烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

中国古生物切手(特22) とウドムルト共和国の加刷切手

2018-04-03 | 切手
先日「切手の博物館」を訪れた。が、博物館自体を見学しないで帰るという残念な結果となってしまった。近くで用事があったため、その用事が終わってからゆっくり見学しようと思ったのだが、その用事が長引いてしまう。博物館の終了時間が5時であり、私が到着したのは2時半過ぎである。じゃあ、十分時間があったじゃないか、と思うのだが、そこには切手ショップがあるのでそちらを優先させたのである。まず博物館なり美術館なりを見学してからのショップだろうが!と常々私は思っていたのだが、自らその信念を曲げて博物館よりも先にショップに寄るという暴挙に出た次第である。


というのも、しばらく前から探していた切手が、そこに行けばみつかるのではないか、というあてにならない確信を抱いていためだ。その切手というのは、1958年に中国から発行された「古生物3種(特22)」というものだ。2枚目のルーフェンゴサウルスは、世界初の恐竜切手なのだ。恐竜切手収集家としては是非とも手に入れたいのである。


モナリザスタンプさんにきいてみると、「ないなあ」とのこと。親切にも、「お隣とか、ショールームに行けばみつかるかもしれませんよ」と教えて下さった。(こちらで購入した切手については改めてご紹介したい。)


お隣のロータスフィラテリックセンターさんにて尋ねると、未使用は売れてしまったとのことだった。しょんぼりしている私をみかねたかどうかは分からないが、ご主人が、「使用済みを何処かで見た」とおっしゃって探して下さった。使用済みでもあれば嬉しい。


その間、私は「恐竜・は虫類」と書かれた切手のファイルを漁っていた。何か珍しい物でもないかな、と思っていると、加刷切手のシートが目に入る。





加刷切手とは通常封通切手から何等かの印刷を加えた物で、大体3つのパターンがある。1つめは、インフレなどで郵便料金の価格が高騰し、新たな切手が間に合わない場合に既存の切手に額面を訂正するか、その上から印刷し直した物で、Surcharge(サーチャージ)と呼ばれるタイプである。2つめのタイプは、占領地切手と呼ばれる物で、文字通り被占領地の切手に、占領国がその公用語で占領国名などを上から印刷したりする。3つめは記念切手を発行する際、費用がかかるなどの理由から、既存の普通切手の上に何等かの図案を印刷してしまうタイプである。


私が目にしたのは3つめのタイプらしく、ロシアの普通切手らしい物4枚一組で上から一つの図案が印刷されている。怪しい。そして気になるから買う。


怪しい加刷切手を見つめていると、店のご主人が「あったよ」と特22・使用済みの切手の袋をひらひらさせた。膨大なファイルの中から3枚の切手を見つけるというのもすごい事だ。




「使用済みでもすごく嬉しいです」と私。「ああそう、そんなに喜んでもらえて良かった」とご主人。
使用済みでも嬉しい。きゃーと言いたい位ですよ。図案は左から古生代の「三葉虫」、中生代の「ルーフェンゴサウルス」、新生代の「オオツノジカ」である。きちんと3つの時代の生物の化石を図案化しているあたりが、学術的にも意味を持たせているし、それぞれ中国で発見された化石であるというところがまた魅力的なのである。


こうして私はモナリザさんでしばらく居座って切手を漁った後、ロータスさんでもじっくり居座って、さらにショウルームでも切手のファイルを何冊か漁った為に、肝心の博物館を見学する時間を失ったのである。


それはそうと、ルーフェンゴサウルスの切手も色々調べてみたいと思ったのだが、この謎の加刷切手について自分なりに調べてみると、色々面白い事が分かったのでご紹介したいと思う。次回へ続く。


〔参考サイト〕
切手の博物館 切手の豆知識 「第23回加刷切手」 https://kitte-museum.jp/mame/2023.htm
ウィキペデイア 「加刷」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E5%88%B7