りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

モリーウィズフェアリー ―全4場― 3

2017年07月09日 09時57分32秒 | 新作(人形劇用)




   



      “待ち望んだ跡継ぎが出来
      幸せ満ち足るこの国さ
      だけど不運じゃないか
      双子だなんて
      しかも見てみろ
      羽の色違う
      まぁ一人は白い羽の純潔
      なんて可愛いの
      だけども嘘だろこの羽
      黒い色だぞなんてこと
      災いくる
      良くないことが起こるぞ”

 村人妖精1「そうだ!こっちの黒い羽を持つフェアリーを、どこか
        よそへやるんだ!」
 村人妖精2「えっ?」
 村人妖精1「この国のどこか隅にでも家を建てて、ひっそりと住ま
        わせときゃあいい!」
 村人妖精2「災いを遠ざけるのか!」
 村人妖精1「(頷く。)そう言うことだ・・・」

    村人妖精たちフェード・アウト。
    入れ代わるように、ブラックフェアリー、ホワイトフェアリー
    明るく。
    ブラックフェアリー、歌う。



   



      “初めて知った
      この私の運命
      衝撃だった
      なぜ私は生まれたの”

    ホワイトフェアリー、歌う。

      “初めて知ったわ
      違えた運命(さだめ)
      そんなことがあったの”

 ブラックフェアリー「白々しい!!」

    ブラック“私達の運命? 
         笑わせないで       ホワイト“決まってたことよ”
         生まれた時から私は一人
         生きてる”

    ホワイトフェアリー、下がる。

    ブラック“呪われた運命さ
         生まれた時に       コーラス“決まってたことよ”
         だから私は誰も信じない
         憎むの”

 ブラックフェアリー「見ておくがいい・・・この私を一人にした妖精た
            ちめ・・・。いずれこの国に災いがもたらされるで
            あろう・・・。この私の手によって・・・(笑う。)」

    そこへ下手より、エストラ登場。



   



 エストラ「ブラックフェアリー・・・」
 ブラックフェアリー「エストラ・・・どうした?」
 エストラ「妖精の国に面白い来客が・・・」
 ブラックフェアリー「来客?」
 エストラ「いいことをして願いを叶えてもらおうとしている人間が
      ・・・」
 ブラックフェアリー「人間・・・」
 エストラ「(頷く。)コッコとクックが、人間界から連れて来たようで
      すわ・・・。」
 ブラックフェアリー「コッコとクックが?」
 エストラ「はい・・・ホワイトフェアリーの両羽から生まれた、2人共
      が白い羽を持つ双子の妖精の・・・」
 ブラックフェアリー「それはいい・・・(手に持っていた杖を折る。)」

    (曲終わり。)
    ブラックフェアリーの笑い声残して、フェード・アウト。

    ――――― 第 3 場 ――――― A

    明るい音楽流れ、背景変わる。と、森の中。
    上手よりコッコ、クック登場。

 コッコ「モリー!」
 クック「モリー!こっちだよー!!」

    コッコ、クック、上手方に手招きすると、モリー、
    キョロキョロと周りを見回しながら登場。



   



 モリー「わぁーっ・・・綺麗なところ!」

    モリー、歌う。

      “素敵だわ
      初めてよ
      こんな場所にくるの
      今までと
      全然違うのよ
      嫌なことなんてないわ
      キラキラと輝いた
      憧れの場所だわ
      こんなとこにいつまでもいたい
      そんな気持ちだわ”

 モリー「でも、いいことって一体何をすれば・・・」
 コッコ「大丈夫!いつものモリーでいれば、直ぐにいいことをする
    機会が訪れるよ!!」
 クック「そうさ!」

    コッコ、クック歌う。

      “僕らがいるよ君の側にずっと
      君の夢は僕の夢”

    モリー、歌う。

      “初めて見つけた私の居場所よ
      なんて素敵なのかしら
      これからもずっといたいわ
      夢の中の友達・・・”

    コッコ、クック、木の枝の小さい隙間をぬうように、
    下手へ去る。

 モリー「あ!、待ってよ二人共!(音楽終わる。)私、まだ人間なの
     よ!!あなた達のように、こんな小さい隙間、通れないわ!
     待って・・・待ってったら!(溜め息を吐く。)早くいいことをし
     て、小さくしてもらわなきゃ。」

    音楽流れる。
    その時、どこからか微かに声が聞こえて来る。

 声「お嬢さん・・・」

 モリー「え・・・?」

 声「・・・お嬢さん・・・お嬢さん・・・そこのお嬢さん・・・」

 モリー「誰?誰かいるの?」

 声「ここです・・・私はここにいます・・・」

 モリー「どこ?」

 声「この木の葉の下に・・・埋もれて動けないのです・・・」

 モリー「木の葉の下・・・?」

 声「優しいお嬢さん・・・助けてくれませんか・・・?」

 モリー「え・・・ええ・・・」

    モリー、木の葉の山を掻き分けると、一羽のカラスが
    現れる。



   



 モリー「カラスさん・・・?」 

    カラス、歌う。

      ゛ご名答 そう カラスです”

 カラス「はぁ・・・助かりましたよ、お嬢さん。」
 モリー「どうしてあんな木の葉の山の中に?」
 カラス「(悲しげに。)はい、私は見ての通りカラスです。
     ですがそれは・・・聞いてくれますか?お嬢さん
     ・・・」
 モリー「ええ・・・」

    カラス、歌う。

      ゛本当の姿は違う”

 モリー「え・・・?」

      ゛この私 何をした
       悪い妖精
       なんの権利があるの”

 モリー「妖精・・・?」

      ゛この姿 すぐ もとどおり”

 モリー「どうやって?」

    下手方、モリー、カラス、時間が止まり、舞台
    薄暗くなる。上手方スポットにブラックフェアリー、
    エストラ、浮かび上がる。

  

      

 

 ブラックフェアリー「エストラ・・・今度は妖精の城から
           眠りの実を一粒・・・この私に調達
           して来ておくれじゃないか?」
 エストラ「眠りの実を・・・?」
 ブラックフェアリー「そう、一口食べれば二度と目を覚ま
           さなくなる眠りの実・・・さ・・・」

    ブラックフェアリー、歌う。

      ゛邪悪の実 ああ 恐ろしい・・・”

 ブラックフェアリー「そうすれば、おまえさんもその存在に
           鬱々としていた人間・・・を・・・
           この私が上手い具合に始末してあげる
           よ・・・。」
 エストラ「本当に・・・?」
 ブラックフェアリー「ああ・・・」
 エストラ「(ニヤリと微笑む。)分かりました・・・。直ぐ
      に手に入れて参ります。お任せを・・・」
 ブラックフェアリー「(声高々と笑う。)」

 

 

 

 

  

    —゛モリーウィズフェアリー” 4へつづく—
















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     あまり“カラス”をじっくり見たことがなくて、なんとなーく
    イメージでくちばしが黄色だったような気がして、黄色いくち
    ばしのカラスさんを作ってしまいました・・・。
 
    ホントは真っ黒・・・なんですよね?黄色の訳ないっか



 



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