えないだろう。根拠のない自信を成功に変えるには、様々なラッキーを積み重ねるしかない。それを呼び寄せるだけの慎重な準備、経験値もまた彼らに味方している。

三人三様の良さが支えたチームだが、とりわけジミーの冷静さがポイントとなっているのかもしれない。この映画製作にも監督などのメインで携わっていて、多角的な視点から物事を構成する力を持つ人は万事に強いという印象を受けた。

コンラッドとそのメンター、そしてパートナーとの物語もまた本作の重要なパートである。数奇な運命で結ばれていた彼らから広がった、コンラッドの家族の物語もまた、単なる美談ではなく魂の継承を感じさせている。

登山の経過、成功か失敗か、チームの関係だけを追うのが従来の登山映画だとすれば、『MERU』はそこを超えたドラマを見せてくれる。偶然や幸運だけとは言い切れない「何か」があった、それは結果論にすぎないけど、だからこそ各人の人生とともに映画も輝きを放つ。険しくも冷たく美しいシャークスフィンの風景と共に、91分間圧倒されてほしい。


★★★★☆ 4.2/5点





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4 Comments

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浪漫 (まっつぁんこ)
2017-02-28 13:52:00
これは浪漫にあふれる映画でした。
多くの人に観てもらいたかったがあまり話題にのぼらず残念至極。
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こんにちは (ノラネコ)
2017-03-02 14:04:15
「登山の映画じゃない、登山家の映画だ」とは言い得て妙なコピーでしたね。
下手な劇映画顔負けの人間ドラマが見ものでした。
この人たちは死なないで欲しいな。
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まっつあん (rose_chocolat)
2017-03-06 12:35:13
登山映画のよくあるパターンからは外れてますよね。
エピソードもいい意味でこの映画を盛り上げてました。

大晦日公開というのもちょっと興行に響いちゃったかなと思いますけど、シネコン大作観るんなら断然本作をお勧めします。
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ノラネコさん (rose_chocolat)
2017-03-06 12:36:34
登山におけるチームの重要性というか、
ただ単に山登りが好き、経験豊富、上手いだけではチームは組めないってことがよくわかります。
人間的に魅力がある人たちだから、この映画がよくなったわけですよね。
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