ひとせのとびとび日記

仁瀬由深の個人ページです。

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2005年03月08日 21時38分55秒 | 最近の本
作:山田太一

むう。と唸る感じです。
子供の家出事件を通して、家族のあり方や人間のあり方が問われています。
子供の方の理屈は小ざかしいにしても、
「はっきり親の意見を言えるほど哲学を持っていない」
と悩む親たちの台詞は切実なものを感じました。
確かに「自由を認める物分りの良い親」がステレオ化されて久しいですが、
この作品の登場人物たちはそれに対して、「これで良いのか、言いたいじゃないか」と
葛藤しながら人間臭く、身を持ち崩したり、酒に溺れたりしてます。

最終的に「家族同士集まって話し合う」という極単純な、
それでいて持ち難い機会を定例とすることで、「みんなで問題に取り組もう」と
しているのが、最初問題に向き合えなかった人々の成長した「タフ」さを
感じられて良かったです。
贅沢を言えば、女性の内実の部分がみんな似てるカンジがしたのが残念でした。
(巨匠に向かって失礼な!!