人間失格 (まんがで読破)
中学の時、Sという友人が僕のところへやってきて、
まるで秘密を明かすようにこっそりと
「太宰治と三島由紀夫を全巻読破した」と呟いた。
Sに影響を受けていた僕はすぐに真似をした。
三島由紀夫は「金閣寺」を読んだだけで挫折したが、
太宰治は「斜陽」「晩年」「人間失格」と読みすすむうちに…はまった。
「太宰は僕だ」「僕も太宰のように若くして死ぬんだ」と
中学生らしい勘違いをしつつ、
全巻とはいかなかったが半分くらいは読んだ。
で、今年は太宰没後60年だそうだ。
「まんがで読破 人間失格」をコンビニで購入。
以下、感想。
粗筋だけを追っかけるような薄っぺらさは若干あるものの、
原作をほぼ忠実にトレースしている。
タッチが雰囲気に合っていて良い。
まんがで読んで初めて気づいたが、葉蔵(主人公)が女にもてすぎだ。
カフェの女給も女編集者もタバコ屋の娘も…貞操観念無さすぎ。
現代は性のモラルが崩壊したとか言われるが、
昭和初期も似たようなものじゃないのか。
葉蔵は父親を恐れ世間を恐れ女を恐れ、
道化を演じて生きている。
人に嫌われたくない。
本当のことを口にできない。
だから酒に溺れる。薬に溺れる。
この自信のなさ、卑屈さはどこから来るのか?
答えは加藤諦三先生に聞いてみよう。
自信
結局のところ、依頼心の強さが原因なのだ…
と精神分析的に読むと味わいも何も無くなってしまうが。
39歳になった僕は昔に比べてずいぶん図々しくなり、
太宰のような死に方はしそうにない。
39歳は太宰が玉川に入水した年齢だ。
下は爆笑問題太田光が「晩年」について語った動画。
太宰の魅力は言葉で言い表すのが難しいが、
なかなか核心を突いている。
この人、頭がいいな。
太田光 人生を変えた一冊 1/3