りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ミカエルとピエローラの勇気” ―全3場―

2011年10月08日 09時23分35秒 | 脚本


    
     
                ヒョウガ君。

  この“ヒョウ”君は、お友達に無理言って作ってもらいました♥
  布と、なんとなくこんな感じ・・・の言葉だけで、作ってもらった
  のですが、出来上がりがとても可愛くて、この後、色んな作品
  に登場することになるのです(^^♪



                                どら。



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     〈主な登場人物〉


    ミカエル  ・・・  “勇気の石”の主人公。

    ピエローラ  ・・・  サーカス団員。

    ヒョウガ  ・・・  サーカスで働いている。

    ロン  ・・・  ミカエルの友達。

    ミック  ・・・  ミカエルの友達。


    その他。


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    「・・・と、ここでミカエルとピエローラのお話しは“目出度し
     目出度し”・・・だったのですが、勇気の意味が分かった
     ミカエルとピエローラのその後・・・気になりませんか?
     2人が一体、どんな風に過ごしているのか、少し覗いて
     みるとしましょう。
     あの後、ピエローラはサーカス団と共に、各地を回る旅
     に出て行きました。一方、クラスの中で自信なさ気だった
     ミカエルは、どうしているでしょうね。そして1年後・・・
     あっ!!誰か来ましたよ!!」

    ――――― 第 1 場 ――――― 

         下手より2人の少年(ロン、ミック)話しながら
         登場。

  ロン「何だよ、あいつ・・・。ちょっとばかしバスケットボールが上手
     くなったからって・・・。」
  ミック「そうだよな。こないだまで“バスケットボールは苦手なんだ
      もん・・・”なんて言ってたくせに・・・」
  ロン「バスケットが出来るようになったからって、態度まで大きく
     なって・・・。」
  ミック「何か最近のあいつ、ちょっとエラソー・・・」
  ロン「しっ!!あいつが来た!!」
  ミック「やばい!!あいつだ!!」
  2人「ミカエルが来た!!」

         ロン、ミック、慌てて下手へ走り去る。
         音楽流れ、バスケットボールを持ったミカエル、
         上手より登場。歌う。

         “何だってできる 僕は一番さ
         怖いものはない 出来ないこともない
         昨日までとは違うんだ確実に
         もう 勇気が溢れる
         心に”

  ミカエル「(下手方を見て。)おーい!!ロン!!ミック!!こっち
        に来いよー!!バスケットやろうぜ!!」
 
         ロン、ミック、渋々下手より登場。

  ミカエル「ロン!!ミック!!早く来いよ!!休み時間が終わって     
        しまうだろ!!」
  ロン「だって・・・」
  ミック「なぁ・・・」
  ミカエル「バスケやろうぜ!!」
  ロン「え・・・いいよ、僕達・・・」
  ミック「うん・・・ボールが入らないと、ミカエル怒るし・・・」
  ミカエル「さぁ、やろうぜ!!(聞いていないように、勝手にボール
        をドリブルしてバスケを始める。)」
  ロン「(ボールを受け損なう。)あ・・・!!」
  ミカエル「何やってんだよ、ロン!!パスしたボールは、ちゃんと
        受けろよ!!」
  ロン「だって・・・(ミックと顔を見合わせる。)」
  ミカエル「だってじゃないだろ!!全く・・・」
  
         ピエローラ、下手より登場。
         (ロン、ミック去る。)

  ピエローラ「ミカエル。」
  ミカエル「(振り返り、ピエローラを認める。)ピエローラ・・・?ピエ
        ローラ!!(駆け寄る。)本当にピエローラなの!?どう
        したの!?ああ・・・本当に久しぶりだね!!、またこの
        町に来たの!?元気だった!?会いたかったよ!!
        あれからどうしてたの!?話したいことが、一杯あった
        んだ!!」
  ピエローラ「(笑って。)ミカエル、そんなに一遍に質問されても答
         えられないよ。」
  ミカエル「あ・・・ごめん。懐かしくてつい・・・。また会えて嬉しいよ
        !!」
  ピエローラ「僕もだよ。ミカエルこそ真っ黒に日焼けして、元気そう
         じゃないか。(バスケットボールに気付いて。)バスケッ
         トボールは上手くなったかい?」
  ミカエル「勿論さ!!バスケだけじゃないんだ!!僕はもう、何だ
        って誰よりも一番得意に出来るんだ!!駆けっこだって
        クラスで一番なんだよ!!」
  ピエローラ「へぇ・・・凄いじゃないか。」
  ミカエル「勇気の石なんかなくても、勇気が溢れてる!!ピエロー
        ラは!?何か得意なものは出来たの?」
  ピエローラ「うん。僕も玉乗りが出来るようになったんだ。」
  ミカエル「本当に!?じゃあ、もうサーカスの人気者だね。」
  ピエローラ「どうかな。(笑う。)」
  ミカエル「僕の方は反対に、今度は皆が下手過ぎてさ。バスケット
        ボールがつまらないんだ。バスケットだけじゃなくて、何
        やらせたって、あいつらは駄目なんだ。」
  ピエローラ「(ミカエルの顔を見る。)」

         ミカエル歌う。

         “何だって今は僕の方が得意”

         ピエローラ歌う。

         “そうかな・・・ミカエル・・・”

  ピエローラ「本当に・・・?」

         ミカエル歌う。

         “僕が一番強いんだ”

  ミカエル「でも本当、懐かしいなぁ・・・」
  ピエローラ「そうだね。」

         上手より、一人の少年(トム)、俯き加減に
         登場。

  トム「・・・ミカエル・・・」
  ミカエル「(トムを認める。)トム・・・」
  トム「ちょっといいかな・・・」
  ミカエル「何?僕、今忙しいんだけど。」
  トム「僕・・・」
  ミカエル「何だよ!早く言えよ!」
  トム「僕・・・君の大切にしている・・・筆箱を落としちゃ・・・」
  ミカエル「何だって!?」
  トム「ご・・・ご免よ、態とじゃないんだ・・・」
  ミカエル「態と筆箱を壊されたんじゃ堪らないよ!!何で、もっと
        気をつけないんだよ!!トムは全く、うっかりしてるんだ
        から!!」
  トム「ご免、ミカエル・・・」
  ピエローラ「ミカエル、彼は謝ってるんだから、許してあげたら?」
  ミカエル「駄目だ!!同じ筆箱を弁償してもらうからな!!」
  トム「でも・・・あの筆箱は、一つしか売ってないオリジナルのもの
     だって、君がいつも言って・・・」
  ミカエル「同じものを探してくるんだ!!」
  トム「そんな・・・」
  ピエローラ「(トムに。)もういいから、お行き。」
  トム「え・・・」
  ミカエル「ピエローラ!!」
  ピエローラ「(トムを見て頷く、)」
  トム「う・・・うん・・・」
 
         トム、ミカエルを気にしながら、下手へ去る。

  ミカエル「あ・・・待てよ!!何、勝手にそんなこと言うんだよ!!
        (トムを追い掛けようとする。)」
  ピエローラ「ミカエル!(ミカエルの腕を掴む。)」
  ミカエル「いくらピエローラだって、僕のことに口出しするのは
        やめてくれよ!!」
  ピエローラ「少し落ち着くんだ、ミカエル。」
  ミカエル「あいつは僕の大切な筆箱を壊したんだよ!!許せない
        よ!!それとも、ピエローラが弁償してくれるの!?」
  ピエローラ「筆箱より・・・これをあげるよ。(一枚の紙を、ミカエル
         の方へ差し出す。)」
  ミカエル「・・・何?僕の筆箱より、いいもの?(受け取る。)」
  ピエローラ「サーカスのチケットさ。」
  ミカエル「え・・・?」
  ピエローラ「一度、サーカスを見においで。君を招待するよ。」
  ミカエル「本当に?」
  ピエローラ「うん、待ってるよ。」

         ピエローラ、上手へ去る。

  ミカエル「(チケットをマジマジ見る。)へぇ・・・サーカスだって・・・。
        僕、サーカスって初めてだ・・・。」

         明るい音楽、流れる。

    ――――― 第 2 場 ―――――

         サーカスの様子。
         ピエローラの玉乗りや、サーカス団員の
         輪投げなど。

         上手よりミカエル、下手よりピエローラ、
         其々登場。

  ミカエル「(ピエローラを認めて。)ピエローラ!!」
  ピエローラ「やぁ、来たね。」
  ミカエル「ピエローラの玉乗り、すごく上手かったよ!!僕、もう
        ドキドキしっぱなしで、本当に楽しかった!!」
  ピエローラ「よかった。」

         その時、下手より一匹のヒョウ(ヒョウガ)登場。

  ヒョウガ「(ピエローラの側へ。)兄貴!!」
  ピエローラ「おいおい、その呼び方はやめてくれよ。ピエローラで
         いいよ。(笑う。)」
  ヒョウガ「だって、オイラにとっちゃ、あんたは命の恩人・・・」
  ミカエル「おまえ・・・あの時の・・・ヒョウ?」
  ピエローラ「うん。」
  ミカエル「あの、吊り橋の下に落ちていった・・・」
  ピエローラ「そうだよ。ヒョウガって言うんだ。今は、僕らのサーカ
         スの一員なんだよ。ヒョウガ、ミカエルは知ってるだろ
         ?」
  ヒョウガ「勿論・・・」
  ミカエル「どうして・・・?このヒョウは、僕らを食べようとしたんだ
        よ!!」
  ピエローラ「彼は心を入れ替えたんだ。」
  ミカエル「でも・・・」
  ピエローラ「だから、僕は彼を許したんだよ。ミカエル、君も彼の
         ことを許しておあげ。」
  ヒョウガ「・・・あの時は・・・悪かったな・・・」
  ミカエル「僕、あの時は本当に怖かったんだ!!そんな簡単に
        許せないよ!!」
  ヒョウガ「あの時のオイラは、腹が減って腹が減って・・・」
  ミカエル「いやだ・・・許さない!!(背を向ける。)」
  ピエローラ「(溜め息を吐く。)ヒョウガ!向こうの片付けを手伝っ
         て来ておくれ。」
  ヒョウガ「・・・分かった・・・。本当に・・・ごめんよ、ミカエル・・・。
        (下手へ去る。)」
  ミカエル「謝って済むなら、この世は警察いらずだ!!」
  ピエローラ「そりゃそうだ・・・。(笑う。)だけどミカエル・・・トムの
         ことにしても、ヒョウガのことにしても、少し心を大きく
         持って考えてごらん。誰かの過ちを許すことは、一番
         勇気のいることだと思わないかい?」
  ミカエル「・・・思わない・・・!!」
  ピエローラ「ミカエル・・・これを覚えているかい?(“勇気の石”を
         出す。)」

         音楽、流れる。

  ミカエル「それは・・・勇気の石・・・」
  ピエローラ「(ミカエルに石を渡す。)」
  ミカエル「・・・こんなの、勇気の石でもなんでもない、ただの石コ
        ロじゃないか!!」
  ピエローラ「そうだよ。これは、君の言うようにただの石コロだ・・・。
         でも、あの時の気持ちを思い出してごらん、ミカエル
         ・・・」
  ミカエル「あの時の・・・気持ち・・・?」
  ピエローラ「あの時、君は勇気が欲しいと、ただ一生懸命だった。
         その石が勇気の石だと信じて、手に入れようと色々
         頑張ったじゃないか。その石を手に入れる前の気持ち
         ・・・そして、手に入れてからの気持ち・・・その気持ち
         を思い出してごらん。何故、君は勇気の石が欲しいと
         思ったか・・・。そして手に入れて、どう思ったか・・・。
         君には分かる筈だよ・・・。」
  ミカエル「分からない・・・分からないよ、そんなこと!!」

         ピエローラ歌う。

         “勇気が欲しいと
         必死で手に入れ”

  ピエローラ「たとえ偽物の石だと分かっても・・・、そんな石に頼ら
         なくても勇気を持つことが出来ると分かった、あの時の
         気持ちだよ、ミカエル・・・。」
  ミカエル「あの時の・・・気持ち・・・。」
  ピエローラ「(頷く。)」
  
  サーカス団員の声「ピエローラ!!ちょっと、こっち手伝って頂戴
               !!」

  ピエローラ「今、行く!!じゃあミカエル、またいつでもおいで。」

         ピエローラ、上手へ去る。


  










       ミカエルとの思い出の“勇気の石”を取り出した
       ピエローラですが、ミカエルにその思いは、届くの
       でしょうか・・・?それでは“ミカエルとピエローラの
       勇気”2へ参りましょう・・・。 








 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



    その風貌から、悪者的に使用していた“ヒョウ君”ですが、
    一度くらい改心した姿をお見せしたくて、登場させたのが
    この作品です(^^)v



                                 どら。






        http://www.geocities.jp/littlepine2005/ 

      http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
 
         http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227




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