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子宮癌と、日本の婦人科の話。

2012-06-06 20:32:03 | 思考の散歩
 今日の記事は主に女性向けですが、誰しも可能性が潜んでいるので御主人さん方にもちょっと小耳に挟んで頂きたいお話です。

 ただ、『子宮癌』という言葉は現在使わないよう、日本産科婦人科学会から厚生労働省に要望が出されているワードです。

 『子宮頸癌』 『子宮体癌』と明記しないと定義が曖昧すぎるというのが理由なのだそうです。

 さらに『子宮肉腫』 『絨毛癌』 『胞状奇胎』等と明確に区別して、誤解を生まずに正しく認識してもらう意味もあるようです。


 様々な科に分かれる医者の中でも儲からない(経費が意外と掛かる上に患者激減)産科を含む産婦人科医院が次々に経営難に追い込まれ、またデリケートな患部の扱いに不満を持たれる事も多い科なわけですが、中には本当に患者さんの事をしっかり考えられる医師もいらっしゃる事を先に申し上げておきますが、世界的に見て日本の子宮全摘出手術が多すぎるというお話がありましたので、リンクを掲載して、あえて全文貼らせて頂きます。



患者よがんと闘うな」近藤誠著 文藝春秋より
手術しすぎの実態-子宮がんを例にして


 ↑リンク先、冒頭のリンクはページ内の物なので全文読まれる方は踏まなくて大丈夫です。
 以下、色付きの領域は引用文です。


一般にがんの治療に関しては、この進行度にはあの治療法、あの進行度にはこの治療法というように、進行度別にむいた治療法があると思われているようです。しかし本当にそうなのかは、食道がんの例からもわかるように、いま一度疑ってみなければなりません。そもそも進行度の判断というのは、機械による検査に頼るために誤りをふくむものですから、そんなものを頼りに治療法をかえるのは危険といえます。また、仮に進行度判断が正確にできたとしても、ある進行度を境にして、急に手術が適当になったり、とつぜん放射線が適当になったりすると考えることのほうが、一貫しない便宜的な思考方法のようにも思われます。

食道がんの進行度といえば、過日、日本から提案された進行度分類が、世界中で便われることに決まりました。食道壁の深部方向へのがんの進行度と生存率とが関運することが、日本の研究でわかったからです。日本の外科医たちは、提案が採用されたことを名誉と考え、誇らしげです。

しかし、がんが進行しているほど成績が悪くなるのは当然です。その日本の研究が世界初になったのは、そもそも進行がんの手術成績が良好になりようがないので、他の国は日本ほど手術せず、それで深部方向への進行度を手術で正確に決めたデータに乏しいからです。つまり日本の手術しすぎの実態が、その研究に結実したわけで、そう考えると、世界初になったのは名誉でもなんでもありません。私としてはその研究には、ドラキュラ大賞でもつくって進呈したい気持ちですが、それはともかく、なんでもかんでも手術してから臓器を研究対象とするのは、「分類あって治療なし」ではたいでしょうか。
進行度によって治療法をかえることは、子宮頸がんでもみられます。子宮頸がんは進行度によって、一期から四期までにわかれ、それぞれがさらにA期とB期とにわかれています(たとえば二A期、三B期など)。そして日本には、一期、二期は手術、三期、四期には放射線治療、という慣行があるのです。

ところが世界では、一期から四期まで、ぜんぶが放射線治療の対象になっています。
欧米では一期や二期も放射線治療の対象となるのは、医師たちのあいだに、手術と放射線治療とで生存率に大差がない、という認識があるからです。この点、くじ引き試験がおこなわれていないので、優劣の正確な判定はできませんが、一期と二A期では生存率は同等、二B期になるとむしろ放射線のほうがすぐれていると考えられています(『Canser』JB Lippincott 参照)。

しかし手術と放射線治療とでは、合併症や後遺症の程度や頻度がまったくといっていいほど異なります。この点みなさんは、放射線治療のほうが合併症・後遺症がひどくてこわい、と考えているのではないでしょうか。ところが実際には、放射線治療のほうがずっと楽に治療を終えられ、治療後の生活も普通にできます。

高齢のため手術ができず放射線治療をうけた患者は何年かして、「年をとっていて好運だった」といいました。婦人科でいっしょになる若い患者たちが、手術の合併症や後遺症で苦しんでいるのをみているからです。子宮頸がんの手術のあと、合併症や後遺症で苦しむ大きな原因は、子宮ばかりでなくリンパ節を広範囲に切除することにあります。みなさんはがんの手術というと、がんが発生した臓器だけを切除するのだと考えているかもしれませんが、日本ではどの臓器のがんでも、臓器の周辺のリンパ節まで切除するのが一般的です。子宮頸がんの場合、骨盤のなかにあるリンパ節を広く切除しますが、その影響でいろいろな合併症・後遺症が生じるのです。
リンパ節を切除するとき、リンパ節周囲にまつわりついている神経をどうしても切断してしまいます。その結果、膀胱や直腸を支配する神経も切れてしまって、排尿・排便の機能に障害がおきます。機能障害のひどさは、神経を切断した程度によるわけですが、子宮がん切除手術を受けた患者の多くは、自分の力では排尿ができなくなります。それでどうするかというと、カテーテルという管をそのつど尿道にさしこんで排尿するわけですが、なかには一生そういう生活をしいられる人もいます。

といって放射線治療に問題がない、というわけではありません。子宮頸がんの放射線治療では腔内照射という方法が大切です。これは、放射線をだす小さな線源を、膣のほうから子宮の内部におくりこんで、子宮とその周辺を強力に照射するもので、この方法があるために、放射線治療は手術と同等以上の成績がでるわけです。しかし腔内照射をするために、直腸出血や腸閉塞などの合併症・後遺症がでることがあり、実施技術が劣っていると、その程度が重篤になるのです。

もっとも技術が劣っていれば問題性が高まるのは、手術の場合も同様ですから、それは放射線治療を排斥する根拠にはならないわけで、リンパ節切除の問題一つを考えても、手術をやめて放射線治療にしておくのが賢明でしょう。

ただ国際的にも一期の子宮頸がんで、しかも閉経前の患者さんには、放射線科医も手術をすすめる傾向にあります。手術なら卵巣機能がのこるので、閉経までより快適な生活をおくれるからです。しかし日本では、そういう患者さんが婦人科に行こうものなら、卵巣ばかりかリンパ節も広く切除されてしまう可能性が非常に高いのです。それゆえ、他国での議論を日本にそのまま持ちこむと、患者さんにとって危険です。どの臓器でも日本は一般に、世界の標準より広い範囲を切除することを念頭において議論する必要があります。
子宮頸がんを自然の経過にまかせると、がんが増大してからだの栄養を奪い、栄養失調になって死ぬことが考えられます。他の死因としては、がんの表面から出血することによる強度の貧血、がんが子宮のそばにある二本の尿管をふさいだための腎不全などが考えられます。これらはいずれも、からだがだ、んだん衰弱していく自然な死に方で、苦しみが生じる要素がほとんど見当たりません。わが国では以前、老衰という死因が多かったことはすでに述べましたが、そのなかには子宮頸がんも相当含まれていたと思われます。

これに対して手術をすると、合併症・後遺症に苦しむことになります。子宮は、重要な臓器がぎっしり詰まったお腹のなかに位置していますから、開腹手術をすると、周辺に重要臓器がない乳房の場合よりも重篤な合併症・後遺症が多発します。子宮がん手術の揺藍期の死亡率は、おそらくハルステッド手術に数倍したはずで、手術直後の時期を生き延びても、たとえば尿路を傷つけられた影響で腎不全になってジワジワ死亡するケースも多発していたようです(『現代産科婦人科学体系八E』中山書店一〇五頁)。腎不全を防ごうという手術で腎不全になるのは皮肉というほかありません。
肝心ながんを治す効果ですが、手術後に局所再発や遠隔転移がある点は乳がんと変わりませんし、前述した手術が仮定している二つの機序は、やはりうまく働きません。そして局所再発や遠隔転移が生じれば、まず間違いなく死ぬことになります。そうであれば、手術直後の死、合併症・後遺症によるジワジワ死をも考慮すると、子宮がん手術に延命効果があったと断定できないように思われます。

がんによる死亡にしろ、手術による死亡にしろ、死んでしまったら、手術による苦痛はそっくり無駄になるわけです。手術で死ななかった人は、一時的な延命効果を得たのかもしれませんが、隠れていた遠隔転移が増大する時間的余裕を与え、転移による苦痛を自招しているとも考えられます。

再発した場合の心理的なショックも無視できません。どの臓器でもそうですが、治療が大変であればあるほど、治療をうけた患者の期待は大きくふくらむので、再発したときのショックが大きくなります。治療が大変になるのは、一般にがんが進行している場合ですから、再発する可能性も高いわけで、ショックをうける頻度も高まります。このように考えてみると、子宮頸がん手術の意義も大変疑わしいといわざるをえません。

ではあっても、がんへの恐怖から、子宮頸がんと診断されれば治療を希望するのが人間というものでしょう。しかし治療といっても、開腹手術をうける必要はありません。ごく早期のがんには膣のほうから子宮頸部だけを部分的に切除する方法がありますし、それ以上に進行したがんには放射線治療があり、どういう進行度の子宮頸がんも開腹しないで治療することが可能だからです。しかし日本の現状をみると、開腹手術が圧倒的多数を占めています。
リンパ節切除の問題点
がん治療に力をいれている婦人科に対し、どういう治療をおこなったかを調べたアンケート調査があります。一九九一年の一年間、全国百五十五の婦人科では、たとえば二B期の子宮頸がんの七一パーセントを手術して子宮を摘出しています。この病期では、手術はゼロでもいいぐらいですから、あまりにも手術のしすぎです。つぎに、ゼロ期という、子宮頸部の上皮内にとどまっているごく早期のがんをみてみましょう。
ゼロ期では、全員の治療を子宮頸部の部分切除ですませている大学病院があることからも知られるように、子宮摘出がそもそも不要です。ところが全国平均をみると、子宮を残す治療は、わずか二四パーセントでしかありません。治療法の詳細が不明なのは三パーセント弱にすぎませんから、ゼロ期でも七割以上が子宮を摘出されていることになります。

より問題なのはゼロ期でも、膣の一部やリンパ節まで切除する婦人科医がいることでしょう。全国平均では、膣部分切除が一ニパーセントに、リンパ節切除が五パーセントにおこなわれています(以上「日産婦誌」四七巻一七七頁、九五年)。なお、これらの切除には、かならず子宮摘出が伴っています。

なぜ睦の部分切除を問題にするかというと、膣が短くなるために、性交がスムーズにいかなくなることが多いからです。ことにゼロ期の子宮頸がんは、二十代、三十代で発見されることが多いので、治療後の人生に重大な結末をもたらしかねないのです。ところが、膣の部分切除をする率が一〇〇パーセントという婦人科さえありますから、若い女性も睦を切られているのは間違いありません。事前にきちんと説明されていないで、手術がすんで家へもどってみたら性交困難ないし不能になっていて、それでも泣き寝入りしている人がほとんどなのでしょう。参考のために、ゼロ期の患者を年間十五人以上治療していて、膣部分切除の率もしくは、リンパ節切除の率が全国平均の三倍以上のところを表にしました(前貢)。

リンパ節切除のほうはなぜ問題になるかというと、ひとつには、子宮摘出だけの場合とくらべて、合併症・後遺症の程度と頻度が高まるからです。そして二つには、リンパ節切除が生存率を高める証拠がないからです。

どういう臓器のがんでも、どういう病期でも、リンパ節切除が正当化されるには、リンパ節切除で治る率があがるとか、延命効果が生じるとかの結果がなければなりません。このことは前述の、リンパ節切除をすれば遠隔転移を予防できるか、という問題に還元されます。






 引用ここまでです。

 ゼロ期~四期までの進行状態につきましては、『子宮頸癌』Wikiを御参照下さい(←リンク)。

 『子宮体癌』のゼロ期~四期はこちらのWikiを。(←リンク)



 大変、難しい問題です。

 切除する範囲を小さめにして、その後再発・転移が見つかってまた開腹するのも、患者心理として「また辛い思いをするぐらいなら、どうしてあの時にそこまで切除してくれなかったのか」と言うケースもあるでしょう。

 しかし、その後の経過が順調なら順調で、「こんな後遺症を伴うぐらいなら、切除する範囲を抑えてくれればよかったのに、もう戻せない。私の人生を返して!!」と仰るケースも当然出てきます。また、子供が欲しいのに叶わなくなるという場面もあるでしょう。ホルモンのバランスの問題もあります。


 ただ、日本国内で放射線治療の技術がどれだけのレベルなのか、と考えると海外のようには行かないのかもしれません。放射線治療の技術不足が引き起こす弊害も甚大で、日本人にとってこのジレンマは深刻です。




 なので、是非若い女性には検診を早くから受けて頂いて、『異形成』のうちに対応出来ればと願います。


 また、『乳癌』に於いては夫が異変に気付いて早期治療に結びつくケースもあります。

 御主人さん方にも、是非真面目に考えてあげて頂けたらなと思う次第でございます。



 男性がいつまでも『オトコ』でいたいように、女性だっていつまでも『オンナ』でいたいじゃありませんか――――――






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