◆ 市議会の不信任決議に対抗して市長が市議会を解散という事例が,今年に入って3件起きた。不信任の理由は,三重県尾鷲市と愛知県西尾市が市長自身の不祥事、鹿児島県阿久根市の場合は市政運営での市長と市議会の対立にある。
その阿久根市の出直し市長選(5/31)は、2度目の不信任決議で失職した前市長の竹原信一氏(50)が反竹原派の擁立した新人の元国土交通省職員田中勇一氏(56)を562票の僅差で破り、再選された。
確定得票(午後9時27分)は、竹原信一氏8,449票、田中勇一氏7,887票。
◆動画 KTB鹿児島ニュース http://news.ktstv.net/e11385.html
先の市議選では非市長派議員が3分の2以上の11人当選し、市長の再不信任-失職になったが、今度の出直し市長選で竹原前市長が再選されたことは、市民は竹原前市長が昨年8月の初当選以来進めてきた「市役所改革」「市議会改革」に一定の評価を与えたことになる。
▼--訴えを市役所人件費の是正一点に絞る
竹原氏は告示後、折り込み選挙運動用ビラ「住民至上主義革命」で、市役所職員と市民に「官民格差」があるとして、「年収700万円以上の職員が54%というのは我慢の限度を超えている。3千万円にもなる高額退職金もひどすぎる」と指摘した。「職員は貴族、市民が下僕。下僕扱いされている市民が主権を取る事、これは革命」と主張し,市職員の厚遇批判を展開し,民間から能力重視の職員採用をするなど「市役所の構造改革」を図ると宣言している。
農業や漁業が基幹産業の阿久根市の人口は1955年の4万1000人をピークに減少一途であり,現在,約2万4500人。高齢化率34.3%は全国平均(21.5%)を大きく上回る。市中心部ではシャッターを閉じた店が多い。
5年前に九州新幹線の部分開業を期に,並行在来線はJRから切り離され第三セクター<肥薩おれんじ鉄道>として運行されているが,これも阿久根の衰退の一因とされる。
加えて,隣接する出水(いずみ)市からのパイオニア,NEC関連企業の工場撤退などの影響で疲弊している市の現状から,竹原氏の市職員厚遇批判は反響を呼んだ。市民の平均年収は200万円程度と言われ、職員は市民の厳しい目にさらされている。
今回の市長選を受けて,市議会,市職員は意識改革を迫られることになる。ただ、反竹原派が議会(定数16)の主導権を握る状況に変わりはなく、対立の再燃で市政波乱が長引く可能性もある。
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