年末にDVDを借りて見たので、覚えてるうちに備忘録として。
聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実全体的にはいい映画でした。見る前は、山本五十六役に役所広司では軽いのではないか?と思いましたが、
見ると違和感なくはまってました。以下、気になったところを箇条書きに…
・後世の研究家が発見、指摘した事実を、まるで当時の人物が知っていたかのように描いているのではないか?
という疑問。
たとえば真珠湾攻撃において、敵空母を発見できなかったことや石油備蓄基地を攻撃できなかったことをあげて
山本長官(役所広司)は「失敗だった」とつぶやくが、これは本当に当時の山本の認識だったのだろうか?
ここはさすがに勝利の美酒に酔ったのではないだろうか。
・南雲中将(中原丈雄)が第2次攻撃隊をださず反転したことについて山本は「南雲には南雲の考えがあるのだろう」
と許している。またミッドウェーでは南雲の優柔不断のせいで負けたように描かれている。
しかし司令長官は山本なのだから、これらは山本の責任ではないのか?
・永野軍令部総長(伊武雅刀)が「無傷で艦隊を帰してこい」と言ったことが遠因となり、
南雲を作戦に消極的な人物として描いている。これは史実なのだろうけど
山本を立てるためとはいえ、南雲を無能に描きすぎのような気がした。
・ミッドウェーは米軍に暗号を解読されていたという史実に触れてほしかった。
・戦闘シーンは少なめ。それはいいのだけど、爆弾が炸裂するときの炎の表現がイマイチ。
空中戦のCGは良くできてると思った。ゼロ戦パイロットの若い役者さんはいい感じ。
・山口多聞役の阿部寛が帝国軍人っぽくない(笑)。
まあ、現代人は戦前の日本人よりスタイルがいいのでしょうがないけど、特にモデル出身の役者だと背が高すぎ。
・ミッドウェーの敗戦を聞いて山本は淡々と将棋を始めるが、よく言えば胆力がある、悪く言えば冷淡というか。
ところでこのシーンは大和の艦内だろうか?全く戦場にいる雰囲気ではないのだが…
これは映画とは関係ないけど、当時は司令部と前線の距離が遠すぎるような気がする。
・新聞編集長(香川照之)の右翼っぷりがいい。実際マスコミの戦争責任は重い。
従来の戦争映画ではあまり語られなかったテーマ。
・ただし「山本長官は戦争に反対だったのに、世論とマスコミに煽られて日本はやむなく開戦した」という
制作者の意図が透けて見えすぎて、白ける部分も。
つっこみどころばかり書きましたが、全体的には戦争を美化するでもなく否定するでもなく、
淡々と描いていて好印象でした。
戦争を知らない人達が戦争を煽り、軍人はなるべく戦争を避けたがるという事実は
現代にも教訓として生かせるのではないでしょうか。
もう少し史実を調べてからレビューを書けばいいんでしょうが、今日はまあこのへんで。
【追記】それ昨日テレビでやってたじゃん、と妻につっこまれました。