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アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

塔の街、イタリア:サン・ジミニャーノ

2011-11-05 00:06:06 | 街たち
「世界ふれあい街歩き」、イタリア トスカーナ地方にある中世が色濃く残る塔の町、サン・ジミニャーノ。
1300年代の隆盛期には、城壁に囲まれた南北僅か1キロメートルの小さな街に、72本の塔が林立していた。
それが今では、14本を残すのみとなる。
中世の時代、サフランの交易で巨万の富を得たサン・ジミニャーノの豪商達は、競って塔を建て始めた。
塔は権力と富を象徴し、一目瞭然にその力の大きさを誇示できる。
街の中心ドゥオーモ広場を取り囲む塔の中で、ひときわ高い”グロッサの塔”がある。
時の権力者の塔で、市はこれより高い塔の建設を禁止した。
それに対抗する手段として、2つの塔を建設し、あわせたらグロッサの塔より高くなると”双子の塔サルブッチの塔”を建てた者があわられた。
傍で見れば、愚かな競い合いと思うが、昔も今も変わらない、人はより高い塔やビルディングの建設に血道をあげている。

街は、レンガと石を積み重ねて建設されている。
塀、建物の壁など、色とりどりのレンガと石を工夫を凝らして積みあげた面白いマチエールが、街に変化と温もりを与えている。
そういえば、”双子の塔”に住み着いた人が言うには、塔の壁の厚さは2メートル20センチもあるのは、ただ石を積み上げただけの構造ゆえ強度上げに必要だったのだ。
そして、路は細く、ほとんど勾配があり、オート三輪が現役で活躍している。
故障してしまった、古いグレーのべスパを修理している青年がいた。
実に、街に馴染んで、時間の流れ方がほかと違いゆっくりしているようだ。

サン・ジミニャーノを他の街と一線を隔したもとのサフラン。
クロッカスに似た花で、その大きく赤い雌しべが、大変貴重なものだった。
食品に鮮やかな黄色と風味を加える添加物として、または王侯貴族の衣服の染料として、珍重された。
今でも、高価なものであることには変わりなく、スパイス売り場に行くと、驚くような値段で売っている。
北側の門の先にはフィレンツェとミラノがあり、南側の門の先にはローマが控えている。
商人達は、サフランを携えここから交易に出かけ、そして富をこの街に持ち帰ったのだろう。

イタリアは、火山国でもある。
サン・ジミニャーノから北へ車で1時間のところに、モンテカニューニ・テルメという温泉の街がある。
しかし、飲む温泉場としてあり、8種類の成分の温泉が湧き出し、体の症状などにあわせて、温泉を選び量を決めて飲む。
たいがい、温泉地には専門の医師がいて、どの温泉がいいか処方してくれるはずだ。
それでも、多様なニーズにこたえて、温泉を蒸気にして吸引する方法や、温泉プールなども備えるようになったという。

トスカーナ地方は、なだらかな丘陵地帯。
サン・ジミニャーノは、敵から身を守る為に高い丘の上にある城塞都市だ。
街の中には、畑などもちろんない。
だから、この街を取り囲むように、いろいろな作物を作る農家が点在している。
ブドウ畑やサフラン畑、その他諸々の農家がその生業をおこなっているが、今はもう一つ宿坊も兼ねている。
”アグリ・ツーリズモ”
納屋や厩などを洒落たように改装し、一流シェフの料理を提供するところもあれば、中世以来の古い建物の部屋に泊まり、当家の昔ながらの素朴な料理を楽しむ”スローライフ”を満喫できるところもあるようだ。
食いしん坊なので、もちろん地元に料理とワインに舌鼓を打ちたいとも思っているが、その美しい丘陵地帯の風景を心行くまで目に焼き付けたい。
風が渡り、光が満ち、田園のニュアンスに富んだ色合いや、朝や夕の靄のかかる潤んだ景色は、天からの贈り物。

いいなぁ、サン・ジニミャーノ。
それから、アッシジもいいなぁ。
トスカーナ地方、恵まれた大地。
心だけは、もう既に彼の地に飛んで行っている。

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