このところの晴天が、我が家のラズベリーをすばらしいものにした。
きれいにみずみずしく熟したこの実を見て。
プチプチとした粒がかわいらしいでしょう。
初めて生のラズベリーにであったのは、パリのマルシェ。
野菜や果物を並べてある店先に、縁飾りの着いた紙の小箱に真っ赤な実が詰めて置かれている。
よく見ると、その実の真ん中にはぽっかりと穴が開いていて、とても不思議な感じがした。
そして、箱には手書きのラベルがついている。
”Framboise"、木苺のこと、英語ではRaspberry。
値段は、貧乏な遊学者には、とても手の出ないものだった。
そういえば、14区のデュプレックスの近くにラズベリー味専門のスウィーツ店があって、そのショーウィンドーを眺めては、どんな味がするのだろうと興味心身だったのを覚えている。
この魅力的な果実が、どんな風に生るのか、実そのものの味を知ったのはずっとあとのこと。
10年位前にとうとうラズベリーの苗を買い育てることができるようになった。
今では、増殖して大きなプランターに茂みとなって生えている。
ラズベリーは、私にとっていわば青春の鍵となる果実。
甘酸っぱくみずみずしいけれど、ほんの一時の輝かしい果実。
正確には、”フランボワーズ”と呼びたい。