rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

今日の一枚、デヴィッド・シルヴィアン”Everything and nothing”

2011-05-29 23:28:17 | 音楽たちーいろいろ
台風2号の影響で、今日は一日雨が降り続いていた。
洗濯干し部屋兼アトリエの部屋で、昨日から聴いている音楽は、若き頃より敬愛するデヴィッド・シルヴィアンのアルバム”Everything and nothing”
雨の日には、彼の曲はとてもなじみがいい。
イギリス風土が生んだ、苔むす石の建物、なだらかに続く丘、ひやりと湿気を帯びた冷涼な気候、人の情念が繰り出した歴史、そんな諸々のものを内包する音楽を作る。
歌は、決して上手とはいえない。
う~ん、むしろ『念仏』
読経、または、民俗音楽にブルガリアとかケルトとかインドとかにもあるような、唸りと細かな振動を持った歌声で、声もまた楽器という扱いのようだと思う。
そうだ、”Everything and nothing”
2000年に出たアルバムで、いままでの自分の曲をリマスターしたもの。
ベストに近いのかもしれないけれど、繊細に作り変えられたまた別の味わいがあるアルバムに仕上がっているので、もし、興味のある方は、この1枚から彼の世界を知るのにお勧めする。
Blackwater 、Wanderlust 、 I Surrender
これらは、瞑想に誘う音楽。
回を重ねて聴くたびに、心の奥にひたひたと押し寄せてくる水のごとく、命を潤していく。
ふと思う、彼の音楽は、クラッシック音楽に近いと。
音のハーモニーが、優しく調和共鳴して、空間を満たしていくところが。
体温と同じ温度の重さを持った液体の中に浮遊する感覚。
鮮明な意識をもったまま、音のアクアリウムから世界を眺める、そんな印象をもたらす音楽なのだ。
あらためて、彼の音楽を心底愛していると思ったのであった。

経済特区、中国福建省:アモイ(廈門市)

2011-05-29 00:07:55 | 街たち
”にじいろジーン:世界見聞録”、中国福建省:アモイが舞台。
台湾の海を隔てた西側に位置する、温暖な気候の豊かな土地。
西の奥地にある武夷山は、世界遺産に登録されていて、そこの谷間で栽培される茶葉は、有名な烏龍茶として世界に流通している。
今ではその希少性ゆえに出回ることがなくなった、幻の銘茶:大紅坊という名の木が、切り立った岩の中腹にいまも葉を生い茂らせていた。
なんでも、この武夷山の茶葉がイギリスに渡り、紅茶の起源になったらしい。

そういえば、20年以上昔、たしか烏龍茶のCMで切り立った岩山が点在する霞がかかった風景が使われていた。
いや、もっと前だったかな。
九州鹿児島空港から、鹿児島市内へのアプローチの道すがら、通ったところの風景が、一回りサイズダウンした武夷山のそのような風景に通じるものを認めて、かつて、日本列島がユーラシア大陸につながっていたのだという悠久の時を感慨深く思ったのだった。
以来、中国のそんな風景をこの目で見たいと思っている。

アモイに隣接して、コロンス島(鼓浪嶼)という、まるで小ヨーロッパのような租界地がある。
どうやら、アヘン戦争でイギリスに押収されたような経緯があり、その後共同租界として繁栄したという。
今でも当時の佇まいは残され、異国情緒溢れる観光地として健在だ。
そういえば、世界に進出している華僑の多くが福建省出身者という。
身近に西欧文明を経験して、海外に飛び出すハードルが低くなった為かもしれない。
また、コロンス島は、ピアノの島という異名を持つ。
イギリス租界当時のピアノが多数現存するのもあるが、ピアノの保有率が中国国内でずば抜けていることと、西洋音楽がこの地に浸透しているせいだ。

多民族が暮らす中国。
大別すると7つの言語がある。
民族がひしめく国では、民族間の争いは絶えることがなく、大きな国を形成した場合には、強力な統治システムが布かれる。
歴史に揉まれたおかげで、この国民はまことにしたたかで強い。
何事も飯のねたにしてしまう。
だから思うのだ、この国と同等に渡り合おうなんて、無謀だと。
同じアジアに住むものとして、付かず離れずの距離感を持ち、決して相手を無防備に信じきることなく、付き合っていくよりあるまい。
もともとの感覚・価値観が、違いすぎるのだから。