原題: Still Life
監督: ウベルト・パゾリーニ
出演: エディ・マーサン 、ジョアンヌ・フロガット 、カレン・ドルーリー 、アンドリュー・バカン 、キアラン・マッキンタイア 、ニール・ディスーザ 、ポール・アンダーソン 、ティム・ポッター
鑑賞劇場: シネマジャック&ベティ
公式サイトはこちら。
ロンドンに暮らすジョン・メイは、孤独死した人を弔う民生係として働いてきが、人員整理で解雇を言い渡され、自宅の真向かいに住むビリーの弔いが最後の案件になる。これまでも誠実に故人と向き合い、弔いをしてきたジョンだったが、最後の仕事にはいつも以上に熱心になり、故人を知る人を訪ね、葬儀に招く旅を経て、心の中に変化が生じていく。(映画.comより)
いや~、なんかすっかりgooブログからも遠ざかっておりまして・・・。
なんせ忙しくて書く気力ないんですよね(苦笑)
体力ある時じゃないと書けない。
ひさびさに今日は書いてみようという気になったなあ。 ということで絶賛公開中のこちらを。
孤独死する人って実際問題今でも多いけど、今後はもっともっと増えてくんだろうな・・・ というのもあって、これって他人事じゃなく感じる人が多いからこそのヒット作になってるんじゃなかろうか。今日は満席の回もあったほど。
大勢に看取られて死んでも、たった一人で死んでも、誰かがその後始末をしないといけない。
孤独に死んだ人のお世話をする職員のメイは、職員なんだからそこまでしなくてもいいんじゃないの? ってくらい、一人で死んだ人の面倒を細々と見ている。親族の参列者が誰もいなくても、きちんと一面識もない故人を調べ上げて、葬儀のBGMを選んだり、果ては弔文まで書く徹底ぶり。一体何が彼をそんな風にさせているんだろうか、仕事なんだから効率的に片づければいいものを。と、観ている方は思うし、実際そんなお仕事に就いている方も、都度労力かけていられないだろうし。
でも、仕事であっても徹底的にその人のことを敬意を持って弔ってあげたいからこその行動なのだろうし、例えば写真が出て来たらそこからメイの心の中でイメージするものもある。この人は生前こんな風だったんだろうな、生き生きとしてたんだろうな、精悍だったに違いない。その人物に会うことはないけれども、それでもその人のために精一杯の弔いをしてあげたい。そんな気持ちの民生係がいてくれたらとても素敵に違いないけど、よっぽどのことがなければそんな係の人のことはわからない。普通は親族・家族がすることを、それに成り代わって執り行うって並大抵の事じゃない。
しかも孤独死するくらいなんで故人には身寄りが少なかったり、あるいはいなかったりする人も圧倒的に多く、いたとしても生前の故人によい思い出のない確率も高いから、それこそ余計なお世話だ的な捨て台詞を吐かれることだってある。そんなしんどい思いをしてまでやることじゃないのに、とも思うんだけど、そこがメイの性分なのでしょうね。受け持ったからには最後まで順序立てて仕上げたいということで。
一人一人を丁寧に見送る。そんな彼の日常に解雇という大きな変化が訪れ、最後の仕事に取り掛かる時、その人を訪ねる旅ではことさら丁寧になるのだろうけど、そこでの様々な出会いが彼を変えていく。ビリー・ストークは確かに破天荒な人間で、近しい人には苦労を掛けた人生だったかもしれないけど、その裏には人を魅了して離さないキャラクターがあったこと。そして彼の娘のケリーもまたメイの心に響く人物だったこと。精一杯ビリーのことを伝えていく過程で、いつもなら起こらなかった感情がメイの中に湧きあがってくる。まるでタイトルのように、"Still Life"、静止画のように判で押したようなメイの日常が変化した瞬間に起こってしまうことすら、人生の「作法」としか言えないのも切ないことだけど。
人に対しての、できうる限りの誠意はどこまで見せられるのか。例え自分以外の誰も見ていなかったとしても、決して表立って賞賛されることはないとしても、その行為自体はどこかで必ず有難いと思ってもらえるに違いない、そう信じて自分を尽くすことは難しい。それで生き抜くことに徹する人生、日陰かもしれないけどそのこと自体を誇りに思える自分がもしいるのならば、それだけで十分人生の価値はある。一面的な評判やイメージだけではなく、むしろ全く知らない人からの印象の方がその人物を彩るかもしれない。つまらない日常、大したことない人生と嘆きたくなる時、この作品を思い出すことがあれば、それだけで気分も楽になりそうな気がする。
★★★★☆ 4.5/5点
これは観たいと思っています。
最後の仕事を通して彼にどのような変化が起るのか、
しっかりと観てきたいと思います、
コメントありがとうございます!
今はこれ、全国でたった3館での上映なんですが、
順次公開だと思いますので、お見逃しなく。
いい作品でした。
エディ・マーサン最高ですね。
結構いろんな役柄を演じる俳優ですが、今回が一番ハマっていたように思えます。
ドラマの中ではジョアンヌとは短い時間の共演ですが、二人の息がぴったりの雰囲気でナイスでした。
>エディ・マーサン最高
『思秋期』にも出てたし、いろんな役をこなせる俳優ですよね。
こういう器用な俳優さん、地味だけど支持があると思います。
役所の上司が言う「葬式は生きている人の為」というのはジョン・メイが納得して仕事をする為に葬式がある、という意味も含んでいるのだと思います。
でもまあ、そういう人に送られたいな。一人っきりで死ぬなら。
この映画大阪でも東京から一ヵ月くらい公開が遅れてました。
でも観ることができてよかったです。
生涯独身率がマジで上がってますから、今後ジョン・メイのような仕事がもっともっと公的に求められるでしょうね。
いやたとえ結婚しててもどちらかが先に逝くのだし、、、どんな風に最期を迎えるのかは誰にとっても大きな課題ですよね。
それがラストのあのシーンへとつながったのかと。
その仕事が終わったら切れる関係であっても、その人の中でいつまでも喜ばれるような仕事がいい仕事なのかも。
>生涯独身率がマジで上がってますから
・・・ねえ。私の周りでもかなり独身中高年おります。
孤独なまま生きるのも辛いとは思うし、誰かが最期はお世話するわけですし。
これ、ミニシアター系映画なのに、家のもよりの映画館にも今更ですが来てくれたの。嬉しかったー。
しかし・・・土曜なのに、お客が18人くらいしか、いなかった・・・。これじゃあ、ミニシアター系の映画を上映してくれないのも解るなあ・・・。
良い映画だったわー。全く予備知識無く見たせいで、最後は突然のボロ泣きをしてしまった。
でもね、周りの人達(ご老人の方がほとんど)あまり泣いてなかったみたいなの。
20年後見たら、また感想も違って来るのかな・・・。
めっちゃ忙しい・・・。
これよかったですよねー。
あの最後。あれ反則だわ。あれはもう、涙どどーっと来ますよね。
齢取ってから観ちゃったら余計に泣くと思うけど。