烏鷺鳩(うろく)

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ウドムルト共和国 恐竜 加刷切手 (1)

2018-04-04 | 切手


「ロシア」と書かれている普通切手らしき物4枚を一組としてそこに一種類の図案が印刷されている。
“Republic Udmurtia”。聞いた事も目にした事もない国名である。額面もすごい数字になっている。さっそくウィキペデイアで調べる。


《ウドムルト共和国》
ウドムルト共和国(ウドムルトきょうわこく、ウドムルト語:Удмурт Элькун、ロシア語: Удму́ртская респу́блика または Удмуртия)は、ロシア連邦に属する共和国。首都はイジェフスク。沿ヴォルガ連邦管区に含まれる。北にキーロフ州、東にペルミ州、南にバシコルトスタン共和国、タタールスタン共和国と隣り合う。
・面積 42,100km²(ロシア連邦全体の 0.25%)
・人口 1,570,316人(2002年)
・人口密度 37人/km²
・住民 住民の民族別の内訳は、ロシア人(53%)、ウドムルト人(35%)、タタール人(7%)、ベラルーシ人(2%)など。ウドムルト人はフィン・ウゴル系の民族である。公用語はウドムルト語とロシア語。主な宗教は正教とシャーマニズム
・歴史 もともとウドムルト人が暮らしていたこの地域に、ロシア人開拓者が達したのは12世紀ごろ。1552年にカザン・ハン国がロシアに併合されて後、ロシア人入植者が増えていった。

1920年、ヴォート自治州として形成され、1934年にウドムルト自治ソビエト社会主義共和国と改称された。ソビエト連邦の解体(1991年)にともない、1990年からウドムルト共和国。


どこに位置するのかというとこの辺。





なるほど。隣り合う国々でさえ、私は知らなかった。そして気になるのが「主な宗教は(ロシア)正教とシャーマニズム」というところだ。キリスト教と土着のシャーマニズムが共存する国がロシアにある。興味深い。


ちなみに、平昌オリンピック女子フィギュアスケートの金メダリスト、アリーナ・ザギトワは、この国の首都イジェフスクの出身である。


さらにこの国について調べていて、面白いサイトをみつけた。


「なぜウドムルト人はロシアの異教徒で、どうして彼らは恐れられるのか」
ライフ 12月 13, 2017 エカテリーナ・シネリシチコワ
(RUSSIA BEYOND https://jp.rbth.com/lifestyle/79430-udmurts)

ウドムルト人は中央ウラルに住む人々だが、彼らの心には数世紀を経てなお異教が根付いている。彼らは地獄も天国も信じない。戦わないし暴動も起こさない。自分たちのことを“格別に平和愛好的”と呼ぶ。そして武器を集めている。
“タンポポ”の頭は刺繍の入ったスカーフで幾重にもしっかりと覆われ、髪が何色かは分からない。多くの人が“真のウドムルト人の証”と考える赤毛か、あるいは濃い茶色なのか。

「女性の髪が何色か知りたければ、頭以外の部分を見る必要があります」と彼女は笑う。極寒の空気で彼女の笑いは湯気になる。「今はすべてが当てにならない時代ですから。髪さえもまやかしです。」

彼女の名前もまた一部まやかしだ。実際のところ、彼女はタンポポではなくスヴェトラーナという。彼女がタンポポだったのは、ウドムルト人がパスポートを受け取り、“正常の”名前を持つことを義務付けられる以前のこと。彼女は未だに異教徒だ。ウドムルト人の誰もが心の中ではそうだ、とタンポポは言う。私たちは神聖な農民小屋“クアラ”のそばにいた。見た目は一般的な丸太づくりのロシアの農民小屋と変わりない。

「ウドムルト人は多神教信者です。何を信じているのかは、どう説明したらいいか自分たちでも分かりません。信仰の本質は自然で、自然にはたくさんの神々がいますから。」


>「女性の髪が何色か知りたければ、頭以外の部分を見る必要があります」

なかなか艶っぽいジョークと受け取ってよろしいのだろうか?

>「今はすべてが当てにならない時代ですから。髪さえもまやかしです。」

思わず、「含蓄に富んでいるなあ」、と感心してしまう。

>「ウドムルト人は多神教信者です。何を信じているのかは、どう説明したらいいか自分たちでも分かりません。信仰の本質は自然で、自然にはたくさんの神々がいますから。」

アニミズムということだろうか。多神教信者というのも、なんだか日本と通ずる物があるような。

そしてさらに興味深い内容が続く。


◆武器を持った魔術師

今日では街への出稼ぎが、収入を得るためのほとんど唯一の手段だ。ルドルヴァイ村にはガスが通っていて、学校や図書館もあるが、例えば未だに店、病院、薬局すらもない。だからパンすら自家製のものだ、とアンナ・ステパノヴナは語る。・・・
・・・ルドルヴァイには今日千人余りの人が住んでいる。最寄りの街であるイジェフスクまでは19 kmある。アンナ・ステパノヴナはタンポポとともに博物館で働き、以前は天候にかかわらずそこまで3 km歩いていた。今ではワゴン車ガゼルで送迎してもらっている。

「ルドルヴァイの住人は皆イジェフスクの工場で働いていました。ルドルヴァイには広大な畑とコルホーズ(ソ連における集団農場)がありました。今日ではコルホーズはなくなり、個人経営の農場だけになりました。農作業はしていますが、人手が足りません。街から100 kmも離れた村の人は、村から出ることもなく暮らしています。家は木造で、自分の農園があり、季節によってはイチゴを売ったり、材木を売ったりしています。若い人は出て行っています。実家へはせいぜい休日に帰って来るかどうかです。帰ったところで、本当に何もすることがないですから。」

現在でも大半のウドムルト人が、“蒙昧な人々”というステレオタイプを克服したにもかかわらず、半世紀を経てなお工場で働いている。最も非戦闘的な民族が、さまざまな事情が重なって武器を生産している。イジェフスクの工場の半分がこの製品の製造に従事している(この中には財閥“カラシニコフ”も含まれる)。

しかしウドムルト人が恐れられるのは武器のためではない。「彼らは魔術師だ」というよく知られた噂があるのだ。
「シャーマンや病気の回復といったものはありましたか?」
「シャーマニズムが姿を消したことはありません。病気の回復ももちろんありました。」
アンナ・ステパノヴナの声は真剣で深みのあるものになり、眼は緑で鋭く知性に溢れた。こんな話があったという。コルホーズの議長が小さな農民小屋“クアラ”を横流しして薪にしたところ、彼は数日後に死んでしまった、偶然の一致かもしれない。しかし、これはウドムルト人になせる業でもある、という人もいる。


ソ連時代には、武器工場が多数あったために、地図上にない、「閉鎖都市」だった。自然を崇拝し、自らを「格別に平和愛好的」という人々が武器を作り続けているという矛盾。シャーマニズムを守っているが故に偏見を持たれ続けたのも理由の一つ。その偏見が経済的な貧しさの原因となり、貧しいが故に武器を作る。こういう負のサイクルを目にすると、どうしていいか分からなくなる。


とりあえず、ウドムルト共和国はなかなか興味深い国だという事が分かったが、切手そのもの自体の情報が得られない。というわけで、ある本を参考にしようと図書館で借りてきたのだが、そこに思いも寄らぬというかある程度予想していた事実が判明する事になるのだ。次回へ続く。



[参考サイト・文献]
・ウィキペディア ウドムルト共和国 
・「なぜウドムルト人はロシアの異教徒で、どうして彼らは恐れられるのか」ライフ 12月 13, 2017 エカテリーナ・シネリシチコワ RUSSIA BEYOND https://jp.rbth.com/lifestyle/79430-udmurts