りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“自由へ・・・―リーザ旅立ち―” ―全9場― 4

2013年12月06日 21時00分41秒 | 新作(人形劇用)



    ――――― 第 7 場 ―――――


    
                     ※



         紗幕前。(スポット。)
         上手よりアンドレ王子、アレク、サンド、ロス
         慌てて登場。
         (幾分、風の音が強く聞こえる。)

  アレク「王子・・・王子様!」
  ロス「アンドレ王子様!」
  アンドレ「まさか、あのように高いだけでなく、侵入者を誰一人
       許さない強固な城塞のような造りになっているとは・・・
       !」
  ロス「それはもう国中の名家のお嬢様方が揃って暮らす、ちょっ
     とした城ですからな・・・」
  アンドレ「しかし壁を乗り越えられないとすれば・・・そうだ!ボ   
       ートを用意しろ!!」
  アレク「はぁ・・・?」
  ロス「ボート・・・?」
  アンドレ「そうだ!!そのボートに乗って、海側からどこか上が
       る場所がないか、探しに行くとしよう!!」
  ロス「王子・・・王子様!そんな無茶な・・・」
  アンドレ「何が無茶なものか!おまえたちはリーザのことが心配
       ではないのか!?」
  アレク「それはそうですが・・・」
  サンド「しかし我々は3人合わせて200才はゆうに超える年寄
      りでございます・・・」
  ロス「そんな足元もおぼつかないボートなどに乗り、上陸するな
     どと・・・」
  アンドレ「では僕一人で行く!ボートを!!」
  アレク「王子!!王子お一人でそんな危険なことをなさるのを、
      このじぃたちに黙って見ておれと・・・!?」
  ロス「そんなことはできよう筈もございませんわ・・・」
  アンドレ「ならばグズグズ言ってないで、さっさと行くぞ!!」

         その時、強風が吹き抜ける。
         4人一瞬、驚いたように回りを見回す。

  ロス「なにやら空模様が怪しくなってきましたぞ・・・」
  アレク「本当じゃ・・・」
  アンドレ「このくらいの風!なんてことはない!」
  ロス「ですが王子様・・・」

         風の音、強く。
         スポット、フェード・アウト。
         入れ代わり、下手方スポットに
         リーザ、ジニー浮かび上がる。


    

                     ↓


    
                     ※2



  リーザ「何?私に用って・・・」
  ジニー「明日の授業で使う資料を、地下の書庫へ取りに行って
      とシスターに頼まれたのだけれど、皆の分を私一人で運
      ぶのは重くて・・・」
  リーザ「なんだ、そんなことなら皆で行けば・・・」
  ジニー「ううん!!あなたが来てくれれば十分よ。」
  リーザ「そうなの?」
  ジニー「ええ・・・!」
  リーザ「じゃあ早く行きましょう!その書庫へ!案内してちょうだ
      いジニー。」
  ジニー「こっちよ・・・」

         スポット、フェード・アウト。

    ――――― 第 8 場 ―――――

         (怪しげな音楽流れる。)
         紗幕開く。と、薄暗くて大きな書庫。
         上手より、頭からシーツを被ったエレン
         登場。
      

    


  
  エレン「(シーツを取って。)私が考えたアイデアなのに、どうし
      て私が魔物役なのよ!!頭にくるわ!!ジニーもジニー
      よ!私の提案にいい考えだと同意しておきながら、魔物
      役は平等にじゃんけんで決めましょうだなんて!!それ
      にしても・・・(回りを見回して。)矢っ張りなんだか薄気味
      悪い場所ね・・・(風の音“ビューン”。)寒い・・・どこからか
      隙間風でも入ってくるのね・・・。それにさっきから聞こえて
      くる風の音が、段々大きくなってくる・・・。いやだわ・・・(上
      手方を観て。)この奥って・・・本当に海とつながってるの
      かしら・・・」

         その時、声が聞こえる。

  ジニーの声「こっちよ、リーザ・・・」
  リーザの声「ええ・・・」

  得れん「来たわ!」

         エレン、慌てて上手へ去る。
         入れ代わるように下手よりジニー、
         続いてリーザ登場。


    



  ジニー「ここよ・・・(回りを見回して、誰かを捜すように。)」
  リーザ「わぁーっ・・・すごく沢山の本があるのね・・・。うちの書庫
      に負けない・・・あ・・・」
  ジニー「・・・え?」
  リーザ「ううん!なんでもないわ!それで?授業で使う資料は
      どこにあるの?」
  ジニー「あ・・・ええ・・・確か・・・(上手方の本棚を差す。)そこの
      本棚に・・・」

         その時、恐ろし気な声が聞こえる。

  ジニー「何?」
  リーザ「どうしたの?」
  ジニー「今、何か変な声が聞こえなかった?」
  リーザ「いいえ。風の音じゃない?この部屋、随分広いみたいだ
      し、どこからか隙間風が入ってきてるようだから。」
  ジニー「隙間風・・・?」
  リーザ「ええ・・・」

         その時、風の吹き抜ける音。
         と同時に岩が砕けるような音と
         水の流れ込む音がする。
         音楽流れる。

  ジニー「何!?」

  エレンの声「キャーッ!!」

  ジニー「エレン!?」
  リーザ「エレン・・・?」

         (“ゴーッ”と地鳴りのような音。)
         その時、慌てた形相でエレン、上手より
         走り登場。

  エレン「キャーッ!!」
  ジニー「エレン!!どうしたの!?計画じゃあまだ・・・」
  リーザ「計画・・・?」
  ジニー「あ・・・」
  エレン「違うの!!大変よ!!書庫の奥に水が沢山流れ込ん
      できたのよ!!」
  ジニー「水が!?どう言うこと!?」
  エレン「分からない・・・」


    
  


  リーザ「水ですって・・・?(上手方を覗き込むように。)本当!!
      大変だわ!!この奥は何!?どこからこの水は流れて
      くるの!?」
  エレン「分からないわよ!!けど噂じゃ、この奥は海とつながっ
      てるって・・・」
  リーザ「海ですって?」
  ジニー「キャーッ!!ここまで水が・・・!!」
  エレン「キャーッ!!足元が濡れちゃう!!」
  リーザ「とにかくこの水を止めなくちゃ!!でないとこの沢山の
      貴重な本や資料が全部駄目になっちゃうわ!!」
  エレン「そんなの知らないわよ!!」
  リーザ「それに本当に海とつながってて、大量の水が流れ込ん
      できたら、私たちも押し流されてただでは済まないわよ!
      !」
  エレン「そうなる前に、早く地下から出ましょう!!」
  ジニー「そうね!!」
  リーザ「待って!!」


    


    
         エレン、ジニー、下手方へ駆け寄る。

  ジニー「キャーッ!!みるみる水が・・・!!」
  エレン「大変!!扉が水の重みで開かないわ!!」
  ジニー「キャーッ!!助けてーっ!!」

         リーザ、上手方の扉を閉めようとする。
         (が、水圧で閉まらないよう。)

  リーザ「エレン!!ジニー!!手を貸して!!3人でこの扉を
      押さえれば。」
  エレン「いやよ!!無理よ!!」
  ジニー「怖いわ!!」
  リーザ「ねぇ、早く!!グズグズ言ってる暇はないのよ!!」
  エレン「駄目よ、私・・・!!」
  ジニー「お母様ーっ!!(泣く。)」
  エレン「誰かーっ!!(泣く。)」

         エレン、ジニー、手を取り合い泣く。

  リーザ「そんなところでメソメソ泣いてないで、私に力を貸して
      !!皆で力を合わせればきっと大丈夫だから!!」

         エレン、歌う。

        “いやよ怖いわ駄目”

         ジニー、歌う。

        “できない無理よそんなことは”

         リーザ、歌う。

        “諦めないでやれる
         信じて自分たちの力
                             コーラス“さぁ
         導く勇気                    手を 出し
         力を貸して                   さぁ 行け
         私はできる                   今 直ぐ”
         信じる心”

  エレン「分かった・・・分かったわ・・・(ジニーを見る。)」
  ジニー「(頷く。)」
  エレン「どうすればいいの!?」
  リーザ「この扉を閉めるのよ!!」
  エレン「ええ!!」
  ジニー「分かった!!」

         3人、力を合わせて上手方、水の
         流れ込む扉を閉める。
         (“ザーッ”水流の音、激しく。)


    



  リーザ「頑張って!!」
  エレン「うーん・・・」
  ジニー「うーん・・・!!」

         その時、何かが崩れ落ちる音。
         (と、水流の音、段々小さくなる。)
         音楽流れる。

  リーザ「え・・・?」
  エレン「水が・・・」
  ジニー「ひいていく・・・」
  リーザ「助かったのね・・・」
  エレン「助かった・・・」
  ジニー「助かったの!?私たち!!」
  リーザ「ええ!!」
  エレン「やったわ!!」
  ジニー「リーザ!!」

         3人、抱き合い喜ぶ。

  リーザ「エレン・・・ジニー・・・」
  エレン「ありがとう・・・」
  ジニー「ありがとう・・・」

         その時、上手扉が勢いよく開き、
         アンドレ王子登場。
         (アレク、サンド、ロス、続いて登場。)

  アンドレ「リーザ!!」
  ジニー「(アンドレを認め、小声で。)キャッ!!アンドレ王子様
      よ!」
  エレン「本当だわ!!」
  リーザ「・・・お兄様・・・」
  エレン「・・・お兄様・・・?」
  ジニー「え・・・お兄様って・・・」


    



  アレク「姫様!!(リーザに駆け寄る。)」
  サンド「姫様!!(アレクに続く。)」
  ロス「よくぞご無事で!!(アレクに続く。)」
  エレン「・・・姫様・・・?」
  ジニー「姫様って・・・」
  リーザ「皆・・・どうして・・・?」
  エレン「えーっ!?リーザってこの国のお姫様だったの!?」
  ジニー「えーっ!!」
  アレク「我々は姫様のことが心配で心配で・・・」
  サンド「この学校の外までは、易々とやってこれたものの・・・」
  ロス「姫様のお姿を目にすることは容易ではなく・・・」
  アレク「門の外で立ち往生しておったところ、アンドレ王子様が
      ・・・」
  アンドレ「父上に頼まれたんだ、我が家のお姫様の様子を、少
       しばかり見てくるようにとね。」
  リーザ「お父様・・・に・・・?」
  アンドレ「ああ、そうだよ。」
  リーザ「嘘よ・・・お父様がそんなことをお兄様にお願いする筈
      ないわ・・・」
  アンドレ「リーザ、おまえは勘違いしているよ。父上の愛情はと
       てつもなく深く広いんだ。おまえを身を切られる思いでこ
       の学校によこしたことも、おまえの為を思ってこそ・・・。
       おまえを送り出してから、母上と共に、ずっとリーザの身
       を案じていたよ。」
  リーザ「お父様が・・・」













 ――――― “自由へ・・・―リーザ旅立ち―” 
                      完結編へつづく ――――― 















   ※ この場面は、初めて上下交互にスポットをあててもら
     って場面転換をしてみました(^O^)
     これも、この会場を使用してこその舞台演出・・・とでも
     いいましょうか・・・(^_^;)
     照明さんがいてこそ、この場面が成立したと言っても
     過言ではありません(>_<)

   ※2、このリーザちゃんとジニーちゃんは、私が2体持ち
     しています(^^;




― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



    (どら余談^^;)

    最近の私事ですが・・・
    いつもブツブツ言ってたとーり、パソコンの調子が
    いよいよもって限界近かった為、中古ですが編集専用
    に1台安いパソコンを購入致しました"^_^"
    今のところ快調に動いてくれているので、後は私が
    ヤル気を出して編集作業に勤しむのみ・・・と言った
    ところではあるのですが・・・
    ゴロゴロ病はまだ完治していない為、つい暇を見つけて
    はダラ~・・・っとしておる次第であります(>_<)

    しかし、それも緊急でありますが、先ずは新作書きが
    今の私の一番の急ぎ仕事である為、ただ今
    ダラ~・・・っとしつつも音楽聞きまくりの日々を過ごして
    おります・・・(ーー;)




    
    12月6日(金)

    ここ数日、体調を崩してて・・・
    唇に熱の花が出来て、とても不快です(ーー;)
    早く治って欲しいな~・・・と・・・(>_<)
    明日は1月の小学校公演の打ち合わせだと言うのに、
    こんな顔で行くのは申し訳ないです・・・(;_;

    月曜日には新作の録音・・・次の作品も書き始めていて
    とても忙しい日々が続いております・・・そんなこんなで
    熱の花・・・
    少し疲れが出たのでしょうか・・・(ーー;)

    私事でありました"^_^"















 



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