経営学者ピーター・F・ドラッカーは,『現代の経営』(The Pratice of Management, 1954)の中で,「事業の唯一の目的は利潤ではなく、顧客(価値)創造にこそ求められ,そのための事業の機能はマーケティングとイノベーションだ」と示唆に富んだ言葉を残しています。
この言葉は50年経ったいまも色あせていません。ドラッカーは,<企業経営において利潤は事業の目的にはなり得ない。利潤は事業の目標,指標に過ぎな>と述べています。そして,<企業にとって利益とは空気のようなものだと>も言っています。人間が生きていくうえで空気は必要不可欠ですが,空気を吸うために生きていると,する人はいません。これと同様に企業にとって,利益は空気のような存在と言えます。事業継続のために利潤は必要不可欠ではありますが,企業の存在目的にはならないのです。
すなわち,利潤は事業の成果を表す一つの指標であり,企業活動の目的は,顧客を創造し顧客の購買価値を高めることによって事業の社会的価値を高めることにある,というわけです。
これはまた,<お客(ファン)を創造できれば,お金は後からついてくる>ということでもあります。綾小路きみまろさんは,漫談テープの観光バスへの無料配布を通じてファンを創造を実現しました。まさに,きみまろさんは,「事業の目的は,利潤の追求ではなく顧客創造にある」とのドラッカーの教えの実践者です。
◇ ◇
綾小路きみまろさんは,漫談テープを高速道路の駐車場で休憩中の観光バスに、無料で配って人気に結びつけました。そして,ライブCDは02年の発売から足かけ7年で100万枚を売り,今日の人気を確立しました。彼は,そのいきさつを,産経新聞 文化欄「人,瞬間」で次のように語っています。
▼
ステージに立ちながら、舞台衣装の内ポケットに録音機を入れて自分の漫談を録音した。その中から1本を選び出した。自信はあったが,さて,どうすれば聞いてもらえるか…。
「いろいろ考えました。美容院、老人ホーム…でもカセットデッキがあるとはかぎらない。で,ひらめいたのが観光バス。カセットデッキがあって,たくさんの人が乗っている。これだ!と思いました。」
□ □
きみまろさんは,漫談をダビングしたカセットテープをたくさん作りました。そして出来上がったテープを車に積み込んで,向かった先は高速道路のサービスエリア。トイレ休憩で駐車中の観光バスを次から次に回りました。「面白い漫談です,お金はいりません。バスの中でかけてもらえませんか」と,バスガイド,添乗員,運転手さんらに片っ端からテープを配ったのです。
「何を売っているのか,サービスエリアの職員に注意されることもありましたが,『売ってるんじゃなくて,ただであげてるんだ』と切り抜けました。」・・・・
これは,お客に薬を預けた後,定期的に訪問し,使った分だけの代金をいただく-まず,お客の満足を先に考えるという>越中富山の配置薬商法「先用後利」に通じるものでもあります。
◇関連ブログ
・ベストプラクティス5 きみまろさんに学ぶ ドラッカーの教えを実践
・ベストプラクティス 4- きみまろさんに学ぶ 先用後利
・ベストプラクティス 3- きみまろさんに学ぶ 先用後利-損して得取れ
・ベストプラクティス2- きみまろさんに学ぶ 「先用後利」の精神
成功事例に学ぶ-ベストプラクティス1ー
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら | |
岩崎 夏海 | |
ダイヤモンド社 |
この言葉は50年経ったいまも色あせていません。ドラッカーは,<企業経営において利潤は事業の目的にはなり得ない。利潤は事業の目標,指標に過ぎな>と述べています。そして,<企業にとって利益とは空気のようなものだと>も言っています。人間が生きていくうえで空気は必要不可欠ですが,空気を吸うために生きていると,する人はいません。これと同様に企業にとって,利益は空気のような存在と言えます。事業継続のために利潤は必要不可欠ではありますが,企業の存在目的にはならないのです。
すなわち,利潤は事業の成果を表す一つの指標であり,企業活動の目的は,顧客を創造し顧客の購買価値を高めることによって事業の社会的価値を高めることにある,というわけです。
これはまた,<お客(ファン)を創造できれば,お金は後からついてくる>ということでもあります。綾小路きみまろさんは,漫談テープの観光バスへの無料配布を通じてファンを創造を実現しました。まさに,きみまろさんは,「事業の目的は,利潤の追求ではなく顧客創造にある」とのドラッカーの教えの実践者です。
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綾小路きみまろさんは,漫談テープを高速道路の駐車場で休憩中の観光バスに、無料で配って人気に結びつけました。そして,ライブCDは02年の発売から足かけ7年で100万枚を売り,今日の人気を確立しました。彼は,そのいきさつを,産経新聞 文化欄「人,瞬間」で次のように語っています。
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ステージに立ちながら、舞台衣装の内ポケットに録音機を入れて自分の漫談を録音した。その中から1本を選び出した。自信はあったが,さて,どうすれば聞いてもらえるか…。
「いろいろ考えました。美容院、老人ホーム…でもカセットデッキがあるとはかぎらない。で,ひらめいたのが観光バス。カセットデッキがあって,たくさんの人が乗っている。これだ!と思いました。」
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きみまろさんは,漫談をダビングしたカセットテープをたくさん作りました。そして出来上がったテープを車に積み込んで,向かった先は高速道路のサービスエリア。トイレ休憩で駐車中の観光バスを次から次に回りました。「面白い漫談です,お金はいりません。バスの中でかけてもらえませんか」と,バスガイド,添乗員,運転手さんらに片っ端からテープを配ったのです。
「何を売っているのか,サービスエリアの職員に注意されることもありましたが,『売ってるんじゃなくて,ただであげてるんだ』と切り抜けました。」・・・・
これは,お客に薬を預けた後,定期的に訪問し,使った分だけの代金をいただく-まず,お客の満足を先に考えるという>越中富山の配置薬商法「先用後利」に通じるものでもあります。
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