りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“君のために・・・” ―全6場― 2

2012年06月05日 19時47分17秒 | 脚本


   
             (左)ジ―ク  (右)クリフ



  ジ―ク「俺も父ちゃんはいない・・・」
  クリフ「(ジ―クを見る。)え・・・?」
  ジ―ク「2年前に仕事で海に出たまま、行方が分からないんだ
      ・・・」
  クリフ「・・・行方・・・?」
  ジ―ク「だからって、俺がメソメソしてちゃ母ちゃんが悲しむだ
      ろ?おまえも妹の為に、そうやって頑張ってきたんじゃな
      いのか?けど、たまには肩の力、抜けよ!でないと爆発
      しちまうぜ。」
  クリフ「・・・ごめん・・・」
  ジ―ク「いいよ!それより学校行こうぜ。」
  クリフ「・・・でも・・・」
  ジ―ク「薬代なら、放課後に俺が靴磨きでもしてやるよ。」
  クリフ「(ジ―クの顔を見る。)」
  ジ―ク「そんな顔すんなよ。(お金を拾ってクリフに差し出す。)
      ほら、薬代。」
  クリフ「(お金を受け取る。)」
  ジ―ク「おまえ、朝飯食って来たか?」
  クリフ「(首を振る。)」
  ジ―ク「だから、そんな風に暗い顔になるんだ。(ポケットから何
      かを取り出す。)ほら・・・これ食えよ・・・っとこれは違った
      ・・・これは俺の母ちゃんお手製の、無茶苦茶辛いお仕置
      きクッキーだ。(笑う。)こんなの食ったらエライことになっ
      ちまうぜ。(また何かを取り出し、クリフに差し出す。)ほら
      ・・・こっちだ。食えよ。元気が出るぜ。」
  クリフ「・・・ありがとう・・・(受け取る。)」

         2人、上手方へ行こうとする。と、下手より
         一座の仲間が息を切らせ、走り登場。

  仲間「おーい!!クリフ!!」
  クリフ「おじさん・・・」
  仲間「ポーラが大変だ!!」
  クリフ「え!?ポーラ!!」


   
                     ※


         3人下がる。(紗幕閉まる。)

    ――――― 第 4 場 ―――――

         紗幕前。ベットに横たわるポーラ。
         そこへ下手よりクリフ、ジ―ク走り登場。


   


  
  クリフ「ポーラ!!(ポーラの横へ。)ポーラ!」
  ポーラ「・・・お兄ちゃん・・・」
  クリフ「苦しいかい?」
  ポーラ「ううん・・・大丈夫よ・・・お兄ちゃん・・・学校は・・・?」
  クリフ「うん、行ったよ・・・。ほら、友達を連れて来たんだ・・・」
  ジ―ク「・・・こんにちは・・・」
  ポーラ「お友達・・・」
  クリフ「そうだよ・・・友達だ・・・」
  ポーラ「よかった・・・」
  クリフ「え・・・?」
  ポーラ「もう・・・私がいなくなっても・・・淋しくないわね・・・」
  クリフ「なんてこと言うんだ!!ポーラ・・・?ポーラ!!」

         (ポーラ下がる。)
         音楽流れる。

  クリフ「どうしよう・・・ポーラにもしものことがあったら・・・僕・・・」
  ジ―ク「しっかりしろよ!!おまえがそんな気弱でどうするんだ
      よ!!」
  クリフ「ずっと2人で生きてきたんだ・・・ポーラがいなくなったら
     ・・・」
  ジ―ク「クリフ・・・」

         クリフ歌う。

         “いつも一緒 2人きりで
         肩寄せ合い生きてきた だから
         僕のことを1人して
         置いていかないで お願いだ
         今までいつも側にいた
         頼る人もいないなかで
         身を寄せ合い 労わり合い
         生きてきたのに1人きり
         どうすればいい
         生きていけないよこれから1人”
  
  ジ―ク「俺・・・聞いたことがある・・・」

     ジ―ク歌う。           クリフ歌う。

     “ずっと昔 聞いたことが   “2人肩寄せ合い
     森の奥に誰も知らない    生きてきたんだから
     場所があると          どうすればいい
     ただひっそり暮らす者が   1人ぼっちに
     願い叶える”          側にいて
                       お願いだから”

  ジ―ク「森の奥深くに住む魔法使いが・・・どんな病気でも治す
      薬を作って売ってるんだって・・・」
  クリフ「・・・薬・・・?」
  ジ―ク「行ってみようぜ!!」
  クリフ「でも・・・僕、お金が・・・」
  ジ―ク「そんなこと言ってたら、妹がどうなるか分からないぜ!!
      たった1人の大切な妹なんだろ!?」
  クリフ「・・・うん・・・うん、そうだね!!僕行くよ!!その魔法使
      いに会いに!!」
  ジ―ク「行こう!!」
 
    ――――― 第 5 場 ――――― A 

         音楽流れ、紗幕開く。と、森の様子。
         (クリフ、ジ―ク、走りながら森を抜ける。)
         歌う。


   
    ご存じ後ろの絵は、走る様子に合わせて回ります^^;



     コーラス“急げ少しも 早くこの森
           深く彼方へ たとえ険しい
           道がどこまで 続く茨の
           先に必ず 目指す場所ある
           急げどんなに 辛い道でも
           何があろうと 守るこの手で
           2人力を 合わせ大事な
           者を助ける 目指す場所まで”

     クリフ“助けるから      ジ―ク“確かに聞いたぞ
         きっと”              間違いない筈”

     コーラス“急げ時間が ないぞ少しも
           早く見つける 噂信じて”

     クリフ“2人でどんなときも
         肩寄せ頑張ってきた
         たとえ辛いことが
         この身に起ころうとも”

     ジ―ク“大事な人助ける為に
          懸命な奴を知った
          たとえ小さな力だって
          俺に出来ることがあるのなら”

     クリフ“ああ神様 僕がいるなら
         僕に力を”

     コーラス“急げ目指すは 誰も知らない
           噂だけでも たった少しの
           希望あるなら それが真実
           きっとある筈
           目指すあの場所が”

         1軒の小屋がセリ上がる。

  ジ―ク「あった・・・」

    ――――― 第 5 場 ――――― B

         (扉を開く。“ギィーッ・・・”)
         魔法使いの小屋の中。


   



  ジ―ク「こんにちは・・・」

         音楽流れる。
         魔法使い、何やら怪しげな呪文を唱えて
         いる。

  ジ―ク「あの・・・」
  魔法使い「しっ!!今いいとこなんじゃ・・・(呪文を唱える。“あ
        ぶらかたぶら・・・”)我れの薬に偉大な力を・・・」

         魔法使い歌う。


   



         “我れ秘密の薬売り
         ひっそりと隠れて
         誰にも知られぬよう
         息を潜め
         よからぬ思い頭に
         思い描くままに
         形に変えてしまう
         薬売りさ”

  魔法使い「あぶらかたぶら・・・」

         (ジ―ク、クリフ、顔を見合わせ首を傾げ
         魔法使いの様子を見ている。)」

         “ボンッ”の音と共に煙が上がる。
         (曲終わり。)

  魔法使い「おお、やっとこさできたわ・・・。人間をひき蛙に変え
        てしまう薬・・・(笑う。)」

         ジ―ク、クリフ、顔を見合わせる。

  クリフ「おばあさん!!」
  魔法使い「(2人を認める。)なんじゃ・・・おまえ達は。」
  クリフ「僕、おばあさんにお願いがあって・・・」
  魔法使い「金貨100枚・・・」
  クリフ「そんな・・・」
  ジ―ク「おい、ばあちゃん!!金貨100枚って、ちょっとばかし
      高過ぎじゃないか!?もうちょっと負けてくれよ!!」
  魔法使い「負け・・・!?ふざけたことを言うでないわ!!私の
        秘薬を何と思っとるんじゃ!!」
  ジ―ク「せめてこれくらいに・・・(魔法使いにお金を手渡す。)」
  魔法使い「(手渡されたお金を見て。)な・・・何じゃこれは!!
        こんな銅銭ではパンも買えんわ!!」
  ジ―ク「俺の昼飯代だ!!パンくらい買えらぁ!!」
  魔法使い「話しにならん。」


   


  ジ―ク「そう言わないで頼むよ、ばあちゃん!!こいつの妹が
      病気で死にそうなんだ!!」
  クリフ「お願いします!!」
  魔法使い「それでは・・・命を助けたいのなら・・・命を差し出すが
        よい・・・」
  クリフ「え・・・?」
  魔法使い「おまえの命と引き換えに、妹を助ける薬を作ってや
        ろう・・・」
  ジ―ク「何だって!?」
  クリフ「命・・・」
  ジ―ク「ふざけるなよ、ばあちゃん!!」
  魔法使い「ふざけてなどおらん・・・」
  ジ―ク「命って・・・」
  クリフ「・・・いいよ・・・僕の命と引き換えに、ポーラが助かるのな
      ら・・・」
  ジ―ク「え?おい・・・おい、待てよ!!何言ってんだよ!!」
  魔法使い「(笑う。)良い心掛けじゃ・・・。それじゃあ薬を作って
        やるとしようかの。」

         音楽流れる。

  クリフ「お願いします・・・」
  ジ―ク「おい!!馬鹿言うんじゃないぜ!!おまえ、自分が何
      を言ってるのか分かってるのかよ!!命と引き換えって
      ことは、おまえが妹の代わりに死んじまうってことだぜ!
      ?」
  クリフ「いいんだ、僕はポーラが助かってくれさえすれば・・・」
  ジ―ク「馬鹿野郎!!おまえがいなくなって、自分だけが助かっ
      たって、妹が喜ぶ訳ないだろ!!」
  クリフ「それでも僕は!!」

         クリフ歌う。

         “生まれてから いつも1人
         走ることもできないで
         辛いなんて言わずに
         ただ耐えてた          ジ―ク“誰かが
         いつも僕だけ走り回り         犠牲になっても”
         だから今度は僕が
         ポーラの代わりになる
         彼女が助かるならば
         僕の命なんて惜しくない
         だから命と引き換えに”

  ジ―ク「クリフ・・・」
  魔法使い「相談は終わりかい?それでどうするんだね。私ゃ忙
        しいんだよ。おまえさん達の相手をずっとしてる暇は
        ないんだ。」
  クリフ「お願いします、おばあさん。僕の命と引き換えに・・・」

         (曲終わり。)

  魔法使い「よしよし・・・物わかりのいい子だね。」
  
         怪しい音楽流れる。

  魔法使い「(呪文を唱える。)あぶらかたぶら・・・あぶらかたぶら
        ・・・」

      コーラス“人々の願いを
            叶える為に・・・”

  魔法使い「ほうら・・・もう少しだ・・・。どんな病気にも効く秘薬だ
        ・・・。あぶらかたぶら・・・(手に持っていた瓶から、“ボ
        ン”の音と煙が上がる。)ほら・・・できたよぉ・・・(瓶を
        差し出す。)」
  クリフ「(取ろうとする。)」
  魔法使い「待った!!その前に・・・先に約束のものを貰うとす
        るかね。(笑う。)」
  クリフ「・・・うん・・・(魔法使いの方へ。)」
  ジ―ク「ま・・・待ってくれよ!!」
  魔法使い「なんだ。」
  ジ―ク「俺にクリフと最後のお別れをさせてくれよ!!頼むから
      ・・・」
  魔法使い「ふん・・・さっさとするがいい。こんなことをしておる間
        に、妹がどうなっても知らんぞ。」
  ジ―ク「クリフ!!」
  クリフ「ジ―ク・・・僕がいなくなったら・・・僕の代わりにポーラに
      薬を届けてくれるかい・・・?」
  ジ―ク「(小声で。)しっ!!馬鹿!!おまえはいなくなんないよ
      !!(派手に泣き真似をする。)クリフ!!クリフ!!これ
      最後に食べてくれよ!!最後の晩餐だ・・・。俺の母ちゃ
      んの手作りクッキーなんだ・・・」
  クリフ「それは・・・」
  ジ―ク「(ポケットから出したクッキーをクリフに差し出す。小声で
      。)おまえは食べんなよ!!ばあちゃん!!ばあちゃんも
      一緒に食べてくれよ!!最後にクリフに楽しい団欒の真
      似ごとをしてやってくれ・・・(魔法使いにクッキーを差し出
      す。)」 
  魔法使い「(クッキーを受け取って。)こんなものを貰ったところで
        命の代金にはならんぞ・・・(口に放り込む。)か・・・辛
        いっ!!辛いーっ!!な・・・何だこれは!!ひーっ!
        !か・・・か・・・辛いっ!!」
  ジ―ク「これは母ちゃんお手製のお仕置きクッキーさ!!ほら、
      ばあちゃん水!!(テーブルの上にあったコップの水を、
      差し出す。)」
  魔法使い「おお、すまん!!ゴホッ・・・(コップの水を飲み干す。
        と、“ボンッ”の音と共に煙が上がり、ひき蛙に変わっ
        てしまう。)ゲコ・・・ゲコ・・・?ゲコ!!」


   


  ジ―ク「(笑う。)やったっ!!ばあちゃんの水にさっき言ってた
      人間をひき蛙に変える薬を入れといたんだよ!!ざまあ
      みろ!!欲張るから罰が当たったんだ!!クリフ!!行
      くぞ!!(机の上の薬を持つ。)」
  クリフ「ジ―ク・・・うん・・・うん!!」

         2人、下手へ走り去る。

  魔法使い「ゲコ・・・!!ゲコ!!ゲコーッ!!」

         紗幕閉まる。


   










   ――――― “君のために・・・”完結編へつづく ―――――












    ※ この“仲間”ご存じ使い回しです^^;誰の使い回しか
      お分かりになりますか・・・?
      正解は、“未来の海へ”の優海ちゃんのパパです(^^)v
   
      今見ると、何だか“怪しいマジシャン”と言った風貌です
      ね^^;





 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



   (どら余談^^;)

   今日はグーグル版“ワールド”に、オープンング部分の動画
   を投稿致しました(^^)v
   ドタバタと始まってしまった感一杯ではありますが、よければ
   またご覧下さい(^^♪


   
   6月5日(火)

   改めて台本を書き移していて・・・
   “クリフ”くんの名前を“クリス”と何度も間違えて書いていた
   ことに気付きました~(>_<)


  







   http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html

         http://ritorupain.blogspot.com/

     http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
















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