小泉およびブレーンが選挙後に発言している改革案が順調に進むなど、日本財政がポジティブ方向へ向かうシナリオを仮定してみる。
今後3年の間に、以下のようなポジティブ要素がある程度実現すれば、世界からの信認が回復して破綻に陥ることはないでしょう。
3年後の2008年・・・
①既得権益の温床であり“全ての官僚の砦”特別会計が透明化され見直しに大きな成果が上がった。結果、歳出の削減に貢献した。
②財政大赤字の責任を取って、国家は官庁舎や国立施設などの国有資産をどんどん売却しスリムになった。証券化して民間が運用し、施設が収益を生むようになった。
③上記要素以外でも公務員や特殊法人のリストラが進み、天下りの統計数も減ってきた。
④年金支給・医療保障は抜本的な仕組みが変わり規模縮小が決定、国民は受益サービスの大幅な減少を受け入れた。「今後は国に頼ることをやめ個人個人の自助努力で頑張ろう」ということに。 結果として歳出の削減に貢献。
⑤消費税や所得税の増税が段階的に進んだにもかかわらず、マクロ景気の拡大基調が3年間続いたおかげで、消費はさほど衰えずGDPはプラスのまま推移した。
⑥強力な改革安定政権がつづき、族議員・官僚・国民の抵抗を押さえ込み上記が実現したおかげでプライマリーバランスの黒字化に道筋が見えてきた。
要するに「官」も「民」も国の建て直しを優先するため“痛み”を受け入れた。
⑦マクロ経済拡大に伴い長期金利は上昇(国債価格は下落)していったが、急激な動きはなくゆるやかなカーブを描いたのでマーケットが慌てて反応するようなイベントは起こらなかった。 日銀政策の成果でインフレの抑制にもある程度成功した。
⑧懸念されたアジアとの衝突事件や東京を狙った大規模テロは起こらなかった。この間アメリカの景気もおおむね順調で、日本の財政再建策へ全面的にバックアップしてくれた。
⑨資本やサービスの流入が加速しグローバル化が更に進んだ。日本的社会主義⇒アメリカ的資本主義への移行により企業や行政が透明化・開放化し、「円」が世界のマーケットに再評価されるようになってきた。
・・・・・・・・・
破綻するか否かのポイントは常に「世界のマーケットが日本のマクロ状況をどう評価するか」ということなのです。昔のようにグローバル&ボーダレス世界でなければ<国内問題>ということで済んだはずですが、今は例えば、世界の誰かが日本国債の大量空売りを仕掛けようと思えばできます。
グローバル資本主義世界は、国内で貧富の差が拡大したとか、痛みに耐えられずデモなどの抵抗が起こったなどの社会的事件はさほど重要視されません。
世界マーケットにとっては破綻寸前の国家財政が立ち直る方向か否かが最大の関心事です。
国家財政のマクロ数字が改善されれば、世界は国債を暴落させるような行動はしませんし、海外から国内マーケットへ人やマネーがもっと入ってきてグローバルに発展していくでしょう。
しかし本気の財政再建はその途上でとても冷酷な痛みを伴うはずです。
消費税増税による低年収家計の圧迫、官から直接&間接的に仕事を受けている民間会社のリストラ、年金受給だけが生活の糧という老齢者の層、医療費負担に耐えられず進んだ治療を受けられない家庭、さらには海外からの資本流入によるグローバル化の波に耐えられない人や組織・・・。
国民は、国家財政再建のために現実的な生活の犠牲を強いられることをしっかり覚悟しておかなければならないかと思います。
もうひとつの選択肢は、官も民も痛みを拒否し、財政再建が進まず⇒国債デフォルト⇒財政破綻⇒IMF(=米国)管理下に入り「官」既得権益は完全排除⇒国民は数年の間強制的な耐乏生活を強いられる⇒既得権益のないところから立ち直っていく・・・
以上二つに一つのどちらかです。
どちらに行っても、痛みは伴うわけですが痛みの特徴(質)が違うと考えます。
「財政破綻」の痛みは強烈ですが、ウミが一気に出るため治りは早い可能性が高いといえるでしょう。(90年代破綻したロシアや韓国の早い立ち直りが好例)
「財政再建」の痛みは徐々にじわりじわりと来ます。痛みは比較的長くつづく。中途半端に治ったような悪化しているような不安な感じが続く場合もあります。
あなたの体に例えたとき、どちらが“マシ”な痛みでしょうか?
私は個人的には、どちらも嫌ですがどちらかというと強烈な痛みでも短時間でウミを出してしまったほうがマシです。
ただし、自律的に痛みを経験していく(財政再建)のか、倒れてERの外科手術をうけるのか(財政破綻)・・・覚悟の仕方や価値観によっても議論は分かれると思います。
タチの悪いブラックジョークみたいですね。ただし私はMではないので誤解なく願います(笑)。
いずれにしても、
このままの状態=「先送り作戦」はすでにがけっぷち近くに来ているといえるでしょう。日本人はそれが良くても、世界はもうそれを認めないというサインを出しているのですから。 それが財政状態、世界117カ国中ワースト5位という評価だと思います。
・・・・
「国家」と「民」を歴史的に見ると、常にどちらかへ富が移動していって、なくなった側は片方からそれを収奪していきバランスを保つ・・というマクロ的な話を次回以降紹介したいと思います。 また「グローバル資本主義」の功罪についても今度詳しく。
今後3年の間に、以下のようなポジティブ要素がある程度実現すれば、世界からの信認が回復して破綻に陥ることはないでしょう。
3年後の2008年・・・
①既得権益の温床であり“全ての官僚の砦”特別会計が透明化され見直しに大きな成果が上がった。結果、歳出の削減に貢献した。
②財政大赤字の責任を取って、国家は官庁舎や国立施設などの国有資産をどんどん売却しスリムになった。証券化して民間が運用し、施設が収益を生むようになった。
③上記要素以外でも公務員や特殊法人のリストラが進み、天下りの統計数も減ってきた。
④年金支給・医療保障は抜本的な仕組みが変わり規模縮小が決定、国民は受益サービスの大幅な減少を受け入れた。「今後は国に頼ることをやめ個人個人の自助努力で頑張ろう」ということに。 結果として歳出の削減に貢献。
⑤消費税や所得税の増税が段階的に進んだにもかかわらず、マクロ景気の拡大基調が3年間続いたおかげで、消費はさほど衰えずGDPはプラスのまま推移した。
⑥強力な改革安定政権がつづき、族議員・官僚・国民の抵抗を押さえ込み上記が実現したおかげでプライマリーバランスの黒字化に道筋が見えてきた。
要するに「官」も「民」も国の建て直しを優先するため“痛み”を受け入れた。
⑦マクロ経済拡大に伴い長期金利は上昇(国債価格は下落)していったが、急激な動きはなくゆるやかなカーブを描いたのでマーケットが慌てて反応するようなイベントは起こらなかった。 日銀政策の成果でインフレの抑制にもある程度成功した。
⑧懸念されたアジアとの衝突事件や東京を狙った大規模テロは起こらなかった。この間アメリカの景気もおおむね順調で、日本の財政再建策へ全面的にバックアップしてくれた。
⑨資本やサービスの流入が加速しグローバル化が更に進んだ。日本的社会主義⇒アメリカ的資本主義への移行により企業や行政が透明化・開放化し、「円」が世界のマーケットに再評価されるようになってきた。
・・・・・・・・・
破綻するか否かのポイントは常に「世界のマーケットが日本のマクロ状況をどう評価するか」ということなのです。昔のようにグローバル&ボーダレス世界でなければ<国内問題>ということで済んだはずですが、今は例えば、世界の誰かが日本国債の大量空売りを仕掛けようと思えばできます。
グローバル資本主義世界は、国内で貧富の差が拡大したとか、痛みに耐えられずデモなどの抵抗が起こったなどの社会的事件はさほど重要視されません。
世界マーケットにとっては破綻寸前の国家財政が立ち直る方向か否かが最大の関心事です。
国家財政のマクロ数字が改善されれば、世界は国債を暴落させるような行動はしませんし、海外から国内マーケットへ人やマネーがもっと入ってきてグローバルに発展していくでしょう。
しかし本気の財政再建はその途上でとても冷酷な痛みを伴うはずです。
消費税増税による低年収家計の圧迫、官から直接&間接的に仕事を受けている民間会社のリストラ、年金受給だけが生活の糧という老齢者の層、医療費負担に耐えられず進んだ治療を受けられない家庭、さらには海外からの資本流入によるグローバル化の波に耐えられない人や組織・・・。
国民は、国家財政再建のために現実的な生活の犠牲を強いられることをしっかり覚悟しておかなければならないかと思います。
もうひとつの選択肢は、官も民も痛みを拒否し、財政再建が進まず⇒国債デフォルト⇒財政破綻⇒IMF(=米国)管理下に入り「官」既得権益は完全排除⇒国民は数年の間強制的な耐乏生活を強いられる⇒既得権益のないところから立ち直っていく・・・
以上二つに一つのどちらかです。
どちらに行っても、痛みは伴うわけですが痛みの特徴(質)が違うと考えます。
「財政破綻」の痛みは強烈ですが、ウミが一気に出るため治りは早い可能性が高いといえるでしょう。(90年代破綻したロシアや韓国の早い立ち直りが好例)
「財政再建」の痛みは徐々にじわりじわりと来ます。痛みは比較的長くつづく。中途半端に治ったような悪化しているような不安な感じが続く場合もあります。
あなたの体に例えたとき、どちらが“マシ”な痛みでしょうか?
私は個人的には、どちらも嫌ですがどちらかというと強烈な痛みでも短時間でウミを出してしまったほうがマシです。
ただし、自律的に痛みを経験していく(財政再建)のか、倒れてERの外科手術をうけるのか(財政破綻)・・・覚悟の仕方や価値観によっても議論は分かれると思います。
タチの悪いブラックジョークみたいですね。ただし私はMではないので誤解なく願います(笑)。
いずれにしても、
このままの状態=「先送り作戦」はすでにがけっぷち近くに来ているといえるでしょう。日本人はそれが良くても、世界はもうそれを認めないというサインを出しているのですから。 それが財政状態、世界117カ国中ワースト5位という評価だと思います。
・・・・
「国家」と「民」を歴史的に見ると、常にどちらかへ富が移動していって、なくなった側は片方からそれを収奪していきバランスを保つ・・というマクロ的な話を次回以降紹介したいと思います。 また「グローバル資本主義」の功罪についても今度詳しく。
行き着くところは、(円で見た)インフレですね。
日本国債がこれまでのように、「国策」として今後も国内で充分引き受け可能な状態をキープできなくなっても、ソフトランディングできる程度の国債の下落やインフレに収まるようであれば破綻騒動など大げさなことにはならないでしょう。
要するにレベルの大きさと進行スピード(急激さ)の問題かなと思います。
国債の空売り⇒通貨の大量発行⇒円安⇒インフレ⇒金利上昇・国債の下落⇒通貨の大量発行⇒円暴落・急激なインフレ・金利暴騰・国債の暴落 ・・・といった「負の連鎖」が、破綻すると仮定したときの“最悪の”パターンと考えられています。
国債売りから始まる連鎖パターンだけでなく、例えばグローバリズムの中で海外から我が国へ流入している民間資本投資が一斉に引き上げていくような株安(景気悪化)から始まる急激な円安⇒インフレ⇒金利暴騰・国債暴落・・というシナリオもゼロではありません。
またNo8に書きましたが、郵政民営化は国債の引き受け先を減らすことにもなり、市場原理に基づいて国債の暴落を助長する可能性もあります。
いずれも、財政が大変逼迫していることが世界中のマーケットに織り込まれているので、何かのキッカケで「負の連鎖」を起こすのではないか?という危惧を持たれてしまっていること自体が最大の懸念だと考えております。日本債券は魅力がないのでヘッジファンドによる空売りの危険性があるほか、日本株や為替もマーケットは世界が参加していますから急激な動きが将来に渡ってずっとないとは断言しきれません。
そんな有事に手当てしたい虎の子の国の対外資産である米国債はアメリカの強い圧力で実質的に売ることはできず、かといって1100兆円個人資産を急激に収奪するわけにもいきません。
なので、まず政府は「構造改革」「小さな政府」「不良債権処理」「プライマリーバランスの黒字化」などの標語をアドバルーンとして打ち上げることで、日本は危なくない、大丈夫です!と世界に一所懸命アピールしています。
今の所そういうアピールに循環的な景気回復ムードも手伝って、世界市場からなんとか信認を保つことには成功しているように見えますね。
しかし標語アドバルーンを本当に実践するに至っては、引き換えに「民」の長い痛みを避けて通れません。
国家の面目を保つために、国民は犠牲を強いられるという選択肢へと進んでいる状況といえるでしょう。
良い可能性として、景気の回復が思った以上に進み国債発行高がぐんと抑えられれば犠牲は少なくて済むし世界マーケットから裏切られることもないですね。
そうなってほしいものです。
という疑問が湧きました。
http://www.nomura.co.jp/terms/english/n/jgbfuture.html ・・・以下抜粋しました。
国債先物[こくさいさきもの]
National bond futures
国債先物は、「長期国債先物(10年)」・「超長期国債先物(20年)」・「中期国債先物(5年)」の3銘柄が東京証券取引所に上場されており、現在ではそのほとんどが「長期国債先物」の取引になっている。
(1) 取引高が非常に多く、流動性が極めて高いこと
(2) 先物であるため、空売りを比較的行いやすいこと
(3) 現物債券と違って、有価証券取引税がかからないこと
等の理由により、参加者の多い、厚みのある市場が形成されている。
機関投資家や証券会社が主な参加者で、最近では外国人投資家もかなりの比重を占めるようになった。また東証に比べると取引高は少ないが、シンガポールやロンドンでも日本国債先物が上場されている。東証と立会時間が異なることが、最大の特徴である。
・・・
外国人投資家の日本国債保有比率は、総発行残高の4%
といっても20兆円以上あります。さらに現在財務省は海外市場での普及作戦を始め、ロンドン、ニューヨーク香港、シンガポールなどに乗り込んで外国人保有高を増やそうとPRしてたりもします。
もし、海外の投資家が保有している国債をポートフォリオから外す動きが出てくれば、国債価格は崩れ⇒金利上昇⇒さらなる債券売り・・という悪循環に陥る可能性があります。
これをトリガーにして、海外のヘッジファンドが空売りを仕掛けて来る恐れがあるというわけです。
大量空売りは法規制を受けないオフショア地域で展開するヘッジファンド特有の投資方法で、儲けどころと踏めば誰の許可を得ずに世界のどこの市場でも仕掛けることができます。
政府・日銀も当然対抗してきますが、通貨の大量発行による副作用や、急激な動きに対応しきれず混乱に陥る可能性があります。 前提としてそもそも日本国債に魅力がなく財政が逼迫していることが大きなマイナスに働くということかと思います。
しかしつまるところは「程度問題」でありますので、
誰が大量に貸すのか、実際そのような状況まで至ってしまうかは、誰にも予想できません。
ひとつ言えることは、上記URLにもあるように“参加者の多い厚みのある市場”であるということでしょうか。
疑問の直接のお答えになってないかもしれませんがお許しください。