羊飼いの礼拝
トレド眺望
なんとも奇妙な空間、歪んで引き伸ばされた身体に潤んだ大きな目の人物、めらめらと湧き立つ雲。
エル・グレコの描く特異な絵画。
彼は、ギリシャ人(グレコ=GRECO=ギリシャ人)で、スペインに渡って終生その地を離れることなく画業に勤しんだ、スペインマニエリスムの画家。
EL GRECOは、通称。
彼の絵は、あまりにも個性的で、一度目にしたなら忘れられない強さを持っている。
個性的過ぎるということは、好悪がはっきりするということ。
ウイリアム・ブレイクと同系統の灰汁の強さがある。
グレコもブレイク同様、出会った初めはどうにもその灰汁の強さで敬遠してしまった。
しかし、全く受け付けられない種類ではなかった。
彼の絵が発している電波は強く、受信する自分のアンテナの受信力が弱かっただけのこと。
今ではかなり受信できているように思う。
彼の絵に満ちている空気は、地上から湧き立ち昇り、天の光を背負った雲がダイナミックに循環している。
それにつられて、地面も草木も岩さえも躍動しようとしている。
人物の身体は言うまでもなく同調し、身に纏った衣がいっそう協調するようにうねり光を反射させている。
全てが共鳴共振して、目に見えない何かを表そうとするかのようだ。
神秘的な光景。
彼の住んでいたトレドに行ったとき、トレドの何が彼の絵に影響を与えたのかと、興味を膨らませながら街を散策した。
マドリッドからの日帰りツアー半日の滞在で何かを得ようなんて、虫のいい考え。
真夏のトレドから得られたものは、光と影のコントラストの強烈さと、激しい渇きだった。
サント・トメ教会のほの暗さと光を遮った石壁の冷気は、灼熱の真夏の非常さから人を救ってくれる、安息のオアシスに思えた。
グレコの家は、確か見晴らしの良いテラスがあった。
とても快適な住まいだった。
おそらく、グレコは恵まれた環境にあって、高台の街から眺めた過酷だが美しく素晴しい自然に感謝を、そして、流れ巡った自分の幸運に神秘を感じていたのではあるまいか。
トレドを離れるとき、タホ川のほとりでトレドを見たとき、グレコの心境を考えてみたのだった。
トレド眺望
なんとも奇妙な空間、歪んで引き伸ばされた身体に潤んだ大きな目の人物、めらめらと湧き立つ雲。
エル・グレコの描く特異な絵画。
彼は、ギリシャ人(グレコ=GRECO=ギリシャ人)で、スペインに渡って終生その地を離れることなく画業に勤しんだ、スペインマニエリスムの画家。
EL GRECOは、通称。
彼の絵は、あまりにも個性的で、一度目にしたなら忘れられない強さを持っている。
個性的過ぎるということは、好悪がはっきりするということ。
ウイリアム・ブレイクと同系統の灰汁の強さがある。
グレコもブレイク同様、出会った初めはどうにもその灰汁の強さで敬遠してしまった。
しかし、全く受け付けられない種類ではなかった。
彼の絵が発している電波は強く、受信する自分のアンテナの受信力が弱かっただけのこと。
今ではかなり受信できているように思う。
彼の絵に満ちている空気は、地上から湧き立ち昇り、天の光を背負った雲がダイナミックに循環している。
それにつられて、地面も草木も岩さえも躍動しようとしている。
人物の身体は言うまでもなく同調し、身に纏った衣がいっそう協調するようにうねり光を反射させている。
全てが共鳴共振して、目に見えない何かを表そうとするかのようだ。
神秘的な光景。
彼の住んでいたトレドに行ったとき、トレドの何が彼の絵に影響を与えたのかと、興味を膨らませながら街を散策した。
マドリッドからの日帰りツアー半日の滞在で何かを得ようなんて、虫のいい考え。
真夏のトレドから得られたものは、光と影のコントラストの強烈さと、激しい渇きだった。
サント・トメ教会のほの暗さと光を遮った石壁の冷気は、灼熱の真夏の非常さから人を救ってくれる、安息のオアシスに思えた。
グレコの家は、確か見晴らしの良いテラスがあった。
とても快適な住まいだった。
おそらく、グレコは恵まれた環境にあって、高台の街から眺めた過酷だが美しく素晴しい自然に感謝を、そして、流れ巡った自分の幸運に神秘を感じていたのではあるまいか。
トレドを離れるとき、タホ川のほとりでトレドを見たとき、グレコの心境を考えてみたのだった。